「リーアム・ニーソン版『許されざる者』」プロフェッショナル regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
リーアム・ニーソン版『許されざる者』
北アイルランドの田舎町で暮らし、引退を考えていた暗殺者フィンバーが、思わぬきっかけで過激テロをベルファストで仕掛け逃亡してきたIRAグループと対峙する事となり…
武力でイギリスから独立を勝ち取ろうとする過激派IRAのテロ行為。その犠牲となった者の復讐譚はジャッキー・チェン主演の『ザ・フォーリナー/復讐者』があるが、本作はそのIRAテロが激しかった1970年代のお話。
すっかりアクション俳優として認知されたリーアム・ニーソンだが、かといって本作は『96時間』シリーズのような激しいカット割りアクションはない。敵対するテロリスト達も1人を除いて超極悪というわけでもなく、舞台が牧歌的な町という事もあって展開は終始地味だし、ド派手な見せ場もない。『ジョン・ウィック』のような洗練されたコレオグラフィが見もののアクションとは対極に位置する。
ただ、個人的には実に味わい深くコクがある。70代に入ったリーアムの円熟味に加えて、脇を固めるコルム・ミーニーやキリアン・ハインズ達が渋さに拍車をかけている。フィンバーに憧れる若き殺し屋の存在も含め、どことなく『許されざる者』を彷彿とさせ、フィンバーが亡き妻への哀愁を抱えているという点もウィリアム・マニーとダブる。というかリーアムが妻を亡くした男を演じるのはこれで何度目だろうか。
アイリッシュ製ウイスキーを片手にじっくりと観たくなる一作。もっともハイボールにしないと飲めないんだけど。
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