「違っていても、私たちは一つ」ズートピア2 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
違っていても、私たちは一つ
やはり『ズートピア』は裏切らない!
今年のディズニー/ピクサー。『白雪姫』実写は大コケ、『リロ&スティッチ』実写は大ヒット、『星つなぎのエリオ』はコケ。となると次は大ヒット。その通り。
9年ぶりとなる待望の続編は、公開からまだ一ヶ月も経っていないのに『リロ&スティッチ』を軽々と抜いて世界興収11億ドルを突破。日本でも2週目で40億円を突破。洋画久々の100億円超えや今冬無敵の大ヒットを狙える破竹の勢い。
数字だけじゃなく、無論中身やクオリティーの方も。
ニンジンと詐欺師。ウサギのジュディとキツネのニックの最高バディ。
掛け合い、ユーモア、ミステリー、アクション…。全くダレずテンポ良く。
動物を擬人化した単なる可愛いアニメーションに非ず。人種の坩堝であるアメリカをモデルにし、見た目や違い(=人種)、差別偏見、共存や平等を巧みに動物に置き換えて。
それが『ズートピア』の魅力。ディズニーアニメ近年屈指の名作と言われる所以。
さて、そんなジュディとニックが新たな事件と陰謀に立ち向かう事になるのだが、今回もと言うか、まずひと騒動。
9年ぶりの続編だが、話的には前回からすぐ。
前回の事件を見事解決し、ウサギ初の警察官として認められたジュディ。共に貢献し、警察学校を卒業してこちらもキツネ初の警察官になったニック。晴れてバディに。
早速、バディとして活躍!…バッファロー署長や先輩の制止も聞かず。
結果、犯人は逮捕したけど、前回の功績を打ち消すようなトラブル大失態。
街の為にした事と言うジュディといつも皮肉屋のニック。ちょっと反省の色が無いかな…。
バッファロー署長の小言も分かる。お前が無茶したら後に続くウサギ警官のイメージが悪くなる。
さすがに反省するジュディだが、事件への嗅覚はいつもながら。
追跡していた時、あるものを見つける。それはヘビの脱け殻…?
ズートピアに居ない筈のヘビ。と言うか、ズートピアには爬虫類は居ない。動物園にも爬虫類は居るのに…。
居ない事はない。“海外”やズートピア外のある一定の区域には居る。
が、あらゆる動物たちが暮らすズートピアに於いて何故…?
ズートピア建国の秘密と今回の話の主軸になる…。
ズートピアが動物たちの理想郷と言われる理由は、各タウンやあらゆる動物たちに対応した気候装置=ウェザーウォール。
これがズートピアの礎であり、その設計と特許を持ちズートピア建国に貢献したオオヤマネコのリンクスリー一族。
ズートピア100周年の祝賀会が開かれ、手掛かりを掴んだジュディとニックは念願の潜入捜査。…あ、署長からは捜査から外れろと釘を刺されてます。
その華やかなパーティーで、またもやヘビの姿を見る。そして、大騒動が…。
ズートピア建国が記されたリンクスリー家の日誌。それを狙うヘビ。
追うジュディとニック。ヘビは言う。どうしても日誌が必要なんだ。
その言い方に悪意は感じられず、必死さを感じるジュディ。ヘビは何かを証明しようとしている…?
だが、この時のドタバタで署長がヘビの毒刃に掛かり、さらにヘビとジュディたちがグルという誤解が…。
今回も登場“ゴッドファーザー”なネズミの助けで場を脱するも、ジュディとニックはズートピアのヒーローから一転、指名手配されてしまう…。
ジュディとニックの大ピンチ!
そもそも何故ズートピアには爬虫類が居ない…? 昔起きた事件。
リンクスリー家に仕えていたカメの家政婦がヘビに殺された。
ヘビであったが為に忌み嫌われ、爬虫類全てがズートピアから追放された。
事件に爬虫類が関係してる事を察するジュディ。
爬虫類の事なら爬虫類に聞く。ズートピアに隣接する海獣や爬虫類が暮らす地区。
そこで有力な情報。イグアナ長老曰く、日誌の表紙が金属で出来ているなら重要なのは日誌ではなく表紙。
同僚警官の追っ手。振り切って、巨大水管に流され、山岳地方へ。
また何とか危機を脱したジュディとニックだが、バディの絆に軋轢が…。
丁々発止の言い合いはいつもの事だが、今回はそれと違う。はっきりと考えの対立。さらには、2人の友情の印でもある録音機能も付いてるニンジン型ペンを壊してしまう…。
2人の間に気まずい亀裂が…。
山の頂上にある古い家。通りすがりのヤギから有力な情報を聞き、ジュディは一人でも目指す。
そこに居たのは…。ヘビ。名はゲイリー。そして彼の意外なバディ。ジュディも祝賀会で会っているリンクスリー家の末っ子パウバート。
ゲイリーの目的は、彼の家族の名誉回復。
パウバートの目的は、一族の横暴や悪事を暴く為。リンクスリー一族は拡張でズートピア建国に貢献してきたが、今また海獣や爬虫類が暮らす地区から彼らを追い出し、併合しようとしている。
それと似た事がゲイリーの曾祖母とパウバートの祖父の時代にも。
驚くべきズートピア建国の本当の真相が明かされる…。
ズートピアの礎であるウェザーウォール。それを開発したのはゲイリーの曾祖母だった。
その開発の資金提供をしたのがパウバートの祖父。
だが欲深いパウバートの祖父は特許を偽造し、開発も特許も自分のものに。
目撃者である家政婦のカメを殺し、その罪をゲイリーの曾祖母に。
これによりヘビや爬虫類への風当たりが強くなり、ズートピアから追放され、かつて爬虫類たちが暮らしていた町も真相共々雪の中へ…。
だがまだ名誉回復の微かな一手がある。ゲイリーの曾祖母は特許を家の中に隠した。
かつて爬虫類たちが暮らしていた町、ゲイリーの曾祖母が住んでいた家さえ見つかれば…。そのヒントが日誌の表紙に。
再び執拗な追っ手。ニックは危機を報せるが、ジュディはゲイリーたちを信じる。
ここで2人は完全に決別。命を懸けるような事か…?
