シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY : インタビュー
二宮和也、赤ちゃんの映画館デビューを応援する「シナぷしゅ THE MOVIE」第2弾への出演で気づかされたこと “最多共演俳優”についても語る「すごく安心感がある」

写真/コウ ユウシエン
「優しい人が作った映画」――。二宮和也は、声の特別出演で参加した乳幼児向けの映画「シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY」(5月16日公開)をそんな言葉で表現する。

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テレビ東京が民放で初めて乳幼児を対象に制作した番組「シナぷしゅ」の劇場版第2弾となる本作。乳幼児向けの約40分の短いストーリー作品だが、侮るなかれ! 日本国内のみならず、ハリウッドも含めて様々な映画作品に出演してきた二宮にとっても、本作への出演は、これまでとはまた違った新たな視点や発見を与えてくれる経験になったという。作品の中にちりばめられた、乳幼児やその親のための様々な配慮や工夫、令和の子育てについて、さらには劇場版第1弾に続き声で特別出演している盟友・玉木宏の存在についてなど、二宮がたっぷりと語った。(取材・文/黒豆直樹)

写真/コウ ユウシエン
もともと、飯田佳奈子プロデューサーが、自身の出産・育児の経験をきっかけに生まれたという「シナぷしゅ」。子どもたちやその親に寄り添う形で、テレビ業界の常識を覆すような様々な仕掛けがなされており、例えば、冒頭とエンディング以外の番組中にCMを入れないというのもその一つ。それでも、スポンサーのCMソングを子どもたちが覚えて口ずさむとSNSなどでも話題になっており、以前から、番組を知っていたという二宮も「CMソングまでが番組だと思っています(笑)」とおどけつつ、子どもたちや親の気持ちを考え抜いた構成を称賛する。
「やはり番組の途中でCMが入らないということでお子さん、ひいては一緒に生活しているお父さん、お母さんがすごく集中して好きなことができる作りにもなっていると思います。それを許してくださっている企業さんの心の広さ、その作りに感銘を受けました。あとは“アンコール”という形(※エンディング終了後に過去に放送された歌を1曲流すフォーマット)もよくできているなと思うし、いかに30分間、子どもたちをテレビの前から動かさないかという点で、考え込まれている番組だなと感じていました。
好きなキャラクターもどんどん増えていきますが、そのキャラクターが出てくる時もあれば出てこない時もあって、その不条理さ(笑)。今月はこの曲でいくんだ!という、好きなものばかりが流れてくるんじゃないんだっていう形も、僕はある意味で必要な教育の一つなのかなと思っていて、なるほどなと。自分がいざ出演することになり、番組を見て勉強してみると、普段、僕がやらせてもらっているバラエティ番組とはまたちょっと違う形態だったり、それを応援してくださってる方々のご理解だったりに気づいて、すごく学びになりました」

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劇場版第1弾は、真っ暗ではない照明、やさしい音量など“0歳からの映画館デビュー”を応援する作品として、約20万人を動員するスマッシュヒットとなった。二宮は自身が子どもの頃の映画館の思い出として「たぶん、僕が最初に映画館で観たのは2本立てのアニメフェアとかの作品だったと思うけど、『映画館ってこんなに人がいるんだ!』というくらいパンパンで、通路の間の階段に座って観ている人もいたり、子どもたちも騒いだり、走り回ったりしていた」と現在とは全く違う環境だったと懐かしみつつ、「今は本当にお客さんファーストになっている」と語り、本作も映画館デビューにはもってこいの作品になっていると太鼓判を押す。
「やっぱり小さいお子さんにとって、2時間ずっと映画を観たり、物語を追っていくということ、不特定多数の人たちを見るっていうことに、どうしてもストレスとか緊張があると思いますけど、それをストレスフリーにしている映画でもありますので、本当に映画館デビューにふさわしいですし、お子さんたちにとっても、成功体験の一つとして『映画が観られたんだ』という体験は非常に大きいものだと思います」

