果てしなきスカーレットのレビュー・感想・評価
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そんなには悪くないと思います。
IMAXで観ました。
風景については、流石の出来で、一線を画していると思います。
こちらのレビューを事前に拝見して、ハムレットについて知っているかどうかで評価が変わるとのことでしたので、Wikipediaでハムレットの概要をざっと確認してから観たのが良かったと思います。
ハムレットを知っているか知っていないかで評価が結構変わるだろうなと思いました。
途中のフラダンスシーンや渋谷っぽいところでのダンスシーンは、ちょっとよく分かりませんでしたが、過激なレビューが出るほどダメ映画ではないと思います。
とはいえ、昨今の人気のあるアニメ映画と比べると細田守監督ならもう少し勢いが出せたのではないかと思い、残念ではあります。
次回作を楽しみにしたいと思います。
ダークファンタジーとしては良作
細田映画と言えば「入道雲」が特徴的だったが、今回は伝家の宝刀を封印してまで挑んだ復讐劇、そしてダークファンタジー路線は果たして成功と言えるのか。
個人的に『果てしなきスカーレット』は異世界転生ものに飽きてしまった自分からすれば死後の世界を題材に、死んでも戦い続ける愚かな人間の醜悪さを描いた本作は好きだった。
内容からハムレットの要素を入れているとSNS界隈で言われているが、僕は北欧神話のように感じた。
北欧神話は最終戦争、ラグナロクが訪れるまでの間、戦士たちは戦場で闘い、傷ついた肉体は翌日には言えているという。一種の死に戻りっぽい要素があるが、この映画は死ぬ=虚無になるという設定は良かった。
世界観は中世ヨーロッパのファンタジー路線、若干ロードオブザリングとゲームオブスローズンも参考にしたのだろうと思えた。
そしてキャラクターは芦田愛菜演じるスカーレット、岡田将生演じる聖は中世と現代という別々の時代に生まれた2人の考え方を交差させながら進んでいく。
特にスカーレットに関しては終始、何か言っている。
復讐劇なら無口で演技全振りでも良かったのかと思ったが、多分スカーレットの性格的に何でも喋りたいのだろうと思えた。
一方で聖は職業柄、闘うのではなく対話することで解決するというタイプで、全くの正反対の2人はどう物語が進んで行くのかが見所だった。
敵キャラクターについて正直なところ、弱っちい。
ダークファンタジーに臨むなら、それは化物並みの強大な悪役でなければいけないが。魔王でもなく、ただの小者感しかなく、死後の世界らしく変貌したおぞましい姿であって欲しかったというポイントから星4にした要因だ。
最後に脚本についてだが、僕はこれで良いと思う。
さらに言えば、この世界観はもっと掘り下げられるし細田監督のこれまでの「入道雲」を捨ててまで挑んだ作品なら誰が何と言うとも続編を作ってほしい。
仮に脚本を入れた方が良いと思うなら、「時をかける少女」「サマーウォーズ」で関わった脚本家ではなくジョージ・R・R・マーティンにお願いしてほしい。
期待はずれでした😹
プロ声優とプロ脚本家を雇おう!
前評判が非常に良くなかったので、期待値マイナスで観る。それくらいが丁度良かった笑。個人的にはそこまで酷いか?という印象。
舞台装置や設定はまあ良かったと思うが、なんか活かしきれてない感じ。なんかカッコいい画は創れてたと思うが。すごくシンプルなストーリー展開(スカーレットの復讐、深掘りすると分からん事が多いので考えないことにした)だか、主人公の心の変化がわかりにくい。なんで髪切った?ラスト、唐突に主人公が自分の心境を説明して無理やり真理に辿り着いてるし。途中の唐突で不要なミュージカルは唖然。男がジョイマンに見えて笑ってしまった。
声優陣は役者さんだけど、やはりプロに負けるよ(上手い人もいるけどね)主役二人、特に岡田将生さんは棒読みっぽくなってしまって残念。おじ様勢はよい。
※当初より若干修正。
冒頭からスクリーンの映像に現実と錯覚
スカーレットが美しい!!圧巻の映像美!!
