劇場公開日 2025年11月21日

「細田守の不器用で愛らしい善意が溢れる作品」果てしなきスカーレット hakujirowさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 細田守の不器用で愛らしい善意が溢れる作品

2025年12月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
hakujirow
hakujirowさんのコメント
2025年12月17日

文字数制限で書ききれなかった、スカーレット役を務めた芦田愛菜の演技について。
これは巧拙の問題ではなく、演技のチューニングの違いとして受け取った。
あくまで想像に過ぎないが、声優が声入れに臨む際には、基本的にフルコンディションであることが前提になるかと思う。日常的なボイスケアを行うなどの入念な下準備を経たうえで、万全な設備の整った環境で、最良の状態の演技を収録する。実際の演技内容がどうであったかは別として、芦田愛菜の声からはそうした状態の良さが感じ取れた。
一方で、劇中のスカーレットは文字通り泥を啜り、辛酸を舐め、極めて苛烈な環境と境遇の中で、それでも復讐という目的のために、地べたを這ってでも進み続けるというまさに臥薪嘗胆の只中を生きる人物だ。
果たして、そのような人間の喉からフルコンディションの声が発せられるだろうか。
このズレが観客が覚える違和感の正体なのではないかと思う。つまり問題は演技の善し悪しではなく、演技の趣旨の違いにある。
また、この点についてはセリフそのものも影響しているように感じられる。
細田守の書くセリフには具体的すぎる、説明的すぎるなど、何かと作為を感じさせる表現が多い。内容理解のために良かれと思ってそうしているのだとは思うが、その言葉の設計が前面に出てしまうことで、結果的に演技の質の問題へと転嫁されてしまっているのではないだろうか。

hakujirow
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。