フロントラインのレビュー・感想・評価
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缶コーヒーはポッカに違いない
5年前の狂騒が蘇り、人の咳払いにビクッとし暗闇を出て直ぐに置いてあるアルコール消毒ポンプをプッシュする自分がおり、当時コロナで近親者を亡くされた方には辛いというか見るに堪えないであろう日本での長期コロナ禍の発端となった事件をこんなにも早くしかも綿密にしかも面白いエンターテインメントとして作り上げた良くも悪くも増本淳プロデューサーの映画である。もともとフジテレビ社員で医療系のドラマを数多く手掛けていたそうで、半年かけて行った膨大な取材をもとに自らが脚本を書いたことが成功の要因だろう。監督が脚本を書くケースは多々あるが、映画を立ち上げテーマ・方向性を決めるPが脚本を書くことがぶれない映画制作の要で、事実を基にしているだけにこのプロデューサーと脚本がこれだけの役者を惹きつけ豪華キャスティングを成立させた。「DMATのヒーロー物語り」に偏ってしまう(まあそう見てしまうのだが…)ところをギリギリでこらえており、ましてや隊長の小栗旬自身が決断を迫られる悩みと優柔不断のあり様を素直に演じていて、危ない感じの窪塚洋介がゆるぎない彼なりの「正義」を貫くことで「目の前の命を救うか?感染拡大防止を最優先するか?」というテーマを見事に提示してみせた。意外な柔軟性を持つ厚労省役人の松坂桃李ももちろん良いが、ひと段落した夜の病院でぬるい缶コーヒーを池松壮亮に勧める滝藤賢一の演技が素晴らしい。
世界中の人に観てほしい作品
「家族に医師がおります」と言えなかったあの時期。
私の住んでいる地域で初のクラスター病院となり、離れて暮らしている実家まで村八分状態で、父母は会合にも呼ばれず回覧板さえ来ませんでした。子供は先生から呼び出され「検査してるの?」とまで言われました。その当時の出来事を思い出し、涙が止まりませんでした。
この映画は事実でドキュメンタリーを観ているような自分もまた登場人物のような錯覚になり、終わってからも席を立てませんでした。
映画だと細部までは表現できず、是非ともドラマ化してほしいと思います。
忘れつつあるあの出来事を、いま映画にする難しさがあっただろうにと感心した映画でした。
最後のマスクの跡とハグするまえのちょっと躊躇するシーンにまた涙がこぼれました。
名もなき英雄たち
2020年2月、皆このニュースに釘付けだった。SARS の流行はさほど影響のなかった日本、ここにきてどえらいものが襲来したな、と思ったものだ。その当時、断片的にしか把握していなかった状況が、今回フィクションとして我々の前に姿を現す。
いや、どんな困難な場面に遭遇しても、我々に出来ることは日々積み重ねてきたこと、当たり前のことを当たり前のようにやる。これに尽きるし、それ以上のこと、英雄的なことを、個々人が行える訳じゃないんだよな。目の前の困難・課題に対して、持てる力を注力して、ベストと思われる最善手を選択していく。その積み重ねが、日々物事を前進させていく。それしかないし、できないよな。
それぞれのプロフェッショナルが、それぞれの持ち場で、その日その時の最善を互いに尽くしていくこと。その集積が我々の日常を支えているんだな。他者と比べるでなく、私自身が何を成しうるのか、何で貢献していくのか・貢献できるのか。そんなことを考えさせられた。自身の人生や職業感について、改めて見つめ直すきっかけとなる作品だった。
(25.06.26追記)
吹越さん演じる六合。モデルとなった岩田健太郎氏の動画は当時リアルタイムでみた。言っていることは理にかなっているのでは?と当時感じたのは覚えている。但し、本作でも指摘されているように、人間は理だけで動くようにプログラムされていない。人を動かす、自ら動きたくなるプロセスを踏むこと、他者から信頼される自分であること。自分自身がそうであるだろうか?ということも点検していきたいもの。一朝一夕には自身に落とし込めないから。これもやはり自身の歩んできた道、歩んでいく道がモノを言うのだろう。
歴史的な作品で日本人が知るべき事実が描かれてる
あの時、あのクルーズ船でなにが起きていたのか?
作中でマスコミが面白く報道して、それが実はウソばかりで、ただ視聴者を煽ってるだけという感じで描かれてて、でも実際、私自身あの当時、報道を見て、その報道が伝えてることだけが事実として見ていた1人だったように思う。
まだコロナがそんなに流行り出す前だったし、なによひ緊急事態宣言より前だった?
