「祝 迷走期脱出」プレデター バッドランド Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
祝 迷走期脱出
始まりは1987年のジャングルからだったが、紆余曲折あり、ダン・トラクテンバーグ監督に落ち着いたのだろうか。ディズニープラスで配信された前作、「プレデター:ザ・プレイ」が好評だった事を受け、ディズニー側はすっかり監督に頼ったのだろう…
スピンオフを除いて2010年の「プレデターズ」、2018年の「ザ・プレデター」は興行的には芳しく無く、一方で共演済みの「エイリアン」の方が壮大なSFに生まれ変わり、そして「エイリアン:ロムルス」と心機一転生まれ変わったばかりであった。それに比べると寂しいものがあったが、ようやく壮大で見応えたっぷりの作品になってくれた。面白いとかつまらないとかの前に、映画プロジェクトから外されるのではと心配だったこのシリーズに新たな命を吹きかけてくれたのである。
今回は、“プレデターが主人公"という初めての試みである。あの化け物にどうやって感情移入すれば良いのだと思うが、過去作よりも表情が豊かであり、なんせ"喋る"という初のタイプで来るではないか。
冒頭の彼らの母星で描かれる胸熱な展開から、ドラマパート、アクションパートと満遍なく触れ、107分という最近のSFにしてはやや短めな本編であっという間に見せてくれた印象である。新しい試みというのはシリーズものでは吉と出るか凶と出るか分からないところがあるが、良くぞここまで振り切ったと拍手を送りたい。後半に生きてくる新キャラの存在や、エル・ファニング演じるアンドロイド、ティアが陽気なキャラクターである事など、大衆向けのエンターテイメントになっており、グロくし過ぎて子どもが観れなかった「ザ・プレデター」とは明らかに作風が違う。喋らない事が敵として不気味で、かつ崇高な狩人としての格好良さが感じられたのがプレデターだが、主人公のテグは半人前で家族からも見放された、“落ちこぼれ"であり、身の上話をティアに話す辺りから完全に感情移入してしまった。一方でティアも唯一“感情"も持つアンドロイドであり、その感情を持つ理由が明かされた時は、忘れていたが製造元であるあのウェイランド・ユタニ社がつくづく凶悪ブラック企業である事が改めて分かった。「エイリアン」シリーズには欠かせないアンドロイドだが、やはり命令に忠実、無感情、という“いかにも"なアンドロイドにどれだけの人が振り回されて来たか…「エイリアン:コヴェナント」ではとうとう神の領域に足を踏み入れてしまったが、本作でも感情の有無での行動の違いがはっきりと描かれている。まさかプレデターも巻き込む事になるとは…ウェイランド・ユタニ社よりウォルト・ディズニーの方が怖いかも知れない。
本シリーズにウェイランド・ユタニ社が出てくるという事は「エイリアン」シリーズとのクロスオーバーも実現間近だという事だが、本作ではウェイランド社とユタニ社の合併後が描かれているという事は第1作目「エイリアン」と、現在配信中のドラマ、「エイリアン:アース」の後、「エイリアン2」とほぼ同時期か後という時系列になる。そうすれば「エイリアン:ロムルス」との辻褄合わせも問題なさそうだが、果たしてどの様に実現するのか。期待大で待ちたいと思う。
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