「鬼ヶ街」Demon City 鬼ゴロシ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
鬼ヶ街
地方都市の新条市。かつては寂れた街だったが、若き市長の尽力によって活性化し、世界が注目する街に。
が、この街にはある言い伝えが。鬼が出るという…。
街を牛耳っていたヤクザ組織を、一匹狼の凄腕殺し屋が一掃。家族の為に足を洗おうとしたが、それを良しとしなかった者たちがいた。
般若や天狗などの仮面を付けた巨悪組織“奇面組”。奴らに妻子を殺され、自身も撃たれ…。
世界に発する街の裏側では…。奇面組が新たに街を牛耳り、権力や犯罪や貧困が横行し…。
12年。突然目を覚ます。
悪鬼どもに復讐の鬼と化して単身挑む…。
『ジョン・ウィック』のような殺し屋アクションかタランティーノ路線のバイオレンス活劇を狙ったリベンジ・アクション。
ほとんど無口。鬼のような表情とマサカリ一つで復讐する生田斗真が見せる身体を張ったアクションは壮絶で見応えあり。
だけど、本当に見所はそれくらいで…。
話はシンプルなリベンジものだが、シンプル過ぎて面白味はナシ。
展開もすぐ予想付く。娘は生きていたが…ご想像の通り。
予想付くと言えば、一目で黒幕と分かる市長と“御前様”と呼ばれる奇面組のボス。あ、勿論だけど、同一人物。尾上松也がいかにもなんだもん。
配下の高嶋政伸や田中美央や娘を我が子として育ていずれ慰め者にしようとする変態・東出昌大は個性を放っていたけど…。
市長には側近が。双子の弟。兄弟のバックボーンが挿入されてたけど、あまりに唐突の設定にポカーン…。ラストの“入れ替わり”にもオイオイオイ…。
話の薄さ。キャラの魅力の無さ。
それを補うようにアクションに力を入れたのだろうが、思ってた以上にグロい。Netflix配信だったから企画が通ったようなもので、一般劇場公開だったら難しかったであろう。
しかしそのアクションもセンスやキレは感じられず、ただただ血みどろバイオレンスなだけ。
主人公もボッコボコにされ、刺されて撃たれて、仕舞いには片腕を切り落とされてもまだ死なないなんて、どんだけ不死身…? 本当に鬼…?
ただバイオレンスなだけのリベンジ・アクションをセンスと思っているのなら、監督は完全な勘違い。
『ジョン・ウィック』やタランティーノ作品はアクションもだが、ちゃんと作品として面白味あり。
邦画アクションとしても、いかに『ベイビーわるきゅーれ』にはセンスがあり、『キングダム』には迫力満点の見応えとエンタメ性があったか。
そもそも原作コミック既読者からも、設定だけを借りた別物だとか。
まあ暇潰し程度に何にも考えず見る分には退屈はしなかったけど、誰得…?
強いて言うなら、
鬼滅のマサカリから弓矢へ。
當真あみちゃんが活躍する新章だったらちょっと見てみたいかも…?