コロナという未知のウイルスをまだ誰しもが甘く見てた頃だったんじゃないかな?
たから、あの時なにが起きていたのか、事実に基づい作られたこの作品を観たいと思ったし、観て良かったと思う。
戦争とは違うけど、でも戦争のように、このコロナ禍のことって忘れてはいけないし、受け継いでいかないといけないのだと思う。
医療従事者のみなさんほんとにありがとう、おつかれです。
それから五年
錯綜する正義
良心に従って行動した人々
コロナ禍の初期に起きた一大事として記憶に残る、豪華客船
「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染を題材にした映画。
実際の現場は大混乱で解決しなければならない問題が山ほど
あっただろうし関わった人の数は相当数だったに違いないが、
映画ではそれを上手く整理していて、展開が分かりやすかったし
登場人物も絞っているからとっ散らかった印象はなかった。
脚色の妙。取材に基づいた事実を描く部分と役者さんが演じる
ドラマ部分(ある程度のフィクション)との匙加減が絶妙に
良かった。
登場人物の(良い)人間性が現れる場面が随所に盛り込まれ、
当時どういった状況だったかを伝えるだけでなく人間ドラマ
として見応えがあった。
事実を伝える説明的な部分もあるにはあるが、それよりも
登場人物それぞれが”心を持った人間”としての言葉を発していて
響いてくるものを感じた。琴線に触れる言葉がたくさん聞けた。
我々一般人はニュースで見聞きしただけの事柄一つ一つが、
当事者にとってはどれも差し迫った問題だっただろう。
・今までなかった未知のウイルスの脅威
・国内に感染拡大するのを食い止める
・船内の感染者を救う
・入院が必要な患者の搬送先の確保や搬送手順
・船内では自分自身も感染の危機にさらされる
・濃厚接触者の対応
・大切な家族と離れ離れにならなければいけないのか
・異国の地で船内に缶詰め状態になる不安
・言葉の違い
・目の前にいる人を救いたいのに法律や制度が足枷になる
これらの問題に真摯に対応した彼らの行動基準が「いかに
人道的であるか」だった。杓子定規な対応では救える命も
救えない可能性があった。
災害医療専門の医療ボランティア的組織「DMAT」が現場で
対応した訳だが、彼らは決して感染症の専門医たちでは
なかった。それでも誰かがやらなければならない。
良心に従って船内の人々が全員下船できるまで尽力した彼らを
称えたい。
DMAT指揮官・結城英晴を小栗旬、厚生労働省の役人・立松信貴を
松坂桃李、現場で対応にあたるDMAT隊員・真田春人を池松壮亮、
医師・仙道行義を窪塚洋介が演じた。4人の演技が素晴らしかった。
この4人を中心に話が進みつつも様々な人々のドラマが心に残った。
横浜港に着いてもすぐに上陸できなかった乗客たちはお気の毒
だった。そして同様に、乗客へのサービスを継続しなければ
ならないクルーたちにも大変な苦労があったに違いない。
自分もいつ感染するかわからない。でもそんな不安は表に出さず
お客様へのサービスを続けたクルーたち。彼らに精神的に救われた
乗客も多かったはず。
ホスピタリティという言葉があるが語源はホスピタル(病院)と
同じらしい。相手に寄り添って最善を尽くす。医療スタッフと
同様に乗客のケアをしたクルーたちのこともきちんと描かれて
いて良かった。
元ホテルマンの自分としては森七菜が演じたフロントデスク・
クルーがホスピタリティを発揮して問題を解決していく姿に
共感できたし一番印象に残った。
彼女の行動が乗客にも医療スタッフにも良い影響を与えたのは
明確だった。
その他の人物についてもそれぞれの属性にふさわしい言動や
葛藤する様が丁寧に描かれていていずれも印象的だった。
医療関係者の皆様、ありがとう。
ほんの5年前の出来事なのに、忘れてしまっていることが多いですね。コロナは5類になりましたが、うがい、手洗いなど手を抜く時がある自分に反省です。当初は未知のウィルスの時に、DMATや他の医療関係者の献身的な働きに頭が下がりますし、客船のクルーの人々の働きにも胸が熱くなりました。予告編では、厚労省の松坂桃李が、嫌な役をやっているように見えましたが、違ってましたね。こういう役人さんが一杯いれば、日本はもっと良くなると思います。小栗旬、窪津洋介の演技も素晴らしかったです。
当時のマスコミの報道にも一石を投じていますが、相変わらずマスコミの姿勢は変わってないですね。テレビも新聞も編集して報道するわけですから、テレビ局や新聞社の方針や意向に沿わないことは報道しないでしょう。 偏向報道があるわけです。
幸いにも私はコロナに感染しませんでしたが、可能な限り医療関係者の方にお世話にならないようにあらためて気を引き締めていきたいと思いました。医療関係者の皆様、ありがとうございます。
良かった
真実をたんたんと描くことのすごさ…
すごい臨場感!!DMATかっこいい!!
