「細田守の偉業を讃えよう!」果てしなきスカーレット takaさんの映画レビュー(感想・評価)
細田守の偉業を讃えよう!
凄い!こんな凄い映画を配信やテレビ放映で観るのはもったいないと断言します。
この凄さは映画館でなければ味わう事が出来ませんよ。映画を観賞すると言うよりも体験すると言った方がふさわしいでしょう。
キャパ400人ぐらいのスクリーンに観客は自分一人の貸切状態。そこではどれだけ爆笑しようが、画面に向かって大声でヤジを飛ばそうが、途中で退屈して居眠りしようが、罵声を浴びせまくろうが、周りの誰からも文句が出ないのです。こんな体験をしたのは初めてだ!
まさに自分一人の為の映画館。劇場の大スクリーンが自分だけのホームシアターになるのです。個人所有の映画館を持つという映画ファンなら一度は考える夢を、この映画はわずか二千円で叶えてくれました。これこそが細田守だからこそなし得た偉業と申せましょう。
この様な素晴らしい体験をさせてくれた細田監督には感謝の気持ちで一杯です!
さあ、冗談はこのくらいにして本題に入りましょう。
日本映画の歴史に残るであろう興行的惨敗という大戦果を成し遂げた細田監督ですが、何故今回の様な結果を招いたのか?
そして前々から言われ続けている、誰からも望まれていないのに自分単独でシナリオを書こうとしたがるのは何故なのか?
この二つの疑問点について考えてみたいと思います。
今回は対話形式でまとめてみました。
コント:教えて監督さん!
(Question & Answer)
①どうして優秀なシナリオライターを使わないの?
Q(Question):質問します。
吉田玲子さんがシナリオを担当した「デジモンアドベンチャー」劇場版の二本、そして奧寺佐渡子さんがシナリオを担当した「時を書ける少女」と「サマーウォーズ」はそれぞれ絶賛されました。
次の「おおかみこどもの雨と雪」は奧寺さんと細田監督の共同脚本で賛否両論。
その次の「バケモノの子」以降は細田監督が一人でシナリオを書き上げており、いずれも惨否両論・非難轟々・阿鼻叫喚といった所です。
一部の人達からは、〝他のライターを何故使わないのか?〟という疑問の声や、〝奧寺さんカムバック!〟という悲痛な叫びが上がっています。
何故他のライターを使わないのですか?
A(Answer):シナリオについてだね。
監督は作品の質について最終的な責任を負うんだ。そしてシナリオは作品の骨に当たる重要な部分だ。だからシナリオ担当には可能な限り優秀な人材を使う必要がある。
Q:その通りですね。
A:そしてここには細田守という宇宙一優秀なシナリオライターがいるんだよ。もう奧寺佐渡子も吉田玲子も必要無い。奴らはお払い箱だ!分かったかい?
Q:揺るがぬ自信。さすがです、感服致しました。そこまでツラの皮が厚くなければ、監督という商売は務まらないという事ですね。なるほど、勉強になりました。
②どうして「果てしなきスカーレット」は爆死したの?
Q:次はちょっと聞きにくい質問なんですけど。「果てしなきスカーレット」の観客動員数が公式サイトや日本テレビの大本営発表では〝大ヒット上映中!〟との事ですが、実際は予想をいささか・若干・限りなく・果てしなく・どうしようもなく下廻っており収益どころか制作費回収すら夢のまた夢。もはやスタジオ地図に新作を作らせてくれる出資者は金輪際・未来永劫現れないのではないか~とまで囁かれています。
期待の大作がここまで爆死したのは伝説の迷画・東宝創立50周年記念作品「幻の湖」(1982)以来ではないでしょうか?もっとも「幻の湖」は二週間もたずに上映打ち切りでしたから下には下が有るという事ですが。
この興行不振の原因は何処に有るとお考えでしょうか?
A:それについては訳が分から無くて困ってるんだ。日本テレビのバックアップは万全だったし、公開最初の週は三連休でのスタートだよ。「竜とそばかすの姫」に来てくれた観客は何処に行っちゃったんだ?
なあ、逆に聞くけど君はどうしてだと思う?
Q:あくまでも私の私見ですが、原因はズバリ日本テレビだと思います。
A:えっ、どういう事?
Q:公開初日11月21日の夜に日本テレビは金曜ロードショーで前作の「竜とそばかすの姫」を放映しましたが、これが大失敗だったんです。これを観て細田守の新作に行こうと思う奇特な人がこの世に何人いると思いますか?
四年前に映画館で観た人も同様です。アレを観てしまったが為に、新作には来なかったんですよ。
観客動員の足を引っ張り、興行を爆死もとい玉砕もとい轟沈もとい終了に導いたのは金曜ロードショーです。つまりは日本テレビが悪いんです。
A:日本テレビが悪い・・・
Q:そうです。今回の件で責任を追求されたら、こう答えてやりましょう。
〝違う違う!
