「吹替版でアトラクションも楽しめるし、字幕版で原語と翻訳の違いも楽しめますね」ズートピア2 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
吹替版でアトラクションも楽しめるし、字幕版で原語と翻訳の違いも楽しめますね
2025.12.5 字幕 イオンシネマ京都桂川
2025年のアメリカの3DCGアニメーション映画(108分、G)
前作にて念願の警察官になったジュディとニックのバディを描いたアクション&コメディ映画
監督はジャレッド・ブッシュ&パイロン・ハワード
脚本はジャレッド・ブッシュ
物語は、前作にて事件の黒幕を捕まえたジュディ(ジニファー・グッドウィン)とニック(ジェイソン・ベイトマン)のコンビは、念願の警察官になることができた
二人はズートピア警察(ZPD)の一員として、署長のボゴ(イドリス・エルバ)のもとで働くことになった
彼らが抱えている案件は、港町で行われている密輸の案件で、ジュディとニックはボゴ署長の命令を聞くことなく単独で行動を始めてしまう
だが、あっさりと警察官だと見破られてしまい、容疑者をまんまと逃してしまう
ボゴ署長の怒りを喰らうことになった二人は最前線から外されるものの、ジュディは現場で見た奇妙な密輸について調べなければならないと思っていた
街はリンクスリー一家の尽力によって、ウェザーウォールが建設され、それがズートピアの気候を一定に保っていた
そして、街ではその周期を祝うパーティーが行われていて、そこには「ズートピア創設にまつわる日誌」と言うものが展示されていた
ジュディとニックは来訪者を装ってそこに侵入するものの、あっさりと警備に来ていたボゴ署長たちに見つかってしまう
だが、そこにはズートピアにいないはずの爬虫類のヘビが乱入し、混乱に乗じて日誌を盗んでしまった
ジュディはヘビを追いかけ、ニックもそれに追随する
だが、命と引き換えの捜索はリスクだと感じるニックは、ジュディの行動に疑問を感じ始めるのである
映画は、ジュディとニックが真のバディになる過程を描き、そこにリンクスリー一家とヘビにまつわる過去の諍いというものが描かれていく
現在の当主ミルトン(デヴィッド・ストラザーン)の曾祖父とヘビのゲイリー(キー・ホイ・クアン)の祖母との間にあった確執は、その日誌におけるウェザーウォールの特許によるものだった
ミルトンの曾祖父はヘビたちからそれを奪って我が物にして、それが原因で爬虫類全体がズートピアから追い出されてしまっていた
そして、ミルトンはツンドラワールドをさらに拡張する計画を企てていて、追いやられた爬虫類はさらに氷の世界へと押し込められようとしていた
ゲイリーはズートピアの真実を暴露し、一族の汚名を晴らそうと考えていて、爬虫類の権利を取り戻そうと考えていたのである
物語はこんな感じにざっくりしたものになっていて、子どもでも理解できるほどに噛み砕かれている
そして、大人にとっては「違いにおける分断の罪」というものを突きつけ、それが教訓となっていく
何かしらの犠牲のもとで楽園が維持され、その野望は計り知れず、分断自体を亡き者としようとする様子が描かれていく
紛争とか支配ではなく環境を利用した絶滅を目指すというものになっていて、様々な他国の技術を盗用し、人権を無視して拡大を続けている彼の国を彷彿させるような風刺が施されているように思えた
最終的に、倫理的な感じで幕引きが行われ、きちんとした正義のもとで裁かれていくのだが、実際に同じようなことが起こるとするならば、殲滅の方向に進むのが人類のような気がする
価値観の相違を受け入れる世の中であっても、違った文化圏を侵食して滅亡させようとする価値観は相入れられるものではなく、そこは同質の価値観によってしか解決はしないのかもしれない
映画はそこまで攻め込んだものではないものの、それはビジネス的な歯止めによってブレーキをかけているのかな、と感じた
いずれにせよ、深読みをすることができる作品で、やりすぎると子ども向けの映画ではなくなってしまう恐れもある
違い以前に相手を尊重し合えない根幹にあるのが自己中心的な価値観というところがあって、その行為を正当化するために「汁物を消す」という流れになるのは残酷なように思える
それでも、昨今の世界情勢は「異なる価値観を受け入れるのはファンタジー」という部分が強く出ていると思うので、ある種の文化圏における不可侵的な枠組みを作ることの方が幸福に近づくのかもしれない
ビジネス主導でグローバルを謳うものの、その派生が分断を産んでしまっているので、あまり共生を模索しない方が、世界平和のためには良いのかな、と感じた
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