ネットで批判が多いので観てきた。
良かった。
シェイクスピアの『ハムレット』をモチーフにしてるので、過去の細田守作品とは全然違う。
脚本は相変わらず都合良いのでは⋯という所があるけど、もはや細田監督の持ち味だと思って無視した。楽しめなくなるから😅
めちゃくちゃ時間とお金をかけたんだろうな〜と思える作画と映像演出で、背景やアクションシーンとか新しい映像表現にチャレンジしてて見応えがあった。
スカーレットがすごく美しいし良いキャラだったので、本職の声優さんを使って欲しかった。聖という日本人キャラも本職声優さんを使ってたら、もうちょっと印象が変わったかも。
これはチェンソーマンレゼ篇の上田麗奈さんがレゼを素晴らしく演じていた事を思うと残念。
テーマにはハッとさせられた。
イスラエル問題でもネット世界でも、憎しみの連鎖が止まらない事で時代を超えて争いが続くけど、これに対して一つの提言があって腑に落ちた。
これが一番良かったとこ。少し深く思考しないとたどり着けないから、評判が良くないのかもしれない…
これは⋯⋯⋯
クドイ、クサイ、キッッッツイ
IMAXで鑑賞。
細田守監督作品に関して未視聴なのは、
「ゲゲゲの鬼太郎幽霊電車3D」
「デジモングランプリ」
「ワンピースオマツリ男爵と秘密の島」
「竜とそばかすの姫」
かな?「未来のミライ」が本当につまらなかったのですが、
今回「細田守史上最低作品」との事で野次馬根性で観に行きました。
結論からいうと本当につまらなかったです。
一言で言えばタイトルの通り、
「クドイ、クサイ、キッッッツイ」
の三拍子です。
まずキャラクターの喋るセリフがクドイ上に浅いです。
どいつもこいつも物語に含まれる「メッセージっぽいなにか」を喋るとほぼほぼ棒立ちだし絵に動きがないんですよね。
あったとしても「そんな取っ組み合いしたり戦闘してる最中に長々喋るかい!」とツッコミたくなるほど「絵」と「セリフ」が致命的に噛み合わないので、
キャラクターに全然感情移入できません。
で、その最たるキャラが主演であるスカーレットと聖の二人。
スカーレットはやたらベラベラ喋るわりに感情は無表情か泣き叫ぶかのどっちかなので観てて飽きます。
また話す事も非常に浅いし「もうちょっと言葉遣いを昔"風"で良いから彼女の時代を反映したものにしてくれよ!」と思う程実在感に乏しいです。
あと長ゼリフもちょいちょい多いのですが芦田愛菜さんは実写の俳優さんで本職の声優さんではないので滑舌やイントネーション、感情の乗せ方に難ありだと思いました。
やるならちゃんと演技指導させてほしいですね。
というか彼女のシーンに限らず登場人物が「メッセージっぽい何か」を喋る時に限って演出が全く効いてないんですよね。
これは脚本云々じゃなくて演出家としての監督の力量不足でしょ。
聖に至っては「現代人」とは言いたくないです。
「自分がここに来る直前の記憶を忘れてる現代人」だからってもう少しこの場の状況やこの世界の住人の価値観を鑑みて行動するはずです。
彼が序盤から終盤の手前くらいまでやってるのは「自分の考えを他人に押し付けてる」だけです。
そのくせスカーレットやこの世界の人達に影響されたようにも、記憶を取り戻して何かを決意したようにも見えないのに、
急に終盤になって普通に敵を◯しに行くのですげー唐突に価値観が変わったように見えます。
そのシーンも後ろから婆さんに話しかけられて記憶取り戻した……から何?
思い出した記憶も自分の価値観や命のやり取りに対して何も影響を与えたように見えないし。
いくらなんでも現代人バカにしてませんかね?
