「感動してる場合か?」おばあちゃんと僕の約束 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
感動してる場合か?
第97回アカデミー賞・国際長編映画賞(タイ代表)のショートリスト(一次選考)に選出された本作。米国映画レビューサイトの評価もかなり高く、まず間違いはないだろうとそれ以上の情報は入れず、トレーラーも観ずに約半年ぶりのシネスイッチ銀座にて鑑賞です。
本作、邦題から想像するにざっくり「おそらくは感動的な作品」なのだろうと考えていましたが、鑑賞してみて正直「特別に響くもの」はなく、むしろ身につまされる部分が多くて、苦しかったり、居た堪れなかったりとやや複雑な感情。境遇こそ違えど、過去の経験や現状における懸念など自分と重なる部分も少なからずあって、何なら「感動してる場合か?」と現実への揺り戻しの方が強く感じてしまいます。
そもそも「この手のテーマ(ネタバレしないようにぼやかします)」と、それに付き物である「(家族の)揉め事」というのはドラマになりやすく、そして多くの人が「通る」経験でもあるため大変に普遍的です。今作の場合はこのテーマに対し、「別れる」と言うことをきっかけに想う「無償の愛、からの感動」までの助走として、(主に男性陣による)「あからさまな下心」「無遠慮な態度」「行き過ぎた行為」など、家族と言う関係性だからこそ(ギリ?)看過されるような甘えを反作用に、「感動」を盛り上げる効果を期待しているのでしょう。(興醒めな観方で申し訳ありません。)ですが、そういう構造もまた古典的で今更な感じも否めず、「とは言え、酷い」態度オンパレードな彼らに心を殺し、ただ淡々と観続けるだけになっていく私。その結果、だからこそ冷静に「オチはこういうことだろうな」と早い段階で気づくのですが、或いは、その目線で見れば英題『How to Make Millions Before Grandma Dies』は最初から「目的」がはっきりと示された「あからさま」さが、最後にチャラになるように感じてむしろ趣(おもむき)があります。(ちなみに原題『Lahn Mah』はシンプルに『おばあちゃんと孫』。)
と言うことで、ややネガティブに振れたレビューですが、決して作品を腐す意図はありません。綺麗にまとまっていますし、感動する方がいるのも全く否定しません。あくまで私にはハマらなかっただけ。あくまで好みの問題です。お許しを。
あ、病院での独特(?)な「行列“代用”手段」は如何なものかと思いつつも、ちょっと面白かったです。余談まで。
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