劇場公開日 2025年12月5日

「続編は10年後?環境問題?新型ウイルス?」ズートピア2 わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 続編は10年後?環境問題?新型ウイルス?

2025年12月7日
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圧倒的傑作であることは間違いない。ファンムービーの側面もちゃんと押さえつつ、前作をしっかりとアップデートしているストーリー展開でした。

前作は偏見に満ちている世界であること、その偏見に気づいて謝ること、もしくは考えを改めることが主題だったように思う。マイクロアグレッションとかアンコンシャスバイアスとか。そこで、動物あるあるギャグをかなりやったからこそ同じ路線のみで行くだけだとただの焼き直しになる。

草食動物と肉食動物の対比だと、ジェンダーとか思想の右左とかマイノリティーとマジョリティーとかメタファーは見るものに委ねられる。今回は明確に移民問題。現実を寓話化、しかも子供にも観られるようにマイルドにしなければいけないとはいえ、かなりチャレンジングな作品だったと思う。

ズートピアが不思議なのは、トランプ政権なんだよな…安い労働力の移民を雇用バランスを崩すから排除する思想は、ズートピアがまだ描けていない「経済的な差別」。いつかやってほしいけど、ディズニーがやるには暗いか。次作は鳥だから(匂わせの内容的に)、また移民とか、コロナウイルスのようなものとか、もしくは環境問題とか、何を描いてくるか期待は膨らむばかり。昆虫や魚はないがしろ問題もね。

前作のフラッシュ(ナマケモノ)の描き方って面白いんだけど、笑っていいの?っていうのはあって。生まれながらにどんなに努力しても乗り越えられないことに対して冷笑する姿勢が差別だと思っているので。人間に置き換えると、吃音の人間を笑うということになる。だからこそ今回の描き方は「違っていてもいい」を示すには良いですよね。フラッシュのセリフはディズニープラスの短編のプロポーズオマージュになっているのもいい。

大事なことは言葉にしないと伝わらない。当たり前だけどできない。ちなみにそれができずに影で償いをしても届かないことを表しているのが、奇しくも同じキツネが出てくる『ごんぎつね』なわけで。共に思いを伝え合う様は号泣必至だったし、セラピーってバカにされるけどバカに出来ないのよね。

なんか優等生で詰め込み過ぎという印象はある。倍速視聴やTikTokのショート動画を好む層すら撮り逃さない、丁寧なフリと展開の速さと豊かさ。緩急という点では前作の方が良かったのかもしれない。

映像の質感が本当にすごい。予告編で流れていた来年のビーバーの映画がかわいそうになるくらい(ピクサーで広義ではディズニー)。スタッフクレジットの人数からも相当な努力がね。ビーバーの新キャラ良かったですね。山田涼介も上手かった。

もちろん個人の努力こそ偏見を乗り越え差別をなくすために必要ではあるが、警察の採用システムといった社会的制度を変容させることも必要なわけで。努力では変えられない長所と短所もあるわけで。そこをバディの支え合いで乗り越えようというのももう一押し欲しい気もする。ハグで乗り越えるのは『アナ雪』を想起。異性愛でもシスターフッドでもない関係性で、このまま続編も行って欲しい。

週刊文春や暴露系SNSが持ち上げられる理由もちょっとわかる。この2人は社会正義のためなら少々の不正はなかったことにしている。こればっかりはしょうがないかな。

今回は日本語バージョンの歌ないんだ。大人からすると批判対象になりやすいけど、子どもは日本語だと歌えるのよ。印象に残るのよ。職業柄。

10年に一度しか言わないとニックに言わせた以上、次回作までにはまた10年以上空いてしまうのだろうか。とりあえず、ジュディとM-1は上戸彩で。

わたろー
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