フロントラインのレビュー・感想・評価
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13名が亡くなったという事実
あの当時は新型コロナウイルスの感染者が少しずつ増え始めていたものの、後にあそこまで猛威を振るうウイルスとは知らなかった頃です。ダイヤモンドプリンセス号のニュースはよく見ていましたが、中の様子は分からなかったから、感染者を中に閉じ込めたままなのはどうなんだろうかと思っていました。本作では描かれてなかったようですが、アメリカの助言だったんですね。
確かに、患者の受け入れを拒否する医療機関が多かったから、そうするしか無かったんだなと思います。
日本ではそれまでウイルスの爆発的な感染なんて無かったから、感染症対策のシステムが構築されてなかったのも仕方ないことですが、そういう事態を予測することも無く、医療に関する国の予算もどんどん削られていましたから。
そんな中でも戦ってくれた医療従事者、関係者の皆さんには、頭が下がります。それなのにD-MATの方々が差別され、酷い言葉を浴びせられたり、その家族までが職を失ったり、同じ医療関係者からも中傷されるような目に遭っているというのは、報道番組でも新聞でも度々取り上げられていましたよ。
戦争中やもっと前からあった迷信的な偏見や村八分的な思考と何ら変わらないです。
本作は当時の緊迫した状況を伝えてくれますが、まだ描き切れていない事が多いと感じました。
クルーが頑張ってくれたこととは別に、アメリカの運航会社の対応は色々まずかったと思います。隔離が始まって食事を各部屋に運んでくれるようになっても、パンを素手で配膳しているのを不安に思ったという日本人客の証言あり(テレビより)
検疫の様子も見たかったです。
アリッサ他2名のクルーはその後どうなったんでしょうか。
感染症専門の教授が乗船し、ゾーニングが正しく出来ていない事や、役人の認識の甘さを批判していたのはテレビでも中継しました。その指摘はもっともで、なぜ教授が船を降ろされることになったのかは知りたいですね。(お役人が降ろしたんだろうと思ってます)
「面白いことになりそうですよ」と言った架空のテレビ局の記者のセリフは事実ではないですよね。でも主人公は面白がられていると感じたかもしれません。船内はまるで野戦病院のような状態だったのに、まわりはただ見ていただけでしたから。
最終的に、3711名中、感染者712名、死亡者13名、医療機関への搬送者769名、搬送先16都府県、150病院でした。ウイルス以外の原因で亡くなる事案をも含めて被害を最小に食い止めようとしてくれました。
最初に2名が亡くなった時、「でも、船の上ではない」というセリフは、D-MATを擁護する為に敢えて言わせたんでしょうか。震災の時に関連死を気に病んでいた方々が、まるで責任を押し付け合うかのようなお役所的発言をしたとは信じたくないです。
本作では、窪塚洋介さんがカッコ良かったです。池松壮亮さんも良かったです。森七菜さんが船内を走り回って奮闘する姿、ふくらはぎが生命力に溢れていて魅力的でした。
池松壮亮さんのリアル
やはり見ておくべきだと思い上映館へ。人も疎らなレイトショウで助かったが、どうしても泣けてきたのは当時の閉塞感が蘇ってきたからか、そんな事態にあっても美しい人間性が見られたことに改めて胸打たれたからか。
最も印象深かったのは池松壮亮さん。医者の仕事は単調な検証と対応とを地道に繰返し積み重ねていくことがほとんどで、地味で人の汚い部分にやむを得ず踏み込んでいく、かっこいい劇判なんてつきようもない局面が大半。それを体現されていたようで、事前に読んでいた監督・脚本の意図に最も忠実だったように思う。窪塚さんはかっこよすぎ、とは思ったけれど、こういう医者、いるいる(笑)と思った。これ程無骨で渋い役をされるのだとIWGP以来しっかり拝見することがなかった(すみません)ので驚かされた。
そして光石研さん。今回の下衆(ある意味では自分の職業に忠実なわけだけれど)なテレビマンも、他の作品での温厚な父親も、同じ顔貌と風体なのにきちんと”わかる”。改めて凄いと思った。
そのラインを踏めるか?
「えっ、○○さんコロナ? あらあら…」そんな感じになった現在、薄れ...
