「ChaO!」ChaO ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
ChaO!
オリジナルアニメ映画絶対観に行くマンなので今作ももちろん鑑賞。
客入りがだいぶ悪く、お盆最終日の夜の上映とはいえ自分含め7人しか入ってないのはかなり衝撃的でした。
キャラデザが独特すぎるのが多分影響してるとは思うんですが、STUDIO 4°Cの華麗なアニメーションを楽しめればという思いで観ましたが…こいつぁ悪い方にとんでもない代物でした。
人魚姫を元に作られたストーリーという事ですが、全部ムリヤリツギハギに繋がれているのであってないようなものですし、人魚と共存している世界観は特別説明なくさも当然のように進められるのも不親切ですし、人魚との婚約からのスターダムからの会社の重要なポジションに就くまでのスピード感も謎すぎて飲み込みきれなかったです。
そこから人魚のチャオとのあれやこれやが入るんですが、これがキャラデザのせいでうまいこと飲み込めず、恋愛模様と仕事模様を並行して描いている割にはどっちつかずですし、多くのキャラクターを登場させている割には誰1人としてビジュアル以外印象に残らないとかいうエグいことをやってのけています。
終盤の主人公の生い立ちのシーンなんかもうフワフワしすぎていました。
めちゃくちゃ終盤のはずなのに急に新しい話を始めますし、両親が亡くなった描写がもう雑すぎて困惑しかなかったです。
主人公がエアージェットを作るきっかけになった事故が両親がスクリューに巻き込まれたってのは良いんですが、スクリューに巻き込まれたイルカを助けるために海に飛び込んだお母さんが出てこなくなったのでお父さんが助けに海に飛び込んで2人ともお陀仏という、イルカが巻き込まれたタイミングでスクリューを止めれば2人とも助かったのでは…?という展開の都合で殺されたのか、はたまた何も考えずにこうなったのか、AIでもこういうトンチンカンなものは生み出せないと思うので人の手で作られた呪物なんだなというところは安心しました(?)。
ラストシーンも安易なハッピーエンドに持って行ってるんですが、マジで問題が解決したのかどうかも全部有耶無耶にして終わっていくという90分足らずという時間ですら無駄遣いしており、これにはポンポさんも激怒不可避です。
今作の最大の問題は間違いなくキャラデザですね。
もちろん可愛いかっこいいが備わっていれば最低限評価はできるのに、それに対抗するようにどのキャラもキャラデザ的魅力は皆無に等しく、それぞれの表情や仕草なんかもわざと嫌悪感を抱かせるようにしているのかな?ってくらい気味の悪いものばかりでした。
個性と言われればそれまでなんですが、唇を尖らせる描写一つでここまで不快にさせられたのは初めてでした。
人魚と人間が共存している世界なので、魚フォルムの時も人魚フォルムの時の姿もあるのは分かるんですが、人間サイドも形が異形すぎるのは一体なんなんだろうと思いました。
めちゃくちゃ体がデカいのもいれば、顔だけデカいのもいたり、手足がないのもいたりして、配慮なのかそういう手癖なのか分からないのですが到底一般ウケするわけないじゃん…というデザインばっかで辟易してしまいました。
一般ウケもといヲタクウケを狙わないという方向性はまだ理解できるんですが、第一印象から悪いのはいかがなもんかと。
チャオの魚フォルムの時が一番キュートでした。
全体的に要所要所に入るギャグ描写がかなり苦手でした。
ラブロマンスコメディと謳っているのでそういう笑いがあるとは思っていましたが、それにしたって滑り散らかしていますし、刺さる人には刺さるギャグなんだろうとは思いますが感性がぶっちぎっていてどこ吹く風ってやつです。
真剣なシーンで茶々を入れるのがどの作品でも好きではないんですが、今作はそこのバランスすらガッタガタなので苦虫を噛み潰しまくりながらは中々に苦痛でした。
アニメーションは素晴らしく、水が滴る様子は美しいですし、カーアクションも訳分かんないくらい動いていましたし、さすがSTUDIO 4℃と思わせてくれる圧巻の技術でした。
ただこのアニメーションですらキャラデザで帳消しにされてしまうのが恐ろしいところです。
声優陣がほとんど本職ではないのが今作では悪い方向に向かってしまっており、山田杏奈さんは比較的聞きやすい方のお声でチャオとも合っていたんですが、鈴鹿くんは感情を爆発させるところでボロが出まくっていたり、長台詞で息が持たなくなったのか後半になるにつれて小さくなってしまっていたりと違和感が強烈でした。
梅原さんや三宅さん、田中あいみさんがさすが本職っていう演技をしている中で芸能人声優が茶々を入れてしまっている気がして純粋にアニメーションとしても楽しめなくなっていたのは致命的でした。
後から知りましたが全国300館規模で公開しているのが衝撃的で、その上でこの夏休みシーズンに劇場がすっからかんなのはある意味貴重なんじゃないかなと思いました。
ここからの大逆転はあるのか…動向含めどうなるかは気になりますが、大問題作であることは確かだということをここに記しておきます。
鑑賞日 8/17
鑑賞時間 19:05〜20:35