劇場公開日 2025年4月11日

「戦争史上最悪の罪は消えない」ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦争史上最悪の罪は消えない

2025年5月16日
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鑑賞方法:映画館

NHK「映像の世紀バタフライエフェクト ゲッベルス狂気と熱狂の扇動者」の録画を観てから鑑賞した。去年の9月位の放映だったのでこの映画の公開を見据えてたんだと思う。映画に差し込まれる当時の映像は同じものが沢山あった。
このテレビドキュメンタリーでもヒトラーとゲッベルスに激しい嫌悪感を持ったが、映画を観てそれは更に増幅し当時の悪政に関わった全ての人とそれに(騙されたといえ)扇動させられたドイツ人市民にも怒りが込み上げてきた。
ヒトラーは「生存圏の確保とユダヤ人撲滅は念願だ」とゲッベルスに話し、「民主国家では宣伝次第でバカでも権力を持てる」との考えでゲッベルスを重用していく。ゲッベルスは「世界征服を目指すユダヤ人に率いられた欧米諸国とソ連がドイツを破滅させようとしている」と嘘の世界を作り上げ世論を操作していく、そしていい気になったゲッベルスは不倫に走る。しかし不倫で宣伝相を失いたくないヒトラーはゲッベルスとその妻を恫喝し不倫を精算させる。ヒトラーの隣の席を守りたいゲッベルスはその後ヒトラーの念願を叶える為に奔走する。
結果、ナチスドイツは当時欧州に1100万人いたユダヤ人の内600万人を虐殺した。
戦況が断然不利となりヒトラーは自決し、翌日ゲッベルスも妻と6人の子供たちを道連れにし死んだ。ゲッベルスは歴史に名を残し伝説になりかったのだろうが、戦争史上最悪のその罪は永遠に消えることはない。
この映画を作ることを熱望し完成させたヨアヒム・A・ラング監督は「この映画は歴史を扱った映画だが、現代に対する警告でもある」と言っている。我々は今、まさに操作された情報、偽情報に常に晒されている。そして世界にはどう考えても間違っている悪の為政者が多く存在する。
それでも諦めてはいけない。未来はある。と思いたい。

アベちゃん