「設定は面白いが、浅い」プレデター バッドランド SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
設定は面白いが、浅い
<良いところ>
設定が面白い
・これまで敵だったプレデターが主人公
・人間が登場しない。プレデターとアンドロイドのみ
・プレデターを主人公にすることで、これまで未知だった敵側の視点での価値観や背景を知ることができる
<良くないところ>
ストーリーや世界観が浅い
・プレデター側の文化である、「ハンティングにより力を証明する」「名誉を重んじる」「家族愛などは弱さとみなされる」などの価値観が、いわゆる現代風・欧米的価値観に更新される、というストーリーになっているが、こういったパターンの物語は「我々の信じている現代の価値観こそが正しい」と異文化を断罪する傲慢さを感じて、「浅い」「短絡的」と感じる。
・プレデター側の文化は日本で言ったら武士道だとか、中世までの価値観などを参考にしたものだと思うので、なおさらそう感じる。2つの文化が衝突することによってお互いに「気づき」があったり、我々の現代の価値観に疑問を呈するような展開であれば面白いと思うのだが、そうではなかった。
・世界観でいうと、プレデターの星では、何百年も技術や文化が進歩していないのだろうか?とか、彼らの高度な技術(宇宙船、武器、光学迷彩などの道具)は誰によって製造されていて、どう維持されているのだろうか?といったような背景が考えられていないように感じた。彼らの世界には戦闘者しかいないのか? せっかくプレデター側を主人公にしたのであれば、その辺を描くことで深みをもたせられたと思う。
・主人公補正のご都合展開。味方の命は一人でも大切なのに敵は大量虐殺して罪悪感なし? もともとの仲間でも敵となったら無慈悲に殺すのもどうなのか。
あと、これは最近のSF映画で常に感じることなのだけど、「急激に再生する描写のCG」はもうやめたほうがいいんじゃないか。ドラゴンボールでピッコロが腕を一瞬に再生するくらいなら、まだ漫画なのでそこまで違和感がないが、実写映像でこれをやると、あまりに非現実的で冷める。強敵に対してこういう「急激に再生する」という映像を安易に使いすぎている。再生した部分の物質はどこから生成されているのか、という、誰もが思いつく矛盾に無頓着でいることは映画の作り手の怠慢だと思う。「エンタメだからええやん」ということでこういう安易で便利な表現を続けていると、SF映画がどんどん面白くなくなっていく。超技術、超未来を扱っても、現実の物理法則でありえないことをやらない、というところを守らないと、SFならではの面白さがなくなっていく。
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