「プレデターの新しい地平」プレデター バッドランド てんぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
プレデターの新しい地平
態度だけは一人前なよわよわプレデター:デクの成長譚。
主人公デクはこれまでのプレデターと比べると随分サッパリした顔つきで、目が大きくて感情表現が豊か。
態度は横柄なものの根はけっこう素直で、強酸ヘビ、ボンバー芋虫、触手ビオランテなど、あまりに殺意の高いバッドランドの生態系を目の当たりにして「ヒェェ…」となる様が可愛い。強敵を相手に知恵と勇気と腕っぷしで攻略して成長していくデクは見ていて応援したくなる。
デクの相棒となる半壊アンドロイド:ティアはまさかのユタニ社製という事で、世界線的にはAVPである事が判明。これは中々重要なポイント。
エイリアンに関わる度に生物災害を引き起こす事でお馴染みのユタニ社は、エイリアンに関わらない時は他星のクリーチャーを生物兵器として収集しており、ロクでも無い社風の底値を見事に更新した。まだ落ちる株があったのかと驚く。
共に行動することで2人が絆を深めていく展開はロードムービー的な趣もあって感情移入の導線がナチュラル。
孤独なまま最強になろうとするデクの姿は人類にも普遍の青春の葛藤にも見えるが、その生き方しか許されないプレデターの苦悩として強調されると、途端にデクが不憫に見えてくる。己のアイデンティティに苦悩するプレデターというのは新しい。
物語終盤、ついに孤独である事を捨てたデクが見出したのは、バッドランドの生態系を利用した環境利用闘法。
初代プレデターでシュワルツェネッガーが見せたイズムを、まさかのプレデター側が継承するという展開には思わず拳を握る。
また同時に、最強の個と個がぶつかり合った初代と、家族を得て最強の存在へと成長したデクは完全に対称的で、原点回帰しながらも新しい地平を目指す姿勢に胸を打たれた。
アクション面では、デクがけっこう迂闊な奴なのですぐに装備を取られたり天然の罠に引っ掛かったりして、とにかくずっと頑張っている様が微笑ましい。未熟なプレデターというのも新鮮で楽しかった。
相棒のティアも終盤になると、独立起動する下半身と上半身のコンビネーションアタックという面白すぎる絵面を見せてくれる。やたら強い下半身さんは今作のMVP。
そして最後に出てくるメガパワーローダー!最高じゃないか!
プレデターとい物語の広がりを確かに感じる、そんな一本だった。
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