「何かを訴えているように思うがそれがわかりづらい」サスカッチ・サンセット kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
何かを訴えているように思うがそれがわかりづらい
4匹のサスカッチ(ビッグフット)が自然の中で生活する1年を描いた物語。4匹の関係性がまったくわからないし、最初は顔の区別もつかなかった。だからこの世界観に慣れるのに少し時間がかかる。元々変な映画だろうと思っていたし、そこまで違和感はないが変な映画だ。
食料と他の仲間?を探して移動を繰り返す4匹。言葉がわからないからどんなコミュニケーションを取っているのか仕草でしか判断ができない。人間に近い生物だけど、行動原理がやはり獣なのが面白い。日々の生活は平穏そうに見えるが、獣である以上自然の中で生きるとは危険と隣り合わせだということがわかる。そんな生きることの素晴らしさを訴えた映画とは思えないけど。
いくつかのトラブルや事件が起こったとしても、彼らの生活を淡々と見せられている感覚に変わりはない。どんな映画なんだろう?と考えていても結論は出てこない。ただ、広がる平原や森の中で木々の隙間から差し込む光、そして流れる音楽。これらの要素でこんな世界を美しいと感じてしまうのだから、自分はチョロいなと思う。
舗装された道路やテント、ラジカセなどが登場することで、人間が生きている(もしくはかつて生きていた)世界だということはわかる。でも、本作にはそれがどんな状況なのかを示す親切さはなかった。「猿の惑星」のラストシーンのようなわかりやすさではない。でも、何かを訴えているように思えて仕方ない。いや、深読みをさせるための謎をちりばめただけかもしれない。そんな深読みをしようと思ってしまう時点でやはり自分はチョロいなと感じる。
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