ニックは逮捕され、ジュディはゲイリーたちと逃げる。
追う追っ手。渋々命じるは馬の新市長。彼に圧力を掛けるのはリンクスリー家。
警察や権力者から追われるジュディ。
ゲイリーの家族の名誉回復は…?
逮捕されたニックは…?
ジュディとニックはバディを解消してしまうのか…?
本格的な捜査ミステリーは今回も。
ズートピアに居ない筈のヘビの存在、資産家一族の陰謀、ズートピア建国の本当の真相…。
これだけでも充分二転三転なのに、クライマックスもう一捻り。まさかの裏切り者…。
謎を提示し、これらが徐々に繋がり、驚きや真相が明らかになっていく展開はさすが。今回も飽きずに見れる。
まだ2作目なのにキャラもすっかりお馴染み感。署の上司や仲間、相変わらず呑気なジュディのパパママ、ニックの元詐欺師相棒のキツネや今回も海賊版DVDを売るイタチ、魅惑的なアーティストガゼル、前々市長のライオンは出ないけど、サイコだった羊の前市長はひょっこり登場。それから一番のお気に入り。実…は…ス…ピ…ー…ド…狂…の…ナ…マ…ケ…モ…ノ…も…勿…論…出…る…よ。
新キャラでは心優しきヘビのゲイリーやパウバートとリンクスリー家。
海獣や爬虫類の面々。
中でも、ジュディに協力するポッドキャストのビーバーのニブルズ。時々変わり者だけど言ってる事は正しくて所々頼りになる彼女に、ヤドモヤドモヤドモヤドモetc。
ヘビや爬虫類に苦手意識ある人も多い。
そんな固定観念だけで抵抗や嫌悪を抱いてしまうのは如何なものか…?
これが人間だったら…?
○○人というだけで、嫌い、いい印象を持ってない、悪い奴…。
言語道断だ。
確かに簡単には解消出来ない難しい問題だ。それが原因で争いが起こる。日本は今、某国と最悪なくらい関係悪化…。
差別、偏見、違い、印象…。それらを解消して理解し合って、私たちも理想的な世界(ズートピア)を。
『ズートピア』が訴えるメッセージは変わらない。
それを試される今回のジュディとニック。
ジュディは何より、世界や正義の為。
ニックは命優先。命は命でも自分の命ではなく、ジュディの命。
猪突猛進のジュディを心配するニック。
だからついつい言ってしまった。命を懸けるような事か…?
ニックの言い分も分かる。
世界を変える為なら小さな存在のウサギでも命を懸ける。
ジュディの言い分も分かる。
ウサギとキツネの違い…? 警官と元詐欺師の違い…? 私たちは違うの…?
苦悩した2人が出した答えは…。
違いを受け入れる事。
違ってたっていい。違っていたって、私たちは一つなのだ。
“世界は同じ”…かの有名な『イッツ・ア・スモールワールド』と言ってる事違うようにも思えるが、こうも言っている。“ただ一つ”。
ディズニーも時代毎に新たなメッセージを伝えるが、根本にあるものは変わらない。
分かってはいても、ジュディとニックのバディ再び!…は胸アツ。
2人とゲイリー&ニブルズで、裏切り者を成敗!
その裏切り者、一族の為に…なんて抜かしたけど、それでアンタを受け入れてくれるとは思わないよ。
早い時点で裏切り者が分かっちゃった点、今回もメッセージは素晴らしいが前作ほどの目から鱗の斬新さは感じられなかった点、多少難はあるが、今回も上々。
ED後の映像から次も期待出来る。そういや登場していない○類。
他の生物も出来そう。まだまだ拡がるズートピアの世界。
『ズートピア』は映画の理想郷、“ムートピア”だ!
(↑ちょっと無理矢理過ぎたかな…(^^;)
共感をありがとうございます。
前作は観たが内容を忘れていて、今作はテンポが良すぎ展開が早すぎて細かいところが良くわからなかったのが、近大さんのレビューでよく分かりました! ありがとうございます。
バッファロー署長はいいですよね。無茶すると後にウサギが続けないだろ、納得です。部下だけでなく視野が広い良い上司です。うちの上司もあんな風だと(以下消音)
捜査ミステリーもなかなかだし、盛りだくさんで贅沢に楽しい映画でした。キャラクターがそれぞれの動物の特徴をちゃんと出しているのがさすがです。そして、何気にビーバーのニブルズが全部持ってったような。運転すると性格変わるナマケモノは爆笑です。
近大さん、共感とコメントありがとうございます。・_・
前作よりもメッセージ性が強くなったような気がしました。
けれど、見ていて楽しい作品です。
更に続編あるのでしょうか。さて。
あと、モアナの実写について
マウイの役についての情報ありがとうございます。
納得感あるキャストです。
共感ありがとうございました。
こけようがないほどよくできてましたけど、100分に詰めることを意識したのか、かなり速い展開で、人によっては咀嚼不足になりそうなほど濃かったですw
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。


