「序盤~中盤は緊迫していてよかった」爆弾 urushi51さんの映画レビュー(感想・評価)
序盤~中盤は緊迫していてよかった
割と評判が良かった印象なので観てきた。
終盤にかけて全員のキャラがちょっとブレた気がする。
原作は読んでいないから再現度は分からないが、脚本の人も2回戦と言われるパート辺りから展開がたるむことは分かっていたんだろう。
右足吹っ飛んでからの緊迫感がかなり下がっていた。謎解きパートの導入が明確でなく、構造解説に向けてのカタルシスが十分に作れていなかったので、サスペンスとしてはちょっと勿体ない感じになった印象がある。はっきり解説に入ったことを区切る必要があったように思う。
類家をやっていた山田裕貴は、犯人を追い詰めていく過程も知性よりは強引さを感じる演技で、斜に構えた感じが好きになれないし感情移入もしにくかった。序盤の一歩引いた位置の知的キャラのまま真打登場できなかったのだろうか。これも前半は上手くできていたと思う部分の一つだと思う。声張ると全部ああなるのかなぁ…※何でか山崎賢人と混同していたので書き直しました。
染谷将太の最後のセリフは余韻を感じるにはモチョモチョし過ぎていて、あそこは流石に何度か撮り直したらいいのにと思った。少し考えて諦めて、半分は自分に言い聞かせる感じの台詞の筈なんだけど、良い音が出ずに口の中で響いてしまった。モチョモチョしゃべるのが良いところでもあるので注意しないといけなかったと思う。
佐藤二朗は前半から中盤にかけてどんどん不気味になりかなり凄かったが、後半にかけてキャラクターとしては感情の辻褄が合わなくなってきた。完全に他人の計画の馬っちりにたまたま乗っちゃっただけという結論なのに、やたら自信を持って刑事に心理的圧迫を加える姿には整合性が無い。作中でも「私を見て」という発言を繰り返すが、全部見終わって一貫性があるかと言われればどうやらそんなものは無い。その中で最後にしゃしゃってもうひと悶着起こして、「引き分け」発言されてもなぁと思ってしまった。あんた賢いのかもしれんが、別に黒幕じゃなかったじゃない。他人のふんどしで公務員いじめるのは楽しいかね?
全体的にも、心理の後ろ暗いところを突かれて動揺して激昂してみたいなことを何回か繰り返していたが、何かフェイク感があるというか、多分主人公サイドに感情移入出来ていた前半はそこそこ響いていたんだが…これも結局オラオラ演技で少し引いた気分になったことが響いてるんだと思う。警察側の気性が全体的に荒すぎる。
というか、自分は多分類家に「仕事の枠」を意識して欲しかったんだろうなと思う。色々お出しするけど、基本的には感情は乗ってないし情報引き出す為だよというスタンスが欲しかったんだろう。交代してすぐ私怨入り気味にオラついていたから、最後に本音が出てくるところでちょっと響かなかった。
でも前半の緊張感はとても良い体験だった。足吹っ飛ぶ辺りくらいまでは十分に楽しめた。きれいに幕を引くのって難しいんだな。
もしかすると原作が凄い良いパターンかもしれないんだが、同じ仕組みを踏襲しているのであれば、結局鈴木のキャラの辻褄は合わないままになってしまうんだろうと思うとちょっと読むのを躊躇われる。
うーん、可能な限り褒めたいと思うんだが、やっぱり後半で失速すると評価が辛くなってしまう。悪くなかったと思うんだが。
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