「『善き人』であろとする常人のハードボイルドストーリー」プロフェッショナル 自分BOXさんの映画レビュー(感想・評価)
『善き人』であろとする常人のハードボイルドストーリー
けっこう好き。
ジョン・ウィックやイコライザーのような『舐めてた相手が実は殺人マシンでした』系映画を期待して観ると肩透かしを食らう。
老境に差し掛かった殺し屋リーアム・ニーソンが、仕留めたターゲットの最後の言葉をきっかけに、殺し屋を引退し『善き人』として生きようとしたタイミングで、IRAの爆破テロリスト四人が村に逃亡してくる。
テロリスト四人の内、一番チンピラ臭い若者が食料調達のついでに村の少女を虐待しているのを知ったものだから、『善き人』として生きる生きる決意をしたリーアム・ニーソンは虐待を止めるために殺し屋として対応するが、そのせいでチンピラの実姉でテロリストのリーダーの女性を刺激してしまう。
登場人物誰も超絶な戦闘スキルなど持っていないし、話のスケールも小さい。
リーアム・ニーソンが所属していた殺し屋組織?は仲介業者と常勤とアルバイトが一人づつ位の規模だが「実際に殺し屋とか居たとしても、この位のスケールなんじゃないか?」という感じはする。
IRAテロリスト側(主にリーダーの女性)はチンピラに毛が生えた程度で、非道ではあるが情を持ち合わせている一面も垣間見せる。
そんな両者で、リーアム・ニーソンが『善き人』になろうとした行動をきっかけに、いざこざが起こり、次第に事が大きくなってしまう様子が、70年代のアイルランドの田舎を舞台に大変地味(渋いとも言える)に展開していく。
殺人を解決手段に使ったせいで(思い返せば、あのチンピラはボコボコにする程度に留めておけば、それで済んだんじゃ…)、事態が悪化するというあらましはジョン・ウィックやイコライザーに似ているが、ジョン・ウィックやロバート・マッコールのような超人ではない常人には、悪化した事態を速やかに収束させる力などなく、翻弄されながらも食らいついて解決するしかない。代償を払うハメになっても。
殺し屋引退前から既に地元に馴染んでいる様子のリーアム・ニーソンのスローライフとアイルランドの田舎の穏やかな風景が良かった分、地元を去らなければならなくなるラストは哀愁を誘う。(自業自得なんだが)
失敗しながらも『善き人』であろとする常人のハードボイルドストーリーとして、けっこう良い出来だったと思います。
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