「言いそびれた「ごめんなさい」と言えなかった 「ありがとう」を紡ぐ佳作」おばあちゃんと僕の約束 えあさんの映画レビュー(感想・評価)
言いそびれた「ごめんなさい」と言えなかった 「ありがとう」を紡ぐ佳作
全編を通して、「これぞ、まさにタイ!」って感じの景色や生活が、画面から零れ落ちそうなほど溢れ出ています。
そして肝心の中身ですが、前半は、なんだか“かったるく”感じた半面、いろんな点と点が少しずつ紡がれていく後半は、そのたびごとのエピソードひとつひとつに、個人的にいちいち思い起こさせられることが多すぎて、自然と涙が出て止まりませんでした。
ただ、ひとつ「残念」だと感じたのが日本語タイトル。
たしかに無難で正しいんだけど、もうちょっと広く一般の人たちをも惹きつけるタイトルじゃないと、せっかくの良質な作品なのに、このタイトルだと、特に気に留めることもなく見逃してしまう人も数多くいるんじゃないか?
それが、とてももったいないと思いました。
あと、いまひとつよく分からなかったのが、ムイとメンジュ(おばあちゃん)の関係性。
エムとムイは従妹なんだから、メンジュ(おばあちゃん)とムイはそれなりに関係性があると思うんだけど、なんか、お互いをよく知らない、ほぼ初対面みたいな挨拶を交わしてたとこが??でした。(ちゃんと相関図で紐解けば理屈にあってるのかもしれないけど)
それにしても、Billkinって、正直、けして超イケメンってわけじゃないのに どこか生活感のある存在やたたずまいが、 他にも数多いるタイの俳優さんたちとは一線を画す、滲み出るような魅力がある。
知れば知るほど、どんどん惹かれていく存在であり、 そういった意味でも、このフィルムは、 彼じゃなきゃ成立してないんじゃないかというくらいに、味わい深さが凝縮されていていると感じました。
とにもかくにも、言いそびれた「ごめんなさい」や、言えなかった 「ありがとう」の言葉を伝えたいがための作品であり。
家族であるという間柄であればなおのこと。「誰かを心底愛したことがある」もしくは「愛されたことがある」ことに身に覚えがある人なら、まるで心の扉をノックされているかのように響きまくる作品じゃないかと思います。