劇場公開日 2025年6月13日

「二人は最強バディ!」ラブ・イン・ザ・ビッグシティ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0二人は最強バディ!

2025年6月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

癒される

いまだかつてないほどの頻度で流れていた予告と大量に配布されたフライヤーにより、鑑賞を強要する圧さえ感じた本作。その圧に屈したわけではありませんが、主人公の二人がどのような結末を迎えるのかが気になって、公開二日目に鑑賞してきました。

ストーリーは、自由奔放で自分の思いを貫く強さをもった女子大生・ジェヒは、クラスメイトで控えめなフンスがゲイであることを偶然知り、彼が他の男子学生からゲイを疑われそうな場面で機転を利かせて助けたことから、二人は互いの本音を少しずつ話せる間柄になり、ルームシェアをしながらいつしかかけがえのない親友となっていき、その関係は大学卒業後も続くかに思えたが、二人を取り巻く環境の変化がその関係に大きな影響をもたらしていくというもの。

複雑な思いを抱いていたり秘密を抱えたりしているとき、そんな自分を丸ごと受け入れて理解してくれる人が近くにいることは、本当に幸せなことだと思います。本当の自分をさらけ出すことができず、なんとなく周囲と距離をとって生活していたフンスにとって、ゲイを弱みではなく自分らしさと捉えるジェヒは、初めて出会う理解者であり、あこがれの生き方を示してくれる人でもあったように思います。

周囲から誤解されがちなジェヒにとっても、自分を色眼鏡で見ることなく、正直な思いをぶつけてくるフンスが、他の誰とも違う、本音で理解し合える相手だと直感的に理解したのではないでしょうか。フンスという存在を得たジェヒが、これまで纏っていた鎧を脱ぎ捨てたかのように、穏やかで明るい笑顔を見せ、どんどん魅力が増していったように感じます。まったく正反対の二人だからこそ、変に相手の目を気にすることなく、本当の自分でいられる居心地のよさをお互いの中に感じていたのだと思います。

正直言って、このまま二人で付き合っちゃえと何度も思いましたが、二人の関係は恋愛とは別物なんですよね。こういう見方をすること自体が、自分の物差しで他者を測っているということなのでしょうね。人は、ついつい自分の物差しで測れないものを嫌悪し否定し、場合によっては排除したり攻撃したりしがちです。だから、世間の多くの人の物差しに合わないマイノリティにとっては、自分をさらけ出すことは極めて困難で勇気が必要なことなのでしょう。そんな生きづらさを感じる人が少しでも減る世の中になるといいです。

とはいえ、理解し合うのは口で言うほど簡単ではなく、気持ちがなかなかついてこないのも事実です。ジェヒの婚約者だった弁護士の怒りやフンスの母の心配も、十分に理解できます。そんな周囲の人たちの関わり方も含めて、ジェヒとフンスの心情に優しく寄り添いながら描かれる本作。世間で常識とされる見方や考え方に一石投じる作品となっています。ぜひ多くの人が観て、人間の尊厳を守るとはどういうことか、自分の常識は誰かの非常識になっていないか、一度立ち止まって考えてみてはどうでしょうか。

主演はキム・ゴウンとノ・サンヒョンで、世間の普通になじめないジェヒとフンスをいきいきと演じています。脇を固めるのは、チョン・フィ、オ・ドンミン、チャン・ヘジン、イ・サンイ、クァク・ドンヨン、イ・ユジンら。

おじゃる
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