「えっ、○○さんコロナ? あらあら…」そんな感じになった現在、薄れだしているあの頃の世の中を改めて思い出させてもらうに良いタイミングだったと思います。当時、生死をかけてコロナに対峙してくれた医療従事者や関係各方々の、我々が目にすることができなかった姿、事実(多少の演出はあるかと思いますが)をこうして伝えてくれた企画・制作者に感謝です。
冒頭からもう胸アツのセリフが行き交って小泣きの連続。また、頑張ってきた方たちからの思い、メッセージがセリフ一つひとつに込められていることをしっかり受け止めなくてはいけないでしょう。そして邦画においては大抵、エキストラ役か問題起こし役(悪役含)で使われやすい外国人客(役)にスポットを当て、ひとつひとつのサブストーリーの主役としてしっかり見せ場を作った脚本にも拍手。一番泣きました。
一点、気になったのは厚労省役人・立松 信貴(演:松坂 桃李)はどこら辺まで実在の方に似せたのかなと。あの融通の利かせ具合、年上とはいえ結城(小栗 旬)からの呼び捨ても官僚のわりに普通に受け止め、現場にも立ち入り、そこで自分がしたことに反省する好人物像。「厚労省も頑張った」は受けとめますが、エンディング間際の電話シーンは蛇足でアピールし過ぎ。せっかくのこの物語が、そういう意図・コンセプトで作られたのかと邪推してしまいます。
とはいえ、多くの方がコロナ禍の時代を共にしたわけで、振り返り、今後同様の事が起きた時に今度はどのように考え、行動するのか、その心構えを持ち続けるためにも観に行く価値のある映画だと思いました。
未知に困惑する現場の大変さを知る映画
人間だからこその愚と徳
人間の愚かさ
覚えてますか?
初期のコロナで感染防止の為に
隔離した豪華客船。
それを題材にした物語。
とにかく怖い。
感染も怖いけど一番は
マスコミとそれに乗せられる民衆。
自分の子供が何も悪い事してないのに
クラスで「バイ菌」と呼ばれる理由が
父親の自分が医者だから……って何?
心に刺さる辛い涙。
でも、
ヤバいネタほど人は集る。
倫理もなく数字を追うだけのマスコミと
他人の不幸が大好きな人間達の愚かさ。
自分も人のこと言えないよ。
そして現場は現場で
みんなの言い分が全然違うプロジェクトを纏める。
しかも世間ではバッシングされながら。
そして、失敗するとそこには死。
地獄だよ、本当に。
映画だから見てられるが
仕事であの現場に行ってたら
鬱になってる気がする。
このスタッフに
心の底から敬意を表する。
そして、映画としてもみんなに観て欲しい名作。
あまり日本映画では得意でないノンフィクション系の映画の傑作だと思う。
これがよく出来ていてびっくり!
多分、脚本も書いた増本淳というプロデューサーの力だと思う。
監督が関根光才で、昨年の「かくしごと」の監督。「かくしごと」は、あまりいい出来ではなかったけれど、映像や演出はリアルで、レベルが高いと評価していた監督だった。それが今回、実を結んだ。
普通の人々がそれぞれ緊急で初めての事象に対応しなくてはいけない状況で、嘘くさい演技をしていたら、台無しになるのは火を見るより明らか。
松坂桃李の官僚や、医師の小栗旬や池松壮亮、窪塚洋介が抑えた演技で良かった。(いわば「シン・ゴジラ」のあのノリ)
それで、「シン・ゴジラ」よろしくいろんな困難な事態に対処してゆく。それが案外エンターテイメントとなっている。後半のバスでの大移動は壮観であり、なかなか緊迫したシーンになっていたし。
ラストに事態が収束して小栗旬と松坂桃李がお互いお疲れ様と言っているところで、窪塚洋介が扮する仙道先生がもう北海道で医療に従事している姿が!これがカッコイイ。「ダークナイト」のラストシーンを思い出した。
窪塚洋介は、ラストだけでなく、全編を通してカッコよかった。さすがです。
松坂桃李が最初官僚の上から目線の冷ややかさを演じて、それが最後には小栗旬の医師に対して「先輩」と認め敬意を払っている演技も素晴らしかったし、それを受ける小栗旬がしっかりしているからこそ映えるのだと思う。
今回は、小栗旬が演技者の中でいい要になっている。池松壮亮も良かったし、その妻役の前田亜季は出番が少ないながら、リアルな演技をしていて好感。
森七菜は、英語が上手くてびっくり。可愛く良かった。無駄な演技をしない。いい女優になりました。
あまり日本映画では得意でないノンフィクション系の映画の傑作だと思う。これからも良質なノンフィクション系の映画を期待したい。(特に政治系)
この増本淳プロデュースの「THE DAYS」も見てみよう。
