「【自動車事故により、タナトフィリアに目覚めてしまった男女の姿をメタリック感溢れる映像で描き出した作品。ハワード・ショアによる陰鬱で変態的な音楽も印象的な作品である。】」クラッシュ(1996) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【自動車事故により、タナトフィリアに目覚めてしまった男女の姿をメタリック感溢れる映像で描き出した作品。ハワード・ショアによる陰鬱で変態的な音楽も印象的な作品である。】
ー 今作は公開時に、過激な性描写で問題を醸した作品だそうだが、モザイクが掛かっているため、大してエロティックとは思わなかった。”貴方は変態ですか?””ハイ、多分そうです・・。”
それよりも、作品全体に漂う退廃感や、事故により怪我を負った足に装着された器具や、破損した車のメタリック感や、ハワード・ショアによる陰鬱で変態的な音楽の方が余程印象的な作品である。
◆感想
・ストーリーは有ってないようなものである。
一応記せば、
ジェームズ(ジェームズ・スペイダー)は、倦怠期の妻キャサリン(デボラ・カーラ・アンガー)とは互いの不倫を認めあうものの、満たされない日々を過ごしていた。
ある日、彼は正面衝突の交通事故で大怪我を負うが、同時に味わったことのない興奮、タナトフィリアを感じる。
退院後、ジェームズは事故の相手の女性ヘレン(ホリー・ハンター)と再会する。
そして、彼女とカーセックスする。
・印象的なのは、自動車事故を自らの命を懸けて再現する青白い顔の男、ヴォーンである。ジェームス・ディーンの事故死のシーンを再現する件などは、遺族から苦言はなかったのかな。
そして、ヴォーンに惹かれる自動車事故に遭ったタナトフィリアに魅入られた人々の姿。
<世の中には色んな性的嗜好の方がいるようだが、(私の知人の中で爆笑したのは、県内の有名なお茶をわざわざお茶農家に飲みに行く男である。奴はしかも経産婦の女性の方が淹れたお茶じゃないと飲まない。変態さん、いらっしゃいである。)
今作の登場人物達も相当に変わっている。
私が今作を面白く思ったのは、エロティシズムではなく自身の死に性的興奮を得る人たちの姿であり、その独特なメタリックな世界観である。
世の中には様々な変態性溢れる監督が居るが(個人的には、ポール・ヴァーホーベン)矢張りデヴィッド・クローネンバーグも相当なモノである。>