「白いフクロウの旅立ち」ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今 Immanuelさんの映画レビュー(感想・評価)
白いフクロウの旅立ち
イケイケの明るいポジティブな女性が、天真爛漫にそしてあけすけにユーモラスに生きる、そんな映画を想像して見に行ったのですが…しっとりしてました。
このシリーズは、今まで私は未見ですので的外れでしたら、すみません。
主人公ブリジットは、二人のやんちゃざかりの子供達と日常生活に振り回されるだけの毎日。そんな毎日に不満はなくとも何となく満たされない。…そこで、夢をもう一度とばかりに恋愛に走ったりしますが。
人生も折り返し地点を過ぎ、気がつけば消化試合のような日々。このまま歳を取るばかりなのか、確かに焦りますよね。同年代の諸氏、特に女性なら共感する所ありまくりだと思います。
そこでもう一度『リニューアル』、新しい自分に主人公は生まれ変わろうと、新しい恋に走ったりします。『ありのままの私』になろうとして。
しかし所詮『リニューアル』など不可能なのであります。時間を巻き戻して…今までの事を全て捨て、若い時の自分になってもう一度やり直す事は出来ないのであります。
今までの後悔や苦い経験を例え全て乗り越え捨て去ったとしても、今ここにいるのは歳を重ねた老いた体と生き抜くために身についたしがらみ、なのです。
もはや嘆き悲しみ後悔するしかないのでしょうか。
しかし本当の意味で人を幸せにするのは、ネガティブ要素が何も無い状態や、後悔する記憶や経験がなにもないことではなく、例え後悔や悲しみがあったとしても、それが自分を作っている自分そのものであることに気がつくこと。そして、そんな愛しい記憶と感情を抱えて生きていくことにあるのです。
忘れなくても、捨てなくとも良いのです。
全てを引き連れて、ただ生きてゆけばいい。
そうすれば、いつか気づくはず。そういう後悔や経験が、全て今の自分を形づくり生かしているということを。
幸せは、自分の『こうありたい・こうでなければならない』という幻のような妄想の中にあるのではなく、自分の半径5メートルの中に、自分の理想ではないけれど、今まで共に生きてきた家族や本当に朴訥に自分を思いやってくれる人と共にあるのです。
思えばブリジットは、ちょっと背伸びしてしまったのかもしれません。でも最後には本当に『ありのままでいる』ということに気がつけたようです。
最初、白いフクロウがブリジット家族を心配そうに見ていました。おそらくあれは、急逝してしまった亡き旦那さんでしょう。家族を残して亡くなってしまい、心残りで天国へと安心して旅立てなかったのでしょう。
ブリジットが、過去に縛られて迷走するのではなく、しっかりと新しい道を歩みはじめた時、白いフクロウは安心したように旅立ってゆきました。…きっとあなたにも、草葉の陰で心配している白いフクロウがいます。
時には迷走しても良いし、少し背伸びするのも成長には不可欠ですが、今の僕らは人を羨ましがってちょっと背伸びし過ぎかもしれないですね。
またいつか、さらに歳を重ねたブリジットにスクリーンで会いたいです。
Thank's, all Cast and Staff ! :‑D
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