缶コーヒーはポッカに違いない
5年前の狂騒が蘇り、人の咳払いにビクッとし暗闇を出て直ぐに置いてあるアルコール消毒ポンプをプッシュする自分がおり、当時コロナで近親者を亡くされた方には辛いというか見るに堪えないであろう日本での長期コロナ禍の発端となった事件をこんなにも早くしかも綿密にしかも面白いエンターテインメントとして作り上げた良くも悪くも増本淳プロデューサーの映画である。もともとフジテレビ社員で医療系のドラマを数多く手掛けていたそうで、半年かけて行った膨大な取材をもとに自らが脚本を書いたことが成功の要因だろう。監督が脚本を書くケースは多々あるが、映画を立ち上げテーマ・方向性を決めるPが脚本を書くことがぶれない映画制作の要で、事実を基にしているだけにこのプロデューサーと脚本がこれだけの役者を惹きつけ豪華キャスティングを成立させた。「DMATのヒーロー物語り」に偏ってしまう(まあそう見てしまうのだが…)ところをギリギリでこらえており、ましてや隊長の小栗旬自身が決断を迫られる悩みと優柔不断のあり様を素直に演じていて、危ない感じの窪塚洋介がゆるぎない彼なりの「正義」を貫くことで「目の前の命を救うか?感染拡大防止を最優先するか?」というテーマを見事に提示してみせた。意外な柔軟性を持つ厚労省役人の松坂桃李ももちろん良いが、ひと段落した夜の病院でぬるい缶コーヒーを池松壮亮に勧める滝藤賢一の演技が素晴らしい。
世界中の人に観てほしい作品
「家族に医師がおります」と言えなかったあの時期。
私の住んでいる地域で初のクラスター病院となり、離れて暮らしている実家まで村八分状態で、父母は会合にも呼ばれず回覧板さえ来ませんでした。子供は先生から呼び出され「検査してるの?」とまで言われました。その当時の出来事を思い出し、涙が止まりませんでした。
この映画は事実でドキュメンタリーを観ているような自分もまた登場人物のような錯覚になり、終わってからも席を立てませんでした。
映画だと細部までは表現できず、是非ともドラマ化してほしいと思います。
忘れつつあるあの出来事を、いま映画にする難しさがあっただろうにと感心した映画でした。
最後のマスクの跡とハグするまえのちょっと躊躇するシーンにまた涙がこぼれました。
名もなき英雄たち
2020年2月、皆このニュースに釘付けだった。SARS の流行はさほど影響のなかった日本、ここにきてどえらいものが襲来したな、と思ったものだ。その当時、断片的にしか把握していなかった状況が、今回フィクションとして我々の前に姿を現す。
いや、どんな困難な場面に遭遇しても、我々に出来ることは日々積み重ねてきたこと、当たり前のことを当たり前のようにやる。これに尽きるし、それ以上のこと、英雄的なことを、個々人が行える訳じゃないんだよな。目の前の困難・課題に対して、持てる力を注力して、ベストと思われる最善手を選択していく。その積み重ねが、日々物事を前進させていく。それしかないし、できないよな。
それぞれのプロフェッショナルが、それぞれの持ち場で、その日その時の最善を互いに尽くしていくこと。その集積が我々の日常を支えているんだな。他者と比べるでなく、私自身が何を成しうるのか、何で貢献していくのか・貢献できるのか。そんなことを考えさせられた。自身の人生や職業感について、改めて見つめ直すきっかけとなる作品だった。
(25.06.26追記)
吹越さん演じる六合。モデルとなった岩田健太郎氏の動画は当時リアルタイムでみた。言っていることは理にかなっているのでは?と当時感じたのは覚えている。但し、本作でも指摘されているように、人間は理だけで動くようにプログラムされていない。人を動かす、自ら動きたくなるプロセスを踏むこと、他者から信頼される自分であること。自分自身がそうであるだろうか?ということも点検していきたいもの。一朝一夕には自身に落とし込めないから。これもやはり自身の歩んできた道、歩んでいく道がモノを言うのだろう。
歴史的な作品で日本人が知るべき事実が描かれてる
あの時、あのクルーズ船でなにが起きていたのか?
作中でマスコミが面白く報道して、それが実はウソばかりで、ただ視聴者を煽ってるだけという感じで描かれてて、でも実際、私自身あの当時、報道を見て、その報道が伝えてることだけが事実として見ていた1人だったように思う。
まだコロナがそんなに流行り出す前だったし、なによひ緊急事態宣言より前だった?
コロナという未知のウイルスをまだ誰しもが甘く見てた頃だったんじゃないかな?
