「10年寝かした割には...」ズートピア2 Ashさんの映画レビュー(感想・評価)
10年寝かした割には...
極太きしめん一本をひたすらに啜っていたらいつの間にか食べ終わっていた...そんな何の捻りもなく平坦な展開が続いていて、気づいたらエンドロールになっていた。10年寝かした割にはそこまで面白くなく、全体的に何がしたかったんだろうという評価。テーマの根底には「家族愛」が間違いなくあるだろうが、劇場で描かれる「バディ」やモブキャラクターがたくさんいるせいでで結局主題として何を描きたいのかが伝わりづらく、とっ散らかっているように見えた。あとズートピアシリーズは元々公開時の世相を表した社会的風刺な側面が強いシリーズであるが、「2」は2025年時点の世界の暗部が暗すぎるせいか、なかなかグロい仕上がりになっていたと思う。
例えば序盤。ニックがパーティ会場の暖炉のある部屋でゲイリーのことを初めて見た際に「男か女か分からないけど」という台詞を発するが、これは後のシーンでゲイリーがジュディに対して「ハグしていい?」という発言を何回かするから、フェミニズムやLGBT問題で炎上してしまうことに対する予防策として挿入された台詞なんじゃないかと邪推してしまった。
また、赤いトンネルの中でゲイリーを追跡するシーンがワースト。まずアナ雪などのDVDパッケージを販売する店主が「DVD屋は儲かっている」と発言したシーン。劇場に観に行った客の収益より(アメリカの)レンタルビデオ屋が儲かっているというディズニーの皮肉のように感じられて、自分はディズニー作品を劇場で見るのは『ズートピア1』以来10年ぶりだけれども、「うわあ...最近のディズニーってこんな自虐を交えた自社のブラックジョークを普通に挿入するんだな、昔だったらあり得ないよな」と思ってしまった。
その後非常ハッチから脱出したジュディの台詞も最悪。え?ニックが死にかけてたのを助けてくれたのに、第一声でそんなこと言うの?と思ってしまい。全編を荒めて振り返ってみると、にんじんのレコーダーペンを落とすくだり以外のほぼ全てのシーンで共感のできないことでずっとギスギスしていて、口論の内容にもリアリティがないため(何言ってんだろこいつら...)と思いながら鑑賞していた印象が強い。
最後にニックとジュディが恋仲になるという試写会での書き込みが広がっていたが、どこに恋愛要素があるのかは全くもって理解できなかった。ニック観では「キツネは孤独な種族として生きていたから、そんな中で出会ったジュディは大切なかけがえのない存在だから失いたくないのだ」と主張しており、一方のジュディもニックのことは「ただのウサ友」としか認識していない。あれ?フェネックは苦楽を共にした仕事仲間ではないのか?と感じたのと、オタクの脳がTikTokに侵食されているのではないか。と言う面でやや危うさを感じてしまった。
高校生の時に1を見てどハマりしたけど、2はモヤモヤしてハマらなかったし、3が出ても多分見ません。
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