で、今まで話してきたのは「クドイ」と「クサイ」の部分。
「キッッッツイ」のが皆さんも指摘している中盤のミュージカルシーン。
まず導入からしてスカーレットが別世界のifの自分に思いを馳せる際にワープするようなシーンが挟み込まれて「はぁぁぁぁ……!!」が4回繰り返されるのですがここもクドイ…というのはこの際置いておきましょう。
で、現代じゃなくて「完成した(現実だと2034年度中完成予定とされている)渋谷駅周辺」を映すのですが、
ここにはまず看板もなければ車も通ってないし、車道や歩道、階段や陸橋とあらゆる所に「髪と肌と着てる服の色が違うだけの単一的なキャラ」が敷き詰められて踊っている恐怖映像が流されます。とても生きてるキャラに見えません。
加えてやたら建物や道路が白みがかっていてチカチカするようなCGなので「ここが数年後の渋谷駅」としてとても想像しにくいです。
そんな中で特に印象的な歌詞でもない細田守さんご自身で手がけられた曲に合わせてスカーレットと聖が踊るシーンに至るまで、
「意味も感じなければ彼女の価値観や心情に本当に影響を与えたように感じられない」
ので観てて退屈だしなんならサブイボが出てくるかと思いました。
他にも「虚無化したはずのスカーレットの父はあそこで何で出てきたの?しかも話す事もやっぱり浅いし…」とか、
「なんでクローディアス王はあそこで王妃を待ってたの?で、なんで『最果ての地』に結局向かったの?」とか、
「あの老婆と墓掘り人はなんだったの?」とか、
細部に至るまで非常に飲み込みづらいシーンばっかで飽き飽きしてくるんですよね。
全然物語を楽しめないし「楽しませよう」って意図が感じられませんでした。
全くオススメできません。
これ見るなら他の映画見に行きましょう。
この映画を観るものは一切の希望を捨てよ
ダンテの神曲にちなんだ地獄の門が出てくるのですが、まさに同じ文言を劇中で聖兄さんが呟きます。
映像はハイクオリティだし、瞳の動きも再現していて、そこは圧倒されるのですが、いかんせん脚本が良くない。
メッセージ性を前面に押し出したようことを細田守監督は言っていたが、全然伝わらない。
熱量が低い。
「竜とそばかすの姫」の方がよっぽどメッセージ性が強かった。
残念でならない。
色々言いたいことはありますが、以下まとめてみました。
①2時間かけた芦田愛菜PV
②聖兄さんがイケメンすぎる
③大砲の上に乗ったやつ、なんで座ったん?
④フラいらないだろ(無駄な時間①)
⑤未来の2人いらないだろ(無駄な時間②)
⑥メッセージ性が弱い
⑦所詮はセカイ系になりそこねたなれの果て
以下、順に詳細をお伝えします。
①あの目の下にクマがありながらも子役として頑張っていた芦田愛菜ちゃんが、才色兼備になり、声優として上手いだけでなく歌まで上手いという、まさに芦田愛菜PVを約2時間かけて観てました。
芦田愛菜ファンにはたまらないと思います。
ここまで才能溢れる傑物もなかなかいないと思います。
日本が誇れる人物と言っても過言ではないです。
②聖兄さんは最初から最後までイケメンすぎました。
これはヤバい、ときめいちゃうよ!
③これ、マジで必要あんの?
あいつ何で座ったの?
大砲逆向きだけどそのまま引っ張ってもらおうとしたんか?
謎。。。
④無駄な時間以外の何物でもない。
その時間を他のことに費やせと言いたい。
⑤省略
⑥この映画の肝の部分のはずが、メッセージ性が弱すぎるせいでクソ映画となっている。
何を伝えたいのか一貫とすべきだし、すべからく赦しの心を持てと言いたいのだろうが、キリスト教的な教えを我ら観客に伝えたいんですか?
押し付けたいんですか?
観客が自身に照らし合わせて検討する余地を与えないと、この映画を観たところで何も得られないんですよ。
それができていない駄作!
以上!