みんな日本テレビが悪いんだ!!〟
(海のトリトン 最終話より)
断じて細田監督(だけ)が悪いのでは有りません。
A:そうだそうだ!全部日本テレビが悪いんだ!!
Q:お役に立てたなら何よりです。本日はどうも有難うございました。
(補追)もちろん日本テレビも問題ですが、やはり一番悪いのは「竜とそばかすの姫」と「果てしなきスカーレット」を監督した奴ですね。
観客の方だって、二度も三度もスカを掴まされたら嫌でも学習しますよ。
(注)上記の内容は私の考えを対話形式でまとめたもので、Answer=細田監督と言っている訳では有りませんので誤解なき様に。
(追記)
さあ、いよいよ上映終了が秒読み状態にはいった「果てしなきスカーレット」。映画館を貸切状態に出来るチャンスはあとわずかだ。千円札を二枚持って劇場へGO!
人生何事も経験してみないと分からない。観ないで後悔するぐらいなら観て後悔しよう。
自慢にゃならないが「デビルマン」を映画館に観に行った人間が言うんだから、ここは信じてほしい。保障する、観たら間違いなく後悔すると。
本来観る気は無かったんだが、初日からガラガラだと聞いたからには行かない訳にはいかないよ。そんな悲惨な状況なら次回作なんか有るわけ無いんだから。
こちらも「デジモンアドベンチャー」の劇場版からリアルタイムで観てるんだ。これが最後になるのなら死に水を取ってやろう、看取ってやろうという気にもなるさ。
ただし〝どれだけ酷いのか興味本位で〟とか〝怖いもの見たさ〟で行くのはオススメしないぞ。面白半分で観に行った日には、行こうと思った過去の自分を許せなくなるかもしれないからな。そいつは精神衛生上宜しく無い。
行く時は覚悟を決めてからにしてくれ。
こう考えるんだ。その千円札は入場料金じゃ無い、細田守とスタジオ地図への香典なんだと。映画を観に行くんじゃ無い、葬儀に参列するんだと。
映画館という名の葬儀場で、細田守が残した最後の作品=白鳥の歌を見届けよう。
そしてかつてはポスト宮崎駿の最右翼とまで言われた男に別れを告げよう。
だけど、たとえ酷いと思ったとしてもその場では口に出すんじゃないぞ。葬式で故人の悪口を言う人なんかいないんだからな。
その怒りはネットに吐き出せばいいのさ。君の賛同者は幾らでも見つかるだろう。
10年も前からシナリオは他のライターに任せてはどうかと言われ続けているのに聞く耳を持たない男、細田守。
自分の信念を貫き通す男、細田守。
その結果が今回の興収額なんだぞ、細田守。
まさに結果を出す男、細田守。
出しちまったよ、細田守。
「ズートピア2」に公開三日で興収額を追い抜かれた男、細田守。
全国400館以上で拡大公開するも初日からガラガラで客席稼動率4%未満という前代未聞の記録を打ち立てた男、細田守。
やったぞ!細田守。凄いぞ!細田守。
日本における映画興行の歴史に不滅の伝説を築き上げた男、細田守。
日本中の映画興行関係者を敵に廻した男、細田守。
今回の興収結果に対して果たしてどう責任を取ってくれるのか?どう責任を取らされるのか?関係者のうち何人が巻き込まれて職を辞する羽目になるか?その怒りの矛先は何処に向かうのか?
今、細田守から目が離せない。
「果てしなきスカーレット」を最後に細田守のキャリアは終焉を迎えてしまうのか?
いや、ファンはまだ君を見捨ててはいない!
〝10年後には名作認定されているに違いない〟とレビューで言ってくれた人もいる。
(私も将来は名作認定されていると思います、22世紀頃には。)
次の映画に出資してくれる企業だって探せばきっと有るだろう。
(日本テレビとソニーピクチャーズエンタテインメントとKADOKAWAと東宝は無理だろうけど。)
クラウドファインディングで出資を募る事だって出来るはず。
(もちろんシナリオを他のライターに任せる事は絶対的な条件だぞ。この期に及んでやっぱり自分で書きたいとかフザケた事をぬかした日には1銭だって集まらないからな!)
希望を捨てるな、細田守。
必ず再起のチャンスは巡ってくる!今はそれを信じて耐え忍ぼう。
信じるだけなら金は掛からないぞ!
では最後に細田監督へのエールとして、少年ジャンプから名言を送ります。
〝行くぜ!
(細田守の)戦いはこれからだ!!〟
(コマンダー0 1982年連載打ち切り最終回
最後のセリフより)
完
細田監督とスタジオ地図の次回作にご期待下さい。
(補追)
もし仮に「果てしなきスカーレット」の興収結果を踏まえて尚かつ〝もう一度細田守に賭けてみよう〟と、(例えば日本テレビが)次回作に出資してくれたとしたら~日本もまだまだ捨てたもんじゃないな~と私は思うに違い有りません。
(同時に日本テレビ経営陣の正気を疑うでしょうが。)
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