「開けたら閉める」ドールハウス なつ あらすじとツッコミさんの映画レビュー(感想・評価)
開けたら閉める
小さい子がいて過敏になるのは分かるけど、荷物持ってフゥフゥいってる人見てチャリ止めてまで怪訝な目を向けるのなら最初から家を空けなければいいのに…
このカナエという母親にはがっかりだよ。
しかし、ショッキングなシーンに不快なギュイーン!って音を被せて衝撃度が2.3倍になり、そのシーンがここぞとばかりに入るのでドキドキする。一見平和そうに見えるシーンでも常に恐怖の対象がいて空気がピンと張っているので緩急というより緩はなく急、超急。
メイの発見場所辞退がこちらも泣きたくなるほど悲しくて、ドラム式のガラスにゆっくりと映るカナエの顔の揺らぎは恐怖の始まりとしてとても良い。
この亡くし方は怒りのやり場が自分にしか向かず心を病むのは仕方ない。
これは本当に辛いのでこの冒頭だけで退席する方いるのでは?と思った。
義母のお焚き上げの供養の話はメイの遺品のぬいぐるみ達の事を指したのだが、チラシはひらりと外へ。
骨董市の人の流れの中で迷子のように不安になっていたカナエが出会ったのはアヤ。私的には救ったようにも感じた。
どうして、人形系ホラーの人形は不気味なのかと常日頃の疑問なのだが、日本人形なんて子供の頃はみんな怖かったと思うのだけどな。
ゆっくり人形を整えるカナエ。髪を切り爪を切る…爪?
しかし、カナエは気にしない。メイの代わりに溺愛し、精神も安定していく。夫の忠彦も、お、おぅ…みたいにドン引きするが、妻が元気ならそれで良いかと壁にはアヤとの家族写真がずらり。
富裕層だからできる壮大な家族ごっこだね。
異様な家族ごっののちにカナエが次の赤子を授かりマイと名付けられ、壁にびっしり飾られていたアヤの写真は幼児に撮って変わる。
マイはアヤと遊びたがり、常に一緒にいる。おままごとをし、お話をする。それは内緒の話で内緒の遊び。マイだけが知るアヤの生い立ち。だってお姉ちゃんだし。
その頃にはカナエはアヤのことなど眼中になく投げだしたまま。
そんなことしてるから、酷い目にあうのではないか?と思った。散々可愛がり蝶よ花よとチヤホヤし、どこにでも一緒。立ち直れたのは明らかにアヤのおかげだし、なんならマイを授かったのも元気になったからだ。
しかしアヤを恐怖の対象としてしか見てない上、ママ友が来た時はメイの仏壇をそっと閉める。メイのアルバムも入れるところがなく、重ねてしまうくらいメイの事も忘れようとする。
過去に蓋をしていたのだ。
おぉう…メイにまでそんな態度か…がっかりだよ…
もう、これは自業自得ではないか…?と思い、アヤの方を応援した。
メイとアヤとマイを3姉妹として育てていれば大きな問題は起こらなかったのではないかと思った。
祖母を襲撃した時は姉妹の共同作業素晴らしいと思った。
真の人形供養の達人カンダさんが出てきた時の安心感がすごい。
夫婦はもう人形には関わりたくないと拒絶するが、事情を知る人に会いに行くことにちゃっかり入ってくる。私はここで、もーー!!って叫んだ。さっきと言うてること違うし。アヤの生い立ちを聞いたカナエは母親のお墓に入れてあげたいと、もーーーー!叫んだよ。
なんなの、自分で都合で可愛がり勝手に雑になり恐怖の対象になり遠ざけたいと思っていた人形にそこまでする?何そのふざけた母性。
浅はかすぎるその行動にウチのカナエがすみません…とか思った。
墓へ返し、落ちたメイの写真(父親が持ってたやつ)を拾う為穴に戻り掴まれた髪を切る為にメイの写真をぶち壊す。もーーー!
ラストはいろいろなことがグルグル回って何が本当かわからなくなる。洗濯槽の中のよう。
メイがアヤの手を引いて出て行こうとしたので姉として迎えにきたのかな?とも思ったが、メイもアヤもなかったことにして、都合の良い時だけ使い結果無かった過去として扱った娘達の復讐では?
人があまり死なないホラーをここまで怖くさせるのすごいと思う。
