「公職のバディ力と、恋心を混同せず、どちらも鍛錬が必要そう」ズートピア2 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
公職のバディ力と、恋心を混同せず、どちらも鍛錬が必要そう
楽しめたけれど驚きがなかったので高揚感不足かも。
ズートピアの、全生態に合わせて快適にした、エリアごとに気候を分けた居住区で過ごすというウェザーオールの街は実は毒蛇のおばあちゃんが発案していた。
その仕組みや内容は、毒蛇おばあちゃんが日記に記していて、金属の表紙を温めると、同じ毒蛇は熱感知の目を持つため読む事ができる。
その日記が、ウェザーオール建設を進めるヤマネコ一族のパーティーで展示され、孫毒蛇ゲイリーが日記を盗む。
実は、毒蛇おばあちゃんの発案に出資者となったヤマネコ一族が、その権利書を捏造し乗っ取り、ヤマネコ一族に権利があるとして好きにウェザーオールの建設を進めて巨額の富を得てきた。見てしまった亀の家政婦さんを口封じに殺し、蛇に濡れ衣を着せて全動物に爬虫類への排他意識を作り、更には爬虫類エリアを全てツンドラ気候エリアにして、爬虫類の居住ができないようにしていた。
爬虫類は今既にウェザーオールにはいないものとされ、隠れ暮らす日々だが、隠れているエリアにまで触手を伸ばし更なるツンドラエリア拡張が予定されている。
相変わらずなうさぎのジュディと、頑張って警察官になったキツネのニックはバディを組んで行動するが、強引なジュディと、主体性なく斜めから見て振り回されているニックの関係性にジュディは不満を持っている。本当はお互いに大切に想っているのに。
うーん、バディ同士恋仲になれば、護るものがあるそのバディは弱くなりそう。現に、ニックはジュディを護りたいから、毒蛇ゲイリーを追うとなっても「命を賭けるほどじゃない」と止める。本当にそうで、無茶して命を落とせば元も子もないし、ジュディはニックが体力的にどんな状態かなど気にせず突っ走るのでいつかどちらかが殉職になるだろう。
それでもジュディを護りたい一心で、柄に合わない警察官にまでなってジュディと組んでいるニックに対して「私達色々と違うのかも」と言ってのけられるジュディの神経よ。
ニックが言葉にして愛情表現できる自己肯定感を持ち合わせていない生い立ちなので、ジュディが不満を持つ気持ちもわかるが、ニックが素直になったところで、おそらくジュディの強引さは直らない。むしろ強引な無鉄砲が事件捜査の迅速性に貢献してしまっている。
全体の脚本としては、
掴みは違法輸入に加担している港湾のアリクイの取り締まりから入ったが、見かけたヘビを追い始め、実はヘビは先述のウェザーオール発案者の孫で、祖母の名誉のため日記を取り返し、権利書を取り返してヤマネコの不正を暴き、爬虫類の名誉と居住を取り戻す!なのだが、気になるところも割とあり。
・コンテナに詰まっていた違法荷物が何だったかと巨悪事件そうなところは放置。
・毒蛇しか読めない日記をヤマネコが飾る理由は捏造偽造したウェザーオールの権利書を見せつけるため。なら権利書だけ飾って、毒蛇しか読めず悪事もバレかねない日記を飾る意味不明。
・ヤマネコの放蕩息子が家系で認めて貰うため、元の権利書を見つけて燃やすんだと頑張るが、蛇がいてこその作戦なのに、パーティー会場のヘビとの会話が不自然だった気がする。
・バディなのに、ニックがちゃんと追いついてきているか気にせず水流チューブや山頂コテージで自分だけ突っ走るジュディ
・ニックは脱獄して、ツンドラエリアに乗り込むためフラッシュを呼んだがどうやって?連絡手段が気になる。車に乗り込むまでは遅すぎるのに、間に合ったのすごくない?
・海外から密入国した毒蛇ゲイリーが山頂のハネムーンコテージをアジトにしていたからコテージのマッチを持っていたようだが、水流チューブでずっと先まで流されたはずのゲイリーがすぐにアジトに戻ってきていて、かなりの登りルートなはずなのに移動早過ぎない?
・ハネムーンコテージに喧嘩中のニックとジュディが入るのは気まずすぎる。そもそもきつねとうさぎって種類が違うんだから結婚は人と犬がするくらい難しい。カップル設定はいらないから、種を超え出自を超えて手を取る難しさと大切に思える気持ちにフォーカスが適切そう。
・クオッカカウンセリングはバディ力のため。恋愛カウンセリングも別に必要そうだし、そもそも警察内で職務と恋愛の公私混同を許すのか?公職やぞ。現実でも警察内の不倫とかよく聞く話ではあるが。
・田舎正義感女子が希望職種に就くにはうさぎジュディ設定で良かったが、警察内でどうしても物理的に小さい性格こじらせうさぎと組みたい人はこじらせきつね元詐欺師くらいなのが現実だろう。
ヤマネコを失脚させることは成功した。
ツンドラエリア拡張も止められた。
爬虫類の自由も取り戻した。
ジュディとニックはお互いへの素直な感情表現も叶った。
でもニックが、
自分と違う/知らない存在と対話した時、「違い」には目がいかなくなるし補いあいが生まれる
ようなことを言っていたが、ジュディは前作からずーーっと、前作でも学んだはずなのに、本質を見る視点を獲得していないのは相当苦手分野なのだろう。
ヤマネコにも騙されたし、突っ走って撃たれそうになったところを間一髪助けたのはニックが手配したナマケモノのフラッシュの車。その後毒を刺されて、生き返らせたのも解毒剤を投げたニックとキャッチした毒蛇ゲイリーのファインプレー。
なのに主張だけは多いジュディ。
蛇が脱皮したり丸呑み出来たり寒さに弱いがクネクネいろんなところに身体を伸ばせたり、ビーバーが齧って鍵を作れたり泳げたり、きつねとうさぎは冬気候に対応できたり、登場動物の習性が話の鍵になっているのは面白かった。
見どころ
・傀儡市長になりかけた馬俳優、自我を取り戻したぞ。
・ビーバー役、江口のりこだったの?!とビックリ!
・前作より働いている気がしたヒョウ
・お見舞いキックを繰り出すガゼル
ガゼル目当てでシークレットタオルを買ったがまさかの仲良しニックとジュディの柄、がっかり。
恋愛関係なしで、公私混同せず一流の仕事を成し遂げる男女ペアって、社交ダンスとスケート競技くらいしか浮かばないのだが、うまくいくものなのかな?
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