劇場公開日 2025年4月25日

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「東京医大+フジテレビ=ボリショイ・バレエ団」JOIKA 美と狂気のバレリーナ おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 東京医大+フジテレビ=ボリショイ・バレエ団

2025年5月4日
iPhoneアプリから投稿

前半は東京医大の女性差別入試のことを思い出した。
やってる側は合理性を追求しているつもりだと思うが、やられている側からすれば青春を懸けてきた努力を理不尽に否定させるわけで、到底納得できない。
被害者の視点に立てば、酷いことなのがよくわかる。

それに対する主人公ジョイの対処法には「その手があったか!」と度肝抜かれた。
この映画は事実に基づいているらしいが、これも事実ならそりゃ凄い。

前半のヤマ場は、誰もが認める才能を持つライバルとジョイの一対一のバレエ対決の場面だと思っていた。
ジョイはその勝負に勝つため、常軌を逸した秘密の特訓までしていた。
通常の作品であれば、「ライバルは凄い、だが主人公がそれを凌駕」といった感じで盛り上がる場面だと思うが、この映画はそうではなくて残念。

後半の展開は今の時期はどうしたってフジテレビのことを連想してしまう。

ジョイがパパ活みたいな行為をしている最中、男がジョイの肌を触り始めた瞬間、ジョイは咄嗟に化粧直しを理由にトイレへ退避。
その後のトイレでのジョイの行動が、まるで主役の座を掴むために倫理観や良心を殺そうとしているようで、切なかった。

ここまで観てたらポリジョイ・バレエ団なんてクソだからさっさと辞めるべきだと思うのだが、憧れというまやかしに囚われた人の悲劇に感じた。

教師による体罰を伴った指導の場面など、2015年公開の『セッション』を髣髴とさせるが、個人的に最も『セッション』っぽいと感じたのはラストの展開。
「長く穏やかな人生」を選ぶか、「今、目の前にある煌めき」を掴むかの選択。
親と教師の間で主人公が揺れ動くのも似てる。
親と教師が「天使と悪魔」のように見えた。

正直、バレリーナ描写は2011年公開の『ブラック・スワン』、スポ根描写は『セッション』に負けていると感じた。

おきらく
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