⑦所詮はセカイ系になり損ねた何かという印象。そんなものは幾原監督に任せておけば良い。
それよりも細田監督の映画からはこれまでにたくさんの得られるものがありました。
世間では駄作扱いされている「竜とそばかすの姫」でさえ、
私には得られるものがありました。
しかし今作は残念ながらその体験がなかった。
ただただ、それが残念でなりません。
違和感がいっぱい
アニメ美術・アニメ技法の新しい世界なんだけど。。。
映像美は日本のアニメーションの新しい扉を開いた。背景、キャラクター表現、どれもハイレベルである。
「声優を使わない」ジブリが批判されるが、この作品では芦田愛菜さんが素晴らしい声優を務めていた。感情を爆発させるようなシーンが多いが「いわゆる」アニメ声優ではあの表現にはなかなかならないと思う。
しかし、物語の筋書き、設定、セリフ、どれをとっても「そりゃないぜ」感満載。せっかくの声優と、表現技法を台無しにしてしまう(それ全部セリフで説明しちゃうの?)シーンの数々。。。シナリオ学校の生徒でもやらないレベル、っていうか赤点だな。
もったいない。
しかし、トム・クルーズのトップ・ガンや
ブラピのF1観て「そんなのありえんやろ」ってツッコんでも仕方ないのと同じ匂いが、この映画にはある(褒めてるつもり)
これは大画面でみるべし!
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 令和版『時をかける少女』ってか。細田守作品で初めて涙が…21世紀の世界へ向けての細田監督の新たなメッセージ。
①生・死・虚無・時間・過去・現在・未来・愛・怒り・憎しみ・復讐・赦し・無私・利己・利他・欲望・願望・無限・永遠・争い・平和・言葉・踊り・歌・音楽・奉仕・内省・連帯・希望・絶望etc.etc...まあこれだけのことをぶちこんでいるので姦しくもありわざとらしい点もあるが、目眩くアニメならではの映像表現を通して語られる根源的な生死/人間/人生の意味を問う物語に思わず涙してしまった。
②ただ、善悪は問われていない。クローディアスは最後まで己の事しか考えないどこまでも自己チューな人間として描かれているし、ガートルードも最後まで改心しない。彼らを「悪」と云えば「悪」なのだろうけど、「悪」ゆえに滅びるわけではない。
③死者の国(黄泉の国?)で虚無にまだなっていない人々が渇仰する「見果てぬ世界」、それは『永遠』のことか、『不死』のことか。
死んだ後ですらそれらを求める姿には、オババ(白石加代子だ!が言う通り"人間とはいやはや如何なる存在か"。
④利己的な者達に雷を落とす龍は神の使いなのか。しかし、噴火と共に飛び散る火山岩は誰の上にも平等に(?)降り注ぐ。
神の存在は劇中では殆んど触れられてはいないが、「聖」こそがこの世界の“神”に当たるのかも知れない(「聖」という名前からの単なる連想です。)
⑤少女(とは言えぬ年みたいだけど)の成長物語か、王女が昏睡していた間に見た夢なのか。
目覚めた王女の手に死者の国で聖に手当てしてもらった包帯がそのままになっているところは、『千と千尋の神隠し』のラストの千尋の髪留めを思い出させる。
私達の世界で現在進行中の、ガザとウクライナでの紛争・戦争で、アフリカでの飢餓で、中近東での難民等で失われていく子供達の命。それを彷彿とさせる一幕をはじめ、様々なメッセージが散漫ではないが時空を縦横無尽に往き来する世界の中に散りばめられていることでとりとめの無い印象を受ける観客もいるかもしれない。
しかし、私は押田守が想像し構築した世界の中であちこちからそういうメッセージが読み取れるこの映画の豊潤さが決してキライではない。
なんか説教くさかったかなー。
クレヨンしんちゃんかドラえもんだったら…と思う作品
