「どこかに連れ去られそうな田舎の日没の奥の闇」メイデン ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
どこかに連れ去られそうな田舎の日没の奥の闇
カナダの新鋭監督か。グレアム・フォイ。もの凄くヨーロッパ系の感覚で写されたカナダインディペンデントというか、やっぱりドランとかの次の世代なのかな。とにかくカナダの田舎の嫌な感じだったり、美しいとこだったり、怖いとこだったり、ぞっとするところだったり、強烈でポエティックなリアリティの積み重ねで見たことのない幽玄な、というかヒリヒリするほど切ない感情が紡がれる。あんな日没は怖い。真っ暗になる直前の風の音は怖い。普通に営まれる高校生活から脱線していく男Aとか女Aとか。ほんと暗闇にふらっとさらわれてく感覚は、どこか「銀河鉄道の夜」みたいやテイストもある。
『アフターサン』とかもそうだけど、この映画でないと捉えられない言葉にならないもろく切ない感情とフィルム撮影と音と音楽がすごすマッチしていた。
親友からさよならを告げられるメールを部屋でみているホイットニーの横顔や刺してくる日差しやグラスの氷とか、こういったものの表出がうまいし怖い。
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