「リドスコ、スピルバーグ、キャメロンらSF巨匠の功績を継承」プレデター バッドランド 高森郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
リドスコ、スピルバーグ、キャメロンらSF巨匠の功績を継承
過去作で“醜い顔”と呼ばれてきた悪役エイリアン、プレデターをシリーズで初めて主人公にすると初めて聞いたときは不安もあったが、杞憂だった。原案にもクレジットされているダン・トラクテンバーグ監督は開発初期、このアイデアをジェームズ・キャメロンに相談したという。キャメロン監督は「ターミネーター」で悪役だったタイトルロールを、続編の「ターミネーター2」で善玉にして映画ファンを驚喜させた先達だ。
キャメロンはまた、「アバター」シリーズで異形のクリーチャーを主人公にして大成功した点でも、「プレデター バッドランド」にとって良い前例を作ったと言える。ただ、異形のクリーチャーをメインキャラクターに据えて成功した例をさらにさかのぼれば、スピルバーグ監督の「E.T.」も外せない。「E.T.」は1980年代の世界興収1位だったし、「アバター」は世界興収歴代1位(ちなみに続編は歴代3位)。こうしたメガヒット作によって、非人間キャラが主人公のSF映画に観客側が慣れてきた一面もあるだろう。
ウェイランド・ユタニ社やパワーローダーなど、「エイリアン」シリーズとのつながりが「バッドランド」にあることも見逃せない。リドリー・スコット監督による第1作が大ヒットし、続編「エイリアン2」ではキャメロンが脚本・監督を担当。「エイリアン」と「プレデター」の両シリーズが20世紀フォックスの知的財産(IP)だったおかげで、「エイリアンVSプレデター」も実現していた。
こうして振り返ると、トラクテンバーグ監督はSF映画の巨匠らの功績を巧みに継承し、難しい挑戦を見事成功へ導いたのだと改めて感じる。若きプレデター・デクの相棒に半身のヒューマノイド・ティアを配し、エル・ファニングを起用できたことも大ヒットの要因だろう(2025年映画の世界興収で20位以内に迫る勢いだとか)。
いかにもCG然としたバッドランドの景観や、格闘アクションでの新味の乏しさなど、不満がないわけではないが、新章の第1作としては上首尾ではないか。今作の成功を受けての次回作の予算はさらに増えるはず。1987年の第1作で主演したアーノルド・シュワルツェネッガーと、シリーズ復帰に向けた交渉も進行中と報じられている。シュワちゃん復帰を含め、シリーズの今後の発展が楽しみだ。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
