劇場公開日 2025年6月13日

「ドキュメントの様でそうではない秀作」フロントライン HGPomeraさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ドキュメントの様でそうではない秀作

2025年6月19日
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鑑賞方法:映画館

斬新

まずお伝えしたいのは、とんでもなく素晴らしい映画でした。
無駄なアクションや誇張、笑いを取り込まず、実話を真摯に映画化された秀作と、私は思いました。

面白くは無い。エンターテイメントとしては。
ましてや面白く観るものでもないし、そう見せなかった製作陣に称賛を贈りたい。

にもかかわらず、ここまで夢中に、真剣に映画館で鑑賞できた作品は、久々でした。

経験として、ノンフィクションや社会派フィクションなどの映画は、今まで「必ず」眠気に襲われたり、集中力を失う隙間が有りました。
そもそもエンタメとして見せるより、事実を伝えたい意向が、当たり前のように強いためか、エンタメとしては盛り上がりに欠け、どうしても「ダレる」時間が有るんだと思う。

逆に、鑑賞者の満足度(エンタメとしての)を考慮してくださっているノンフィクションや社会派フィクションは、よくも悪くも現実的ではないアクションや美談や悲話が目立ち、ノンフィクションから逸脱してしまう。
しかし、それはそれで映画としては面白く、否定する気も無い。むしろ面白く見れる。

本作を秀作と思えたのは、アクションや誇張し過ぎた美談や悲話が少なく、「音」や「音楽」を利用した演出による盛り上げもほぼ無い映画だったので経験上、必ず何処かで「ダレる」はずが、最後まで物語にのめり込めたためです。

客船内の人々の物語と客船外の人々の物語、
①当事者の辛い思いや苛立ち、未知のウィルス故に、非情な対応をするしかない非当事者。

②正義とかではない、小栗旬さん演じる結城さんも劇中で言っていたように人道的に、するべき事をやり続ける人々。

③また、厚労相やDMATによる乗客や感染者への対応に反感を露にしていた人間も、最終的には人道的な行いを許容してくれている事。

……などなど劇中の全ての出来事が、そつなく満足に鑑賞できました。
それは、新型コロナウイルスの驚異を肌で知っているためかもしれないが、それでもこんなにも盛り上がりに欠ける映像化に、ここまで満足させられたのは、初めてかもしれない。

個人的には、指折りの素晴らしい映画でした。

HGPomera
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