たから、あの時なにが起きていたのか、事実に基づい作られたこの作品を観たいと思ったし、観て良かったと思う。
戦争とは違うけど、でも戦争のように、このコロナ禍のことって忘れてはいけないし、受け継いでいかないといけないのだと思う。
医療従事者のみなさんほんとにありがとう、おつかれです。
それから五年
錯綜する正義
良心に従って行動した人々
コロナ禍の初期に起きた一大事として記憶に残る、豪華客船
「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染を題材にした映画。
実際の現場は大混乱で解決しなければならない問題が山ほど
あっただろうし関わった人の数は相当数だったに違いないが、
映画ではそれを上手く整理していて、展開が分かりやすかったし
登場人物も絞っているからとっ散らかった印象はなかった。
脚色の妙。取材に基づいた事実を描く部分と役者さんが演じる
ドラマ部分(ある程度のフィクション)との匙加減が絶妙に
良かった。
登場人物の(良い)人間性が現れる場面が随所に盛り込まれ、
当時どういった状況だったかを伝えるだけでなく人間ドラマ
として見応えがあった。
事実を伝える説明的な部分もあるにはあるが、それよりも
登場人物それぞれが”心を持った人間”としての言葉を発していて
響いてくるものを感じた。琴線に触れる言葉がたくさん聞けた。
我々一般人はニュースで見聞きしただけの事柄一つ一つが、
当事者にとってはどれも差し迫った問題だっただろう。
・今までなかった未知のウイルスの脅威
・国内に感染拡大するのを食い止める
・船内の感染者を救う
・入院が必要な患者の搬送先の確保や搬送手順
・船内では自分自身も感染の危機にさらされる
・濃厚接触者の対応
・大切な家族と離れ離れにならなければいけないのか
・異国の地で船内に缶詰め状態になる不安
・言葉の違い
・目の前にいる人を救いたいのに法律や制度が足枷になる
これらの問題に真摯に対応した彼らの行動基準が「いかに
人道的であるか」だった。杓子定規な対応では救える命も
救えない可能性があった。
災害医療専門の医療ボランティア的組織「DMAT」が現場で
対応した訳だが、彼らは決して感染症の専門医たちでは
なかった。それでも誰かがやらなければならない。
良心に従って船内の人々が全員下船できるまで尽力した彼らを
称えたい。
DMAT指揮官・結城英晴を小栗旬、厚生労働省の役人・立松信貴を
松坂桃李、現場で対応にあたるDMAT隊員・真田春人を池松壮亮、
医師・仙道行義を窪塚洋介が演じた。4人の演技が素晴らしかった。
この4人を中心に話が進みつつも様々な人々のドラマが心に残った。
横浜港に着いてもすぐに上陸できなかった乗客たちはお気の毒
だった。そして同様に、乗客へのサービスを継続しなければ
ならないクルーたちにも大変な苦労があったに違いない。
自分もいつ感染するかわからない。でもそんな不安は表に出さず
お客様へのサービスを続けたクルーたち。彼らに精神的に救われた
乗客も多かったはず。
ホスピタリティという言葉があるが語源はホスピタル(病院)と
同じらしい。相手に寄り添って最善を尽くす。医療スタッフと
同様に乗客のケアをしたクルーたちのこともきちんと描かれて
いて良かった。
元ホテルマンの自分としては森七菜が演じたフロントデスク・
クルーがホスピタリティを発揮して問題を解決していく姿に
共感できたし一番印象に残った。
彼女の行動が乗客にも医療スタッフにも良い影響を与えたのは
明確だった。
その他の人物についてもそれぞれの属性にふさわしい言動や
葛藤する様が丁寧に描かれていていずれも印象的だった。
医療関係者の皆様、ありがとう。
ほんの5年前の出来事なのに、忘れてしまっていることが多いですね。コロナは5類になりましたが、うがい、手洗いなど手を抜く時がある自分に反省です。当初は未知のウィルスの時に、DMATや他の医療関係者の献身的な働きに頭が下がりますし、客船のクルーの人々の働きにも胸が熱くなりました。予告編では、厚労省の松坂桃李が、嫌な役をやっているように見えましたが、違ってましたね。こういう役人さんが一杯いれば、日本はもっと良くなると思います。小栗旬、窪津洋介の演技も素晴らしかったです。
当時のマスコミの報道にも一石を投じていますが、相変わらずマスコミの姿勢は変わってないですね。テレビも新聞も編集して報道するわけですから、テレビ局や新聞社の方針や意向に沿わないことは報道しないでしょう。 偏向報道があるわけです。
幸いにも私はコロナに感染しませんでしたが、可能な限り医療関係者の方にお世話にならないようにあらためて気を引き締めていきたいと思いました。医療関係者の皆様、ありがとうございます。
良かった
真実をたんたんと描くことのすごさ…
すごい臨場感!!DMATかっこいい!!
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