「教養の意味を履き違えた不親切な映画」果てしなきスカーレット たんぽぽさんの映画レビュー(感想・評価)
教養の意味を履き違えた不親切な映画
「神曲の世界観で繰り広げられる再解釈ハムレット」
この映画を一言でいうならこれだろう。これから本作品を見に行く皆さんは、Wikipediaでハムレットの粗筋を読んでおくことを強くオススメする。そうすれば、最低限、「あ〜これハムレットだなあ」という楽しみ方ができるからだ。逆に言えば、ハムレットを知らなければその楽しみ方すらできないのだが。
映画冒頭、唐突に舞台はデンマークであることが提示される。なぜデンマークなのかって……ハムレットの舞台はデンマークであるからだ。
そして、主人公スカーレットの父である国王は叔父
に殺される。なぜって……ハムレットはそういう話だからだ。
叔父の暗殺に失敗し、逆に殺されたスカーレットは、死者の国にて目覚める。
死者の国というのは、過去も未来もなく、古今東西の死者が存在する……ようは神曲でいう地獄みたいなものなのだが(後に神曲の“地獄門”をチラ見せしてくるので間違ってはないだろう)、そこに何故か死者の王として叔父が君臨している。
設定的には様々な偉人がいるはずなのに、何故1デンマークの王にすぎない者が死者の国を統べているのかって……ハムレットは主人公が王になった叔父に復讐する話であるからである。
まだまだ序盤なのだが、このように、見ていく上でん?と引っかかる部分を全部、ハムレットだからでゴリ押す構成をしている。ハムレットを読み込んだ脚本家の頭のなかでは整合性が取れているのだろうが、如何せん、ハムレットを読んできてくださいねとも言われていない我々は、疑問符を浮かべるしかない。
先程の地獄門といい、もちろん知っているよね、というような脚本の声がチラついて癇に障る。
教養というのは、あれば“より”楽しいものであって、無ければ楽しめない、理解できないというものではないはずだ。
この映画はそういった事前知識ありきなところが多く、肝心の中身があまりに足りていない。シンプルに下手な映画である。これならばハムレットをそのまま観ていたほうがよっぽどよい。
まあ、ハムレットの観劇を促す映画としては、中々の出来と言えるのではないだろうか。
いいえ、間違っています。ハムレットも神曲も知らなくても十分楽しめるし理解できます。むしろ知っている方が、変にアラ捜ししたり、本筋とは関係ない所にこだわり、映画を理解できない人が出てきます。死者の国とはスカーレットが毒殺され死に至る短い時間に見た夢想であり、どんな登場人物、設定、場所でも夢の中なので許されます。(映画演出者が制限なく自由な発想で描くことができる)スカーレットが色々自問自答して最終的に自分の本当の気持ちに気づき、幸福感に満ちて終わりますが、映画を見ているあなたはどう考えるのか、復讐を果たす方を選ぶのか、それともスカーレットの様に復讐心を捨て、心の安寧を選ぶのか、私たちの実生活でもスカーレットほどではないが、常に様々な葛藤があり選択を迫られます。自分ならどう決断して生きていくのかを問いかけられているのだと思います。
えっ、そんなことどこにも書いてないし、アナウンスもないよ。
と思っている人はこの映画は向いていないと思いますで、ズートピア2でも見た方がいいでしょう。
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