開始30分で「あ、これは普通に受けとっちゃダメなやつだ」と気づいたので落ち着きを取り戻す。
最初は、
・唐突な場面の繋がり
・カットが切り替わると突然出現する登場人物(ゼルダの魔物か)
・心情描写がほとんどなく人物背景も説明されない
・今時ありえないデウス・エクス・マキナ的技法
・本来観客に考えさせるべきテーマを全部謎の老婆が説明しちゃう(いわゆるギリシャ劇でいうChorus)
とかで「???」ってなるんだけど、だんだんこっちが作品に寄り添ってきて、最後の仇敵の最期には「そうなるよね!」って笑う余裕すらできた。声出しOKの上映だったら人物の行動にみんなで突っ込んだりできて、すごく楽しそうだ。
✴︎✴︎✴︎
「死後にさらなる“死”(虚無)がある世界で、死してなお“死にたくない”と思ってしまう人間の性」っていうのは興味深いテーマ。
でも、そこに「殺し合いをやめない人間の本質」を混ぜつつ、「ハムレット」をモチーフにした転生ものっぽい110分として描き切るのは、流石にハードルが高いのかもしれない。
「伝えたいテーマが溢れちゃって、観客を無視して作家主義に陥る」ことってあるんだろうけど、これをやるならオリジナルでなくて、押井守監督スタイルで他人のプラットフォームを借りた方が良かったようにも思える。
この作品が「クレヨンしんちゃん ヨミの国の大冒険」とか「ドラえもん のび太とハムレット」とかだったら実は感動作だったかも。
※※※
でも、なんか観終わった後に腹が立たないんだよなあ。
一作ごとにいろんなスタイルやこだわりを試してきた細田監督だからこそ、まだこういうテーマ偏重型の作品を「ああこの人だったらこういう作風になるよね」って楽しませちゃうところまで割り切れていないだけだ、と思うからかも(←なんか偉そうだけど)。
決して必見です!とは言えないけど、酷評を背景に「自分だったらこう観るな」って考えながら鑑賞するのはおもしろいと思う。
でも次は、青空と女子高生と生活描写でお願いします、監督(こういうこと一番言われたくないだろうなあ…)。
いったい、なにがどうしてこうなった?
あまりの駄目さ加減に呆然となりました。
細田守監督の映画って、こんなんだったっけ⁈
と昔の自分のレビューを見直したら、
「あまりの出来の悪さに心配になってしまう」
と、2018年公開の『未来のミライ』のレビューでも書いてました。あれまっ!
SFでも、ファンタジーでも、死後の世界だろうがなんでもいいのですが、こんなにはじめから作品の世界観に入り込めない体験は初めてです。
実写でもアニメでもそこに展開される〝架空の世界〟には、それなりの成り立ちやルールみたいなものがあって、そこに入り込んでしまうきっかけとか、そこから脱出するための条件とかは、具体的な説明がなくても、物語中のエピソードや主人公が遭遇するトラブルなどから想像できるようになっている。だから、我々鑑賞者も、それをしては危ない!とか、はやくそこに辿り着いて!とかハラハラドキドキしながら登場人物と共鳴できる。
この映画の世界は、それらの努力や工夫はすべて取っ払って、何もかも取ってつけたように唐突に現れる。しかも、そういうことなのか、という納得感のようなものもない。だから、見ているうちに、もういい加減にして!と疲れることになる。
そんな状況で、〝復讐心や怒りに駆られた自分をもう許してあげて〟とか教条的に説教されても少しも響いてこない。
たぶん、争いの絶えない困難な時代において、人としてのあるべき振る舞いとか寛容さについて、今一度みんなで考えてみようよ、という映画なのに、素直に感動できない自分のほうがおかしいのだろうか?
という思いもしなかった罪悪感を背負わされたみたいで、とても困惑しています。
今の時代だからこその世界に向けたメッセージ
良作です。ネットの評判は信じないで!
