「物語でなければあるいは」果てしなきスカーレット 笹本さんの映画レビュー(感想・評価)
物語でなければあるいは
強引で違和感の強い場面転換、意図の分からない演出や台詞の数々。それらに戸惑ってしまうのは、私がこの作品を物語として楽しもうとしたからだと思います。物語には、お約束というものがあります。例えば、探偵が「犯人はお前だ!」と指差したのなら、大抵その人は本当に犯人で、探偵による推理が始まる合図です。例えば、敵に囲まれたヒーローが味方に「背中は預けた!」と言えば、それは深い信頼と絆を表しています。この作品はそれがない。この演出をしたのだからこう来るだろう、と構えていると何も来ず、肩透かしを食らう。それがずっと続き、ではどんな意図があったのか考えることに意識を割かれ、全く集中できない。そして、予測できない面白さがあったかと言うと、展開自体はありきたりで手垢の付いたもので、メッセージも響かない。型破りではなく形無し、映画を物語として楽しもうとする人には向かない作品と感じました。
せめてこれが、ゲームやミュージカルといった物語を脇に置いても価値があるコンテンツであったのなら、楽しむこともできたのかなと思います。
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