地味な画を派手に
フロントライン
すべての日本人が観るべき傑作
ド派手で超大作の『国宝』の輝きに埋もれてしまいそうだが、僕はこっちのほうを(洋画も含めて)今年のNo.1に推したい。
これから年の後半にも良い作品はたくさん出てくるだろうけれど、ちょっとこれを超えるものは出そうにない気がするし、自分の生涯ベストの1つに間違いなく入る。
最初は「実話に基づいたって言ったって、『TOKYO MER』みたいな専門職TVドラマっぽいやつかなぁ?」などと高を括って観に行ったのだが、予想を完全に覆された。
脚本、演出、キャスティング、VFX等々、あらゆることを全部含めて最高でありました。
(今、いろいろ確認のために公式サイトを見に行って予告編映像やメイキング、あるいはモデルとなった人々と俳優たちの再会シーンなどを観たら、不覚にも泣けてきた・・・)
ストーリーは、船内に新型ウイルスの感染者が出たクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で、2週間のあいだ乗客のために格闘したDMATの医療従事者と船のクルーたち、厚生労働省の官僚、患者受け入れを巡る医療機関という、私たちが絶対に忘れてはいけない「無名のヒーロー/ヒロイン」の格闘の物語。
そこには、何もかも前例のない中で身の危険を覚悟で船内で「今できることをする」現場と、統制する本部のあいだの葛藤、船内でも起こる葛藤と助け合いと感謝、法令と段取りに縛られる官僚とのぶつかり合い、ゴシップもどきの報道を加熱させるマスコミのいやらしさ、なぜか「自分は感染症の専門家だが、船から2時間で降ろされた。DMATは素人」と動画を投稿して結果的に世間の不安を煽りDMATの足を引っ張る異様な医師、差別にさらされ出勤できなくなったり子どもの保育園や学校から登園登校を拒否される医療従事者の家族たち・・・と、観続けるのが息苦しくなるような展開が続く。
中でも人間ドラマとして出色なのは、パニックに陥りながらもギリギリのところで耐える乗客たちやクルー、当のDMATの人びとの粘り強い「戦い」を丁寧に描いていることだ。
一方で、厚労省検疫担当、神奈川県庁、感染症学会、DMATの医師たち・看護師たちの所属する医療機関の経営陣などの責任の押し付け合いや足の引っ張り合いは、とてもフィクションとは思えない。
業界は違えど、自分が現役のサラリーマン時代に嫌と言うほど目にしたf**kingな野郎たちと光景がありありと蘇った。
また、細かな一瞬のシーンにも二度ほど驚かされた。
1つ目は、物々しい防護服で重症の外国人患者に対応する医師(演:池松壮亮)が、英語に堪能なフロント係の女性(演:森七菜)に通訳をしてもらうために客室に呼び
「(客室に)入ってくれますか?」
と言った時に
「えっ…えっ…入るんですか?」
とフロント係が躊躇しながらも、意を決したように入室したこと。
2つ目は、すべてを終え無事に帰宅した医師(演:池松壮亮)に、ずっと心配し耐えてきた妻が静かに近づいてハグしようとした時。医師は一瞬ためらうように微かに後ずさるが、すぐに思い直して妻を抱きしめたこと。
そう、そうだったのだ。わたしたちは確かに、そうして恐れていた。
何と言うリアリティ。
こうしたリアリティは、間違いなく当事者たちへの丹念な取材と脚本家の想像力の賜物だと思うのだけれど、素晴らしいのはそのバランスが舌を巻くほど良いこと。
これは、ディテール一つ一つに込められた事実(本当にあったこと)と虚構(いかにもあったかも知れないと思わせること)を極めて自然に織り上げ、どちらにも偏り過ぎずに仕上げるという芸当であって、もはや天才的でさえある。
そして何よりも、脚本家を含めた製作陣の良心を感じたのは、例えばルームサービスのフィリピン女性クルーへの優しい眼差しだ。
些か深掘りするが、以下にどうしても書き残しておきたい。
豪華客船は動く豪華ホテル。つまり彼女たちは言うなれば最下層の労働者であり、現実でもドラマでもほとんどエキストラ並みにしか扱われないのが普通だろう。
でもこの作品では、文字通り名も無い存在でありながら、恐らく実際にあっただろう彼女たちの気配りや献身、そして最後まで乗客を優先するために船底のクルー部屋に寝かされ搬送を後回しにされていたことに、敢えてきちんと目配っていた。
