「ツッコミどころが目立ったかな」きさらぎ駅 Re: 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
ツッコミどころが目立ったかな
本作は、前作『きさらぎ駅』に続くシリーズ第2作目にあたります。残念ながら前作はスクリーンで観ることができなかったため、本作の鑑賞前日に配信で視聴し、準備を整えた上で臨みました。そのおかげで、両作品の比較を明確に行うことができました。
前作では、恒松祐里演じる堤春奈が主人公でしたが、本作では本田望結演じる宮崎明日香が主役を務めています。もっとも、両者とも本作に出演しており、ストーリーは、異世界から帰還した明日香が、自らを救ってくれた春奈を助けるために、再び遠州鉄道に乗って「きさらぎ駅」を目指すという筋立てになっています。この物語構造自体には特に問題はなく、自然な展開だったと思います。
しかしながら、前作と比較すると、本作には気になる点、いわゆる「ツッコミどころ」が目立ち、個人的にはやや評価が分かれる内容でした。
第一の疑問点は、異世界からの生還者として有名人となった明日香がテレビ番組の取材を受け、テレビクルーと共に佐藤江梨子演じる葉山純子の自宅を訪れる場面です。そこで異変を感じた明日香たちは、純子が外出した隙を突いて自宅に不法侵入しますが、これはまったく受け入れ難い展開でした。フィクションとはいえ、現実世界を描いた場面でテレビクルーが堂々と不法行為に及ぶのは無理があります。仮に「人命救助のための緊急避難だ」とする意見があるとしても、まずは警察に通報するのが筋でしょう。この時点で作品世界との距離を感じてしまいました。
第二の疑問点は、異世界から現実へ戻るための最後の難関である「目玉の怪物」と対峙する場面です。怪物は地面に足がついていなければ襲ってこないということが判明し、登場人物たちは校庭に机や椅子を並べてその上を渡る作戦を取ります。ここまではよかったのですが、出口までの距離に対して机や椅子の数が足りずに行き詰まります。しかし、渡り終えた机や椅子を後ろから順に前に運んでいけば、問題なく通れるはずです。それをなぜしなかったのか、理解に苦しみましたし、正直、苛立ちを覚えました。
このように、納得のいかない点が2つありましたが、前作同様、俳優陣、とくに女優陣の演技は見応えがありました。前作では準主役だった本田望結が本作で主役を務め、安定感のある演技を見せてくれましたし、佐藤江梨子の怪演はホラーチック満点で、2作品を通じて最も不気味で印象に残るものでした。また、奥菜恵さんの久々の登場も嬉しいサプライズでした。
そんな訳で、本作の評価は★3.2とします。
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