「どこに重きを置くかによって評価の別れる映画」ズートピア2 フカフカくんさんの映画レビュー(感想・評価)
どこに重きを置くかによって評価の別れる映画
曲よしテンポよしで、映画としては楽しい映画でした。
とにかく目まぐるしく物語が進み、ずっと賑やかで、何も考えずに楽しさに浸れるような。
しかし、続編としてどうだったかと聞かれると、正直とても悲しい。
なぜそう感じたかというと、キャラクターの人格が蔑ろにされていると感じたからです。
まずジュディについて。
1の彼女は、「所長の言うことを聞き、納得がいかないながらも自分にできることを全うしたうえで、目の前に困っている人がいるから」命令に背くという流れで事件に関わることになります。
その流れで住人たちに危険が及ぶこともありますが、その中で最善を尽くして国民を守るための行動を取ります。
しかし2では、自己の欲求のために動きます。
前作の彼女のような誠実さはなく、破天荒で、周囲に危険が及ぼうがお構いなしな性格に描かれています。
そしてなにより悲しかったのが、前作で「あなたがいないと無理」だとニックに伝えたジュディが、一切ニックの言うことを聞かないキャラクターにされてしまったこと。
注意を聞かないというより、とにかく”話”を聞かない。非を認めない。
そのため、自己中心的なジュディを、ニックが寛大な心で追いかけ続けるような構図がずっと続きます。
それがあまりにも酷く、ニックの行動すべてが、ただの彼女への依存に見えてしまうほどに。
上記のような違和感を感じながらも、ラストは感動しました。
意図を補うように畳み掛ける言語化には思うところはありましたが…
それでも、それぞれが自分の弱さを認め、打ち明け、受け入れて絆を深める。
2人のことが大好きな自分にとっては、涙なしでは観られませんでした。
でも本当に、見たかったのはこの2人でしょうか?
お別れエンドでなければ、感動できれば、ジュディがかわいければ、ニックにトキメくことができれば、それだけでいいのでしょうか?
私はそうは思えません。
正直、2のジュディに対しては、残念なほどニックとバディでいる必要性を感じず、
また、ニックがただのわがままを聞いてくれる都合のいいバディに成り下がってしまっていると感じました。
彼は、もっと賢く抜け目のない性格で、詐欺師の経験で得た巧みな言葉回しや知識で彼女を導いていたはず。
少なくとも、尻に敷かれ、なぜか1人だけ水を浴びたり大きなミミズに当たったり、意味もなく不遇な目に合うようなキャラクターではなかった。
どちらにも言えることですが、前作では上手くバランスが取れていて愛おしかったはずの短所が、そればかりを全面に出されることでキャラクターの崩壊を産んでいる。
これは、トイストーリー4を観たときと同じ感覚でした(あそこまで酷くはなかったですが)。
今作では、前回の二人の人格形成に大きく影響を与えたと思われる監督、脚本家、総指揮官がいないので、仕方ないのもわかります。
ですが、やはり悲しい気持ちは拭えません。せめてスピンオフならよかった。
公式にお互いがお互いを理解し、尊重し、得意な分野で補いながら行動していた2人が恋しくて、何度も1を見返してしまっています。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