こういうことは脚本家や監督が当初は描きたいと思っても、プロデューサーからは上映時間の兼ね合いやキャラクター全体の軽重の価値判断で編集段階でカットされてしまうことも多いと想像する。シーンを生かすとしたら、配信やDVDでのディレクターズカット(完全ノーカット版)になることが普通だろう。
それを劇場公開時からこうしてしっかり入れてきたことに、製作陣の強い意志と人間性を感じるのだ。
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僕らは、あの5年前のヒリヒリとした得体の知れない不安や緊張感を忘れ始めている。
ある意味、東日本大震災並みに強烈な体験だったはずだが、文字通り「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ものなのか。
誰にとってもリアルだった、しかし誰にとってもまったく同じ経験は一つもなかったあのコロナ禍。
この映画の見事なところは、そんな災厄の始まりである最初の2週間を、フィクションでありながらフィクションとは到底思えない、めちゃくちゃリアリティのある人間ドラマとしてきっちりと仕上げて観せれくれたことだ。
そして、あのときの自分は何を見、何を考えていたかを振り返る。
「未知のウイルス」への言い知れぬ恐怖や「なんとなく後手に見える」対応への批判的な目。
そう、あの頃はワクチンすらなかった。
あの時、僕らは正しく事態を認識し、正しく理解していただろうか。
もちろん、当時で事態を正しく認識できた人間など居なかっただろう。何もかも未知の状態で、わかっているのは「しばらく耐え続けなければならないようだ」ということだけ。
だからこそ、個人としてできることは何か、どんな言動をとるのか、どんなメンタリティで毎日を迎えるのかが大きく問われていた気がする。
この映画は、あの日々のそんな自分を否応なく思い出させ、あの日々の感情を驚くほど喚起してきた。
こんな映画体験は初めてだ。小栗旬が精魂込めたことは間違いなく届いた。
そういう意味では、この映画は80年のあいだ戦争を経験していないわれわれにとっての、一種の「戦争映画」である。
2020年2月横浜港、あの船で何が起こっていたのか。
数年を経て、ダイヤモンドプリンセス号船内の感染者とそれに対応した人たちの一部始終を、当然ある程度のフィクションを含めて、あの船の中で何が起こって、どう対処したのかを描く。確かにあの時の日本国民の多くは、マスコミの流す情報のみを鵜吞みにし、対応した医療班を無能扱い(それがいかに無知であり失礼なことであったか)し、対岸の火事のごとく傍観者を気取っていた。自分もその一人であったことを猛省しなければいけない。そして、船のクルーや医療班たちに敬意を払わなければいけない。一度その責任を負ったならば、冷静に最善を模索し、そしてそれを速やかに遂行する判断と決意と行動力。見事だった。終始事態に対応していた医療班小栗旬、窪塚洋介、池松壮亮、役人松坂桃李ほかの熱演もさることながら、受入れ病院側の滝藤賢一の熱量が半端なかった。自然とほほを涙が伝っていたのは、それだけ訴えかけてくるメッセージが強かった所以であろう。
ただね、ここを解決したところで事態は収束したわけじゃなく、このあとすぐ、数年続く本当の混乱と恐怖はやって来たんだよな。ともかく、この時の彼らに惜しみない賞賛の拍手を。
正解のない現場で、人はどう生きたか
コロナ禍の初期を象徴する「ダイヤモンド・プリンセス号」。
本作は、その混乱の渦中で最前線に立った医療関係者、行政職員、クルーズ船スタッフたちの姿を、多面的に描いた群像劇です。
ドキュメンタリーではなく、フィクションを交えたドラマだからこそ、各人物の葛藤や選択が人間味を持って描かれています。
「何が正しいか分からない」状況で、それでも自分の役割を果たそうとする姿勢に、観る者は自然と引き込まれるのではないかと思います。
キャスティングも見事で、人物の背景を多く語らずとも、立場や信念が伝わる演技が印象的です。
緊張感のある医療現場の描写から、人と人との信頼やチームワークの在り方まで、静かで力強い人間ドラマとして仕上がっています。
実際の出来事を基に「コロナ禍」を経験したすべての人にとって心に残る場面がきっとあるはず。
日常が戻りつつある今だからこそ、この出来事を風化させず、次に活かすためにも、多くの人に観てほしい一本です。
