「誰に対しての自動返信なのかを考えると、仕込みに騙される残念な人になることは避けられると思う」きさらぎ駅 Re: Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
誰に対しての自動返信なのかを考えると、仕込みに騙される残念な人になることは避けられると思う
2025.6.14 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(82分、G)
前作『きさらぎ駅』の続編にしてアンサー映画
監督は永江二朗
脚本は宮本武史
タイトルに付随する「Re:」は、メールの自動返信などにタイトルに挿入される記号のこと
物語の舞台は、静岡県浜松市
前作にてきさらぎ駅から生還した宮崎明日香(本田望結)は、「ザ・アンチフィクション・イメージ」というドキュメンタリーに出演していた
角中瞳(奥名恵)がプロデュースする番組で、彼女は数々の賞を受賞するやり手のディレクターだった
明日香はかつて一緒にきさらぎ駅に行った人々と会うものの、誰もが不幸に見舞われていて、彼女自身も誹謗中傷の嵐に晒されていた
彼女が帰ってきたのは20年後の未来で、体感的にはつい少し前という感覚だった
だが、見た目が20年前のまま40歳になっていて、それが奇異な目で見られる原因となっていた
物語は、このドキュメンタリーの映像が終わり、局の判断で放送が見送られる様子が描かれていく
そこで明日香は、せめて自分を助けてくれた春奈(恒松祐里)を助けたいと考え、再びきさらぎ駅に向かうことになった
明日香は同じように電車を乗り継ぎ、きさらぎ駅に向かう列車に乗り込む
そこには、3年前から乗り込んだままの若者・飯田(寺坂頼我)、ホストのハヤト(大川康雅)、喪服を着た鎌田夫婦(柴田明良&中島淳子)がいて、隣の車両にはあの時と同じように春奈が乗っていたのである
映画は、その後前作と同じようにトライ&デスを繰り返し、初心者置き去りのドン引き展開が描かれていく
そして、何度も繰り返していくうちにルールがわかってきた初心者たちと連携をしていくことになる
だが、出口の扉を通ることができても帰ることはできなかった
そこで明日香は、「きさらぎ駅で降りない」という奇策を考えつき、春奈を電車から降ろさないという方法を取って、彼女を助けることに成功するのである
物語のテーマは、ネットなどの誹謗中傷者に対するアンチテーゼで、どれだけ訴えても理解されないから「同じ体験をさせる」というもので、この番組を通じて「アンチに検証させて」きさらぎ駅へと迷い込ませる
明日香の目論見通りに多くのアンチがきさらぎ駅にやってきて、阿鼻叫喚のラストへと繋がっていく
想像力のない人たちのヘイトに対してどうするかという方法が描かれていて、それは劇薬以外にはないという結論に至っている
きさらぎ駅のことを理解できないので行かせることになり、その中で生き残る者は数年後に現実に戻ることになる
その体験者が数千人規模になればアンチの声も封じられていくので、巻き込む以外には方法がないという暴論になっている
だが、これはある種の正論で、他人事としか思えず、自分には降りかからないと思う人ほど声が大きいというのは間違いないと思う
いずれにせよ、オチが秀逸な作品で、前半のドキュメンタリー部分を耐えられればOKだと思う
その後のトライ&デスの既視感と、難易度が上がるところは笑うところで、そう言った予定調和を楽しむ内容になっている
個人的に笑えたのは、ドキュメンタリーの語りが坪内守で、彼は車で乗り付ける公務員風の男を演じているので、メタ的に考えると「きさらぎ駅の住人」が明日香の思惑に便乗しているようにも思える
明日香はアンチに体験させたいし、住人としては多くの人にきてほしいと思っているかもしれないので、そのプロモーションに踊らされている情弱がたくさんいるようにも見えてくる
さらにこの映画が海外で放送されて逆輸入になるのも面白い構造になっていて、外国信仰はそう言った残念な層ほど信じる傾向が強まるので、そのあたりも踏まえた仕掛けになっているのかな、と感じた
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