細田守の最近の作品は、過去の奥寺佐渡子脚本作品が好きだったかどうかで評価が分かれるようですが、奥寺脚本が嫌いで、竜そばなど細田脚本が好きな自分には果てしなきスカーレットは良作でした。
細田監督はおそらく、脚本をなぞるように映像を作るのではなく、見せたい映像が先にあって、そこに脚本を合わせているんだと思います。なので、細かく見ると整合性がとれない部分が出てきてしまうのですが、私はそれがあまり気にならないので楽しめるのかもしれません。竜そばを観て「女子高生を一人で東京に送るなんておかしくね?」と白けてしまうしまうような人には向いてない作品です。
ネットや映画.comの評判からすると、残念ながらあまりヒットはしそうにないですが、細田監督には今のスタイルを貫いて欲しいです。少なくとも、奥寺脚本に戻るのだけは勘弁して欲しいですね。
芸術的価値のある映像作品
大衆向けかどうかは置いておくが、芸術的価値のある映像作品
大学の映像専攻で細田守作品をはじめとする多くのアニメーションを研究した人間がレビューをしていこう。ネタバレはない。
何かと脚本が良くないと言われがちな最近の細田守作品だが、一言で言うと前作よりかは脚本も芸術性も段違いに良い。エンタメ的な細田守作品が芸術的方面に大きく舵を切った作品と言えるだろう。それだけ芸術的側面が強い作品と感じた。
まず脚本や演出については星4つ。ネタバレはしないが、前作よりもご都合無理矢理感はやや軽減された様子。何より爽やかな脚本が売りだった細田守からは信じられない重みのあるストーリー。
シリアスなファンタジーのアニメが好きな人には向いているかもしれない。私はマギという作品の煌帝国編(皇子が王位簒奪した実母に復讐する部分)が好きなので、かなり印象が被った。
大元のハムレットは見ずに挑む人間が多いかと思い、私も読まずに挑んだが問題なかった。
ただメタファー的な部分も多く、他の口コミや評判を聞く限り好みが分かれるかと思うため期待値を上げすぎるのはお勧めしない。
そして絵作りについては星5つ。芸術大学にいた頃から細田守の作品については研究していたが、今回はCGの部分が大幅に増えて背景含む画面もかなりリアルで迫力があった。
画質もさることながら、構図や色使い、衣装デザインなど画面構成にはかなり凝った様子が見てとれる。3DCG特有の動きの硬さは少々残るものの、普通の人間なら見ていてあまり気にならず没頭できるレベルである。サマーウォーズやバケモノの子のような爽やかなテイストとは大きく異なり、シックで重厚な絵を作り上げている。
Dolby AtmosやIMAXも対応しており、音や音楽にこだわりがある様子だったので復讐のストーリーに合う迫力を求めてIMAXで鑑賞した。これが正解だった。俳優陣の声の迫力や音そのものの効果が最大限引き出されていた。音楽、音響等星5つ。
大衆向けに理解しやすい王道ストーリーを描くエンタメ的な作品(鬼滅の刃やワンピースなど)を普段から見ている人間には理解が難しい部分や展開が比喩的すぎる部分もあるかもしれないが、芸術作品におけるアニメーション映像としてはかなり優れているといえるだろう。脚本に多少の無理やアラは見受けられるが、前作よりも改善が見られ、なおかつ演出でカバーされている印象を受けた。
ただ主演の芦田愛菜は、まだまだ声優としては一人前とは言えない雰囲気の演技だった。やはり声優と俳優は異なるということだろう。だがしかし、芦田愛菜の未発達でピュアな声がヒロインに一役かっているとも言える。何より感動したのは悪役の役所広司だ。俳優声優の域を超えて、キャラクターにリアリティを持たせ3DCGでは表現しづらい細かなニュアンスをカバーしていた。主演の芦田愛菜との対比構造はかなり芦田愛菜は苦戦したことだろうと思う。ヒーロー役の岡田将生も、やや棒読み感が強く、聖という人間性が平坦に見える可能性がある。もう少し聖の人間性を拾った細かやかな表現が声で見られると良かったかなと感じている。
ネタバレを避けてのレビューはこのような感じだ。ヒロインとヒーロー、ヒロインと悪役の対比構造やメタファーについて集注して見てほしいと思う。
全393件中、301~320件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。









