劇場公開日 2025年12月5日

「王道の続編」ズートピア2 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 王道の続編

2025年12月6日
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鑑賞方法:映画館

「ズートピア」はハリウッドを彩った様々な映画史的ボキャブラリーを用いて、動物というフィルターを通しながら多様性とどうバランスを取って生きていくか?という現代を生きる人々に迫るテーマを掲げた画期的なシリーズである。

ハリウッド映画史の中ではシリーズを重ねていく映画がある。その中で、1が好き、2が好き、いやいや3も良いぞ等様々な話がある。本作「ズートピア2」はまさにそんなシリーズ物が作られていった80年代〜90年代ハリウッド映画オマージュに満ちた極めてニッチなネタに溢れていたのが面白い。

シリーズ物の歴史を変えた作品は「ゴッドファーザー PARTⅡ」であろう。父と子のそれぞれの視点から描く斬新な構成により完璧なPARTⅠをさらに超えてきた作品として、続編映画としては史上初のアカデミー作品賞受賞という快挙を達成した。

そして「スターウォーズ 帝国の逆襲」、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」、「バック・トゥ・ザ ・フューチャー PARTⅡ」、「ターミネーター2」、「ホームアローン2」、様々な2が1を超えるべくつくられていった。

本作「ズートピア2」はまさにそんな"2"である。
マイケル・J・フォックスやマコーレ・カルキンなどのキャスティングや、露骨な「インディ・ジョーンズ」、「シャイニング」、「スター・ウォーズ」オマージュは笑える。(子供にはわからないネタなので、露骨ではあるが毎回出オチで終わるのが良い塩梅であった。)

とにかく冒頭からアトラクションに乗っているかのごとく、ズートピアの中では極めて小柄な動物であるウサギのジュディの目線で進むアクションシーンのバリエーションは1を超えてくる。確かにニックとはすでにバディなので、警察捜査という名目で頭からアクションでぶっ飛ばせるのが良い。

1との差別化で水中や砂漠(バーニング・マンのイベントをやっているのが面白い)のシーンやカーチェイス、「ミッション・インポッシブル」を思わせるパーティへの潜入調査等、数分ごとに舞台が変わるように出来ていてとにかく観客を飽きさせないように工夫を凝らしている。

また、キャラクターを全て動物にしたことによりハリウッド映画ならではのロマンス要素が観る人によって様々な捉え方が出来るようになっているのが素晴らしい。
80年代、90年代のハリウッド映画であれば当然主演の2人のキスシーン(説明なし)で終わるエンターテイメントであるが、「ズートピア2」は全く違う。自分の行動や言動に対して責任を持ち、相手に自分を理解してもらおうとする言語化能力が非常に高い。

王道ハリウッド映画の世界観・エンターテイメントをやりつつ、そのテーマは多様な種族とどうバランスを取りながら共存をしていくか?であり、さらに動物という大きさも食べ物も全く違う種族が共存するということですから、当然我々人間より共存難易度が高いです。

肉食動物(強者)と草食動物(弱者)の共存がテーマであった1は、そのどちら側にも偏見があった(強者→弱者だけでなく弱者→強者の偏見もある)ことを軸に話を組み立てていたところが良かった。

本作はニックとジュディの関係性が極めて現代的な関係に着地した。その呼び方は友達なのか親友なのか恋人なのか家族なのかはわからない。呼び方にはこだわらない。とにかく人として(この場合は動物として?笑)好きなんだというところが良かったですね。

個人的に笑ったオマージュはやはりシャイニングの迷路登場シーンのカメラアングルと音楽の本気度と、蛇の街に灯りが灯っていく感じがめっちゃインディジョーンズっぽい!ってところ。

楽しい映画だった。
「アナと雪の女王2」といい、新しい物語より2を作るのが上手くなってるディズニー。
アナ雪も3が決まっているので、本作も次は鳥類?3が作られるのはほぼ確実でしょう。

ヘルスポーン
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