劇場公開日 2025年11月28日

「何でもお見通しの健気な「小春ちゃん」。」ナイトフラワー ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 何でもお見通しの健気な「小春ちゃん」。

2025年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

犯罪と暴力が支配する裏社会の「闇」と、逆境に負けない家族愛の「光」の対比が鮮やかな映画でした。愛する子供達を守るためとは言え、裏社会に入り込んでしまった代償は大きい。裏社会を取り仕切る悪人たちは、邪魔になった者を消すのをためらわない。事件が起これば、警察や被害者家族からも狙われることになる。そんな危険な領域に貧困に苦しむ普通の母親と、どん底から這い上がりたい女格闘家がタッグを組んで踏み込んだ。現実にはあり得ないことだが、物語の設定としてはとても面白い。二人のしていることは犯罪であり許されないが、その動機は、こども達に夢を与える事だったり、自力で人生を切り開こうという意欲だったり、とても共感できる。永島家の母子と多摩恵は本当の家族の様に暮らすようになる。しかし悪事の上に成り立っている幸せが続くはずがないと心配になる。物語のエンディングは、分かりにくく違和感がある。そのまま受け取れば、危機を脱して幸せな生活が戻ってきたように見えるが、代償を受けて不幸な結果になったのではないかと思わせる。「楽園」は夢であり、現実には「地獄」が待っているというメッセージかもしれない。どういう形の結末を望むかは、見る者の願望と想像に委ねる所が、無責任とも言えるがうまい作りになっていると感心した。
「ナイトフラワー」=夜にしか咲かない花は、彼女たちの運命を暗示しているように感じた。悪の道に踏み入ってしまったら、明るい光の下で花を咲かせることはできない。永島母子と多摩恵の疑似家族を応援したい気持ちになっただけに、何となく悲しさが残る作品でした。
北川景子と森田望智の体当たり的な演技は強く印象に残りましたが、なんでもお見通しのような小春ちゃんの存在感や、「母ちゃん」に異常に執着するSUPER BEAVERの渋谷龍太くんもとても良かったです。

ガバチョ
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