「すまねえ、ズートピアの謎にはそんなに興味無いんだ」ズートピア2 てんぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
すまねえ、ズートピアの謎にはそんなに興味無いんだ
だいたい前作と同じくらいの面白さ。満足感はとても高い。
前作はウサギとキツネがコンビになるまでを描いた話だったが、今回はウサギとキツネが真のコンビになるまでを描いた話だった。
全く同じとは言わないが、新しい物語を見たという感覚は薄い。
その理由は明確で、今作のテーマと私の期待が少しズレていたから。
今作の目玉は予告でもあった通り「ズートピア誕生の謎」にある。実際、物語の導入から謎の提示、解決までの導線は非常にスムーズで鮮やか。その謎とキーキャラクターであるヘビのニックとの関りから事件の発端まで、全ての要素が整理されていて迷う事が無く、この辺りの手腕は流石のディズニーという貫録でなかなか隙が無い。
ただ、個人的にはそもそもズートピア誕生の謎にはそんなに興味が無い。
前作で楽しかったのはズートピアという多様性そのものを可視化した世界で巻き起こるキャラクター同士の受容や偏見に基づくリアリティの高いドラマだったので、今作にも多種多様な動物キャラクター達のアッセンブルを期待していた。
これは完全に個人の好みの問題なので、ズートピアの秘密にときめいた人にとっては相当面白い映画だったろうとは思う。
実際、相当面白いのは間違いないが、面白さのフォーカスが「ズートピアの謎解き」に寄っていて、期待した「動物キャラクター達のドラマ」にあまり接近しなかったので、個人的な盛り上がりは前作とトントンといった感じ。
ドラマ部分では相変わらずのジュディ&ニックのコンビが見ていて楽しいのだが、全体的にはジュディの善性が暴走しすぎではないか?と思う場面がやや多い印象。
物語冒頭のあまりにも力技過ぎる密輸品捜査は面白かったが、謹慎直後の潜入捜査、命がけのパイプダイブなど、大抵の場面はニックが正論を吐き、ジュディが結果オーライでゴリ押す展開が続くのでニックの苦労が非常に偲ばれる。
何だかんだ、どちらも互いの想いを言葉にして話し合おう、という所に落ち着くが、ニックはそれで良いとして、ジュディの方はもっと別に鑑みるべき部分があるのでは?と思ってしまう。
物語構造自体も一匹狼的に犯罪を追って解決する形なので、そこは前作とあまり変わり映えせず。
まあ昔から警察物と言えばこういう展開がお決まりではあるが、せっかく多様性が強みの作品なのだから組織を挙げて協力する様も見てみたかった。
あと、前作で好きだったネズミのゴッドファーザーやナマケモノのドライバーがまた活躍したのは純粋に嬉しい。
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