「誰が誰を一番愛したの?」おばあちゃんと僕の約束 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)
誰が誰を一番愛したの?
少し気が塞ぐことがあって、こんな日は甘いほっこりする映画が観たいなんて思ったら…
とてもとても、そんな甘い甘い映画ではありませんでした。
冒頭で一家が墓参りをするシーンで墓標が漢字なのに微かな違和感を覚えました。
そう、これは代々タイに住む中華系一族の物語。
家族のルーツは重要な伏線です。
おばあちゃんを含めた家族夫々が思いの外、辛口の言葉で赤裸々なホンネを洩らし、金銭欲や疑いを隠さない。
微笑みの国タイから想像していたよりもずっとエスプリの効いた、フランス映画を彷彿とさせる雰囲気で二転三転しながら物語は進んでゆきます。
長い人生を送った人は、その道のりで得た様々な想いを抱えて最期の日々を過ごす。
ままならない事もあれば、撒いた種が大樹となることもある。
誰もが善人一筋でもなければ極悪人という訳でもない。
浮世を泳ぎぬくために精一杯な人々の姿に、鑑賞前の予想とは違った不思議な心の安らぎを貰って劇場を後にしました。
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