劇場公開日 2025年6月13日

「缶コーヒーはポッカに違いない」フロントライン たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5缶コーヒーはポッカに違いない

2025年6月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

5年前の狂騒が蘇り、人の咳払いにビクッとし暗闇を出て直ぐに置いてあるアルコール消毒ポンプをプッシュする自分がおり、当時コロナで近親者を亡くされた方には辛いというか見るに堪えないであろう日本での長期コロナ禍の発端となった事件をこんなにも早くしかも綿密にしかも面白いエンターテインメントとして作り上げた良くも悪くも増本淳プロデューサーの映画である。もともとフジテレビ社員で医療系のドラマを数多く手掛けていたそうで、半年かけて行った膨大な取材をもとに自らが脚本を書いたことが成功の要因だろう。監督が脚本を書くケースは多々あるが、映画を立ち上げテーマ・方向性を決めるPが脚本を書くことがぶれない映画制作の要で、事実を基にしているだけにこのプロデューサーと脚本がこれだけの役者を惹きつけ豪華キャスティングを成立させた。「DMATのヒーロー物語り」に偏ってしまう(まあそう見てしまうのだが…)ところをギリギリでこらえており、ましてや隊長の小栗旬自身が決断を迫られる悩みと優柔不断のあり様を素直に演じていて、危ない感じの窪塚洋介がゆるぎない彼なりの「正義」を貫くことで「目の前の命を救うか?感染拡大防止を最優先するか?」というテーマを見事に提示してみせた。意外な柔軟性を持つ厚労省役人の松坂桃李ももちろん良いが、ひと段落した夜の病院でぬるい缶コーヒーを池松壮亮に勧める滝藤賢一の演技が素晴らしい。

たあちゃん
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