宣伝が上手い
最前線で、淡々とアツく
あの当時、私たちは何と戦うことを求められているのかと考えることがありました。
得体の知れない目に見えないウイルスなのか、国の頼りなさなのか、指示される対策の適切性への懐疑なのか、これまでの日常からの変容を求められる不安なのか、会いたい人に会えない不満なのか。
義務感に近い動機からこの作品を観賞して気付いたのは、あの機会は想像力の欠如への警鐘でもあったかということでした。
あれだけ報道されていながらも、当然あるはずの、DMATの一人ひとりの苦悩、乗客一人ひとりの不安、クルー一人ひとりの配慮、医療関係者一人ひとりの戸惑い、役人一人ひとりの錯誤を想像しながら情報に触れていた人がどれだけいたでしょうか。恥ずかしながら私は全く想い至っていませんでした。そして、毎日報じられていた「陽性者数」の「数」の動向にだけ注目してしまっていましたね。
それはメディアのミスリードだけが原因ではなく、やはり周りで起きていることよりも自身の安全を第一に考えていたためだったように振り返ります。
そうした環境のなか、まさに自身を犠牲にして闘われていた方たちがいた、その様子のほんの一部でも理解できたことは嬉しかったです。
一人ひとりの気持や行動が丁寧に描かれていたからこそのように思います。
若干、登場人物みんなカッコ良すぎだろって感じもありましたが、発生した事態の大きさとそれに立ち向かったというリアルがそんな印象を持たせたのかなと思います。
ただ、リアルな世界で抱える、国として振返りは十分なのかな?次が起こったときの対処は大丈夫なのかな?という疑問はこの先も持ち続けることになりそうですよね。
2020年2月に大事なイベントを用意していながらもキャンセルを余儀なくされたことをずっと悔しく思い続けている自分の小ささにも気付かせていただきました。
俳優良い、面白い大作だけど
当時ダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んだ災害派遣医療チームや医療関係者、乗務員には感謝しかないことを第一に言いたい。
しかし、DMAT(知っている人)は「善」、マスコミと世間(よく知らない人)は「悪」
という映画の構図には違和感を感じる。
ただでさえ、複雑な事象を扱うのに「善悪の二項対立」を描いたので、
子ども向けの映画になってしまった。
批判と非難を混在して脚本にしてしまう安っぽい映画だと思う。
安っぽい「善悪の二項対立」が気にならないほど、面白く描いてほしい。
脆弱な日本の医療体制や想定・準備不足の体制を批判、マスコミ批判した映画を見に行くと思えば、いい映画だと思う。
未知の事態や想定外の出来事に対応する題材として、
原爆や地下鉄サリン事件、震災、福島第一原発がある。
それらを題材とした映画やドラマと比べても緊張感が弱い。
緊張感の弱さから映画に入り込めない。
船内から助けを求めるメッセージを掲げる乗客を軽くあしらうシーンや
桜井ユキ演じるテレビ記者が小栗旬演じるDMATリーダーを船から降りたところで取材を求めるするシーンは、酷すぎて見てられない。
後半、小栗旬演じるDMATリーダーが桜井ユキ演じるテレビ記者を呼び止め取材に応じるようになった時の感情の動きがよく分からない。
予習なして見に行ったが、
吹越満演じる六合承太郎のモデルと思われる岩田健太郎さんを「悪」として演出したい意図を感じたが、そこまで一方的な「悪」とは思えなかった。
普段は、あまり気にするところじゃない、細かいところが気になって頭に入ってこない。
美村里江演じる糖尿病の持病を抱え幼い息子を持つ乗客や
滝藤賢一演じる乗客の隔離を受け入れた医師、
親と離れ子どもだけで隔離された西洋系の兄弟など
これらはただただ事象を紹介するだけになり、俳優さんが可哀そうだった。
それでも、初期に夫が感染し知らない土地での出来事に混乱する妻の外国人乗客の夫婦や
後半にコロナに感染した東洋系の乗務員には心がジーンとした。
こんな映画でも窪塚洋介や池松壮亮がいるだけで、
映画の雰囲気を良くしてくれるから名優だと思った。
あくまで、DMATや乗客乗員の目線で描いた映画にしてほしかった。
安っぽい脚本・演出、「大作風」なんていらない。
続編でいい映画にしてほしい。
全605件中、221~240件目を表示














