「オヒトリサマ なんかじゃない!」プロフェッショナル ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)
オヒトリサマ なんかじゃない!
『アマチュア』にぶつけた邦題なのだが興収で劣勢とあらば応援したくなるというもの。
昔から、飯食む兄さん(いいはむにいさん)とテキトーに名付けていたリーアム・ニーソンも70代。
暗殺の生業をひた隠しにして、うまく地元に溶け込んでいる。北欧の美しい牧歌的な景観の中の日常。行きつけのパブがあり、近所の饗応にもあずかり、ぽっちゃりの飼猫も居たりして、おひとりさまの侘しさはない。ただ相変わらずのシブい顔、うしろめたさや、やるせなさが、こんなに似合う役者は少ないよね。
目を引くのは、”私設墓地“で淡々と為遂げられる無慈悲な殺しだ。モラルを語るのは詮無い、あの時代、この地域の特殊事情なのだから。すぐさま、『禁じられた遊び』や小説、『桜の樹の下には屍が埋まっている』が脳裏をよぎる。合理的なのは、これから殺す人間に穴を掘らせて埋めれば、後には苗木の養分となってくれることだ。
さすがに50年前のローテクでは、道具立ても銃と爆弾、タイマーのみ。知り合いの女の子を脅した男をフィンバーが始末。それが発端となって、小規模ながらIRAとの抗争がはじまる。それなりに緊迫感はあるが、ストーリーは単純明快。相棒を巻き込みたくないとしたフィンバー。一旦は離脱させたはずの若造ケビンが、闘いの場に舞い戻り、彼を助けて死ぬという役回りをキッチリこなし、相手をせん滅したものの、身バレしたフィンバーは西部劇のようにカッコをつけて地元を去ってゆくというもの。イーストウッドとのタッグが長い今作の監督では既視感満載もやむなしだが、雰囲気も風情もほどよく“兄さん”にマッチしていて良かった。
アクションスターが皆、引退間近のロートルという状況下、他作の予告編でトム・クルーズの全力疾走を観た。まだ走ってんの!62歳!
コメントありがとうございます!
そういえば、ノーキッキングってなんか聞き覚えがあるフレーズだなと思ったら、映画が始まる前の「座席をけらないで」なんですね(笑)
共感とコメントありがとうございます✨️
全然おちゃらけてないですよー。
「うしろめたさややるせなさが似合う役者さん」、まさにそれです!
渋いですよねー。
トム・クルーズ、すごいですね。
いつもスタントなしなので予告にあった飛行機にぶら下がってるのもスタントなしなのかと思います😵
あんな62歳を目指したいです笑
共感コメントありがとうございます。本作はリーアムが言うように西部劇ですよね。私の本作における解釈は深読みしすぎかもしれませんが長年にわたるイギリスによるアイルランド独立運動に対する無慈悲な行為を鑑みればIRA暫定派のように過激化するのも致し方ないですよね。イスラエルに対するハマスのように。
そんな中で父親を失い弟の母親代わりとなって非情なテロ活動に身を投じざるを得なかったデランの心情もちゃんと描かれていて一昔前のテロリスト=悪という単純な馬鹿映画とは一線を画した内容でとても好感を持てました。