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今回の映画は、主人公のぷしゅぷしゅたちがバカンスに行くという物語となっている。清水貴栄監督は「ぷしゅぷしゅたちと旅行に行く気分になれる映画」と語っており、二宮もその言葉に同意し、こう続ける。
「ぷしゅぷしゅと旅行に行くような感覚になるっていうことは、僕はすごく重要だと思っていて、『映画を観られた』という成功体験で『もう1回観に行きたい』って言う子もいれば、『旅行に行ってみたい』と言う子どもも出てくるんじゃないかなと思います。そういう意味で、子どもたちの次のステップのきっかけになっているんじゃないかと。ぷしゅぷしゅと同じところに行ってみたい、同じことをしてみたいとか、ただ『映画が楽しい』とか『映画を観られた』というだけで終わらず、次のステップにちゃんと運んでいく。もちろん、映画館で泣いちゃって『家がいい』って子もいるだろうし、クタクタになって帰る家族もいるかもしれない。でも、それだけで終わらずに、子どもたちが『旅行に行ってみたい』と言って、『飛行機に乗るにはどうすればいいの?』とか『この時間に行かなきゃいけないんだよ』とかっていうことをわかるようになる、すごくいいスタートになっているんじゃないかなと感じます」

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二宮が演じたのは、“ぷしゅぷしゅ”と、玉木が声を担当する“にゅう”らと共に冒険を繰り広げる、陽気なタクシードライバーの“ぱるてぃ”で、予想通り(?)セリフの大半は「ぱるぱる」の一語。たった一語で様々な感情を子どもたちに伝えるというのは、決して簡単なことではない。
「キャラクター、物語の中での立ち位置で言うと、明るい方がいいなと考えていたので、現場で監督と話し合いながら、進めていきました。あとは、玉木宏がとても声が低いんでね(笑)、対比としては、わかりやすい方がいいだろうし、やはり、ぷしゅぷしゅが常に真ん中にいて、この子の冒険活劇なんだっていうのをわかってもらうというところで、監督とすり合わせていった感じでした。
気をつけたことで言うと、子どもたちがメインで観てくれるので、スピード感みたいな部分ですね。あとは『こうやって言ったらわかるよね?』というような“わかりみ”みたいなものを押し付けないようにしたいなというのはずっと思っていたので、そこはすごく気をつけて作っていったところではありますね」

写真/コウ ユウシエン
今回の共演で、玉木は二宮にとって“最多共演俳優”となったという。今回、一緒に収録する機会はなかったが、現場では顔を合わせ、言葉を交わしたと明かす。
「それこそテレビで『シナぷしゅ』が流れているのを見ていたりもしたので、まさかこの作品でも共演するとは思ってもなかったし…もう笑ってましたね、向こうも(笑)。現場でも気づいたら隣にいるような人で、すごく安心感があるし、何があっても大丈夫だろうなっていうのは明確な理由と確証はないんだけども、思いとしてはあるので、そこに参加できたのはよかったなと思います。すごく度量が広い人で、何でも受け止めてくれるので、(2人の関係性は)すごくプラスアルファとして、安心してできた形だったかなと思います」
これまで出演してきた映画やドラマとはまたタイプの違う作品であったからこそ、改めて気づかされたこと、考えさせられたことも多かったよう。

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「親子ということで言うと、これまで僕は、子どもが僕と同じ世代か5~10歳くらい若くて、親が60代とか70代の親子が見るような作品に出ることが多かったです。今回、僕よりも若いお父さん、お母さんで、子どもが0歳~2歳っていう(観客層の)作品で。『一緒』と言うのはおこがましいですが、僕らも『嵐』のコンサートで、親子席というものを当時でいうと、一番多く設けていたグループの一つだったんですね。座って見ていていいですし、お子さんが泣いたら、ちょっと出てても構いませんよといったルールを設けながらやっていたので、親子に対するアプローチの方法っていうのは、わかっていたつもりではあったんですけれども、それはあくまでも自分たちの環境下のルールなだけであって。
映画というエンタメに置いた時に、(『シナぷしゅ』のような試みは)他にないんじゃないかなと感じたし、親子に対する向き合い方、価値観というものを改めて考えさせられて、令和の赤ちゃんたちは本当にいい環境で育っていくんだろうなと――昭和の赤ちゃんはもうちょっとほっぽり出されてたので(笑)、今の赤ちゃんたちがすごくうらやましい環境にいるんだろうなって感じました」
「シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY」は5月16日から全国で公開。