平場の月のレビュー・感想・評価
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50代だからこそ描けるラブストーリー
エンドロールに流れる星野源さんの曲を聴きながら、全身に染み渡るこの大人なラブストーリーに、ただただ胸が苦しくなった。
大人になったらなんでも器用にこなして、正しい判断ができると思っていた。けれど大人になったからこそ、自分の生き方や振る舞いを変えられなくて、後先考えずに衝動では動けなくなってしまう。
おかしいな、10代の頃よりいろんなことが出来るようになったはずなのに、恋愛になると不器用で滑稽で、なぜこんなにも切ないのか。
ドラマチックで甘酸っぱいキラキラとした恋愛よりも、ただ愛する人と、平凡な普通な平場のような暮らしをしていくことが、どれだけ幸せなことなのかが身に沁みてくる。
ありそうでなかなか無かった50代のラブストーリー。堺雅人と井川遥という美男美女が演じているにも関わらず、演出やメイクや服装のおかげで、そこらへんのスーパーにいそうな、庶民的なふたりになっていた。そのおかげで最後まで没入して、ふたりの恋の行方を追うことができた。
中学時代のシーンもすごくいい。
堺さんは現代のラブストーリーものに出演されるのは今作が初めてということで、見慣れない堺さんのラブシーンは正直居心地が悪かったけど、それ以外の2人のシーンはとても素敵だった。
鑑賞後、日が経つにつれてじわじわと余韻が染みてきて、あーあの時須藤はどんなふうに思ってたのかなとか、青砥はあの後どうしたのかなとか、考えてしまう、苦しいけど美しいラブストーリーでした。
何か、物足りない…
うーん。。。
いまさらながら初恋と付き合う
個人的な話から入って申し訳ないですが、車での一人旅のお供に、買ったまま封を切っていなかったCDアルバムを持っていきました。1970年代に活躍したアイドル第1号と言われている南沙織の引退記念アルバムなのですが、これにドハマりしてしまい、旅の間ずっと繰り返し流していました。そして中古市場で出ているアルバムをほぼ買い集め、ずっと聞いています。
でも本人はわずか7年で引退し、今は70歳、いまさらハマったところで推し活できるわけもなく、新作も出るわけもなく、なんかけっこうな喪失感にとらわれました。この感覚は何だろう、以前にもあったなあ、と思い返してみると、初恋で失恋した時の喪失感とおんなじだ! と思い当たりました。
そんなわけで、普段は恋愛物なんて見ないんだけど、この作品がそんなテーマで作られたようなので見に行ったわけです。
淡々と描かれる中年の日常に初恋時のやり取りが印象的に交わって、堺雅人の絶妙な表情と井川遥の押さえた演技がよくマッチし、静かに心にしみる作品になっていました。いつもはクライマックスがどうの山場がどうの言っている私ですが、ラストに向かってもうこのまま何も起こらないでくれと願った作品はこれが初めてです。
ラストシーン、居酒屋の老亭主がかけている曲、私はかのアイドルの唄に変換して思い返したりしています。
まさか、薬師丸ひろ子さんの曲「メインテーマ」で号泣です。😭
2025年劇場鑑賞17本目、「平場の月」。
第32回山本周五郎賞を受賞した恋愛小説を、堺雅人さん井川遥さん共演で映画化。中学時代にかすかに思いを寄せ合った2人が時を経て再会、お互いにひかれ合っていく姿を描く大人のラブストーリーです。
妻と別れ、地元に戻った青砥健将(堺雅人さん)、印刷会社に再就職しつつましい生活を送っていた。そんな中、中学生時代に思いを寄せていた須藤葉子(井川遥さん)と偶然出逢う。彼女もまた、夫と死別し独りで暮らしていた。
真面目で優しい青砥と、どこか頑固で生真面目すぎる程の須藤だが、寂しい者同志「じゃ、相互互助会みたいに」と少しずつ2人で過ごす時を重ね、次第にひかれ合う。😍
一緒に過ごした彼女の部屋から見える月。「あの時、月を見ながら、一体なにを思ってたの」と問う青砥、「夢みたいなことだよ。」とはぐらかしながら微笑む須藤。🌖
ある日2人で交わした約束。この素敵なラブストーリーの行方は⁈
ラストシーンで流れる薬師丸ひろ子さんの曲「メイン・テーマ」。この曲でこんなにも涙がぼろぼろととまらなくなるなんて、思いもよらなかったです。😭
世代、境遇が似てたものですから、期待感いっぱい。「そりゃ、井川遥さんみたいな初恋の人が、おひとりで身近にいらっしゃったら、1発で撃ち抜かれるよねー。」と自分で突っ込みを入れながら鑑賞したです。😆
とってもとっても素敵な作品でした。
朝霞っていい街だなあ
飽きずに見れた
50代以上または、未満でも。きっと人生が順風満帆ではない人に響く話。
同世代の心にジンとくる作品です。
涙が出るは感情移入するはで心拍数が上がった。
何とも切なく苦しい物語。手に届く世界観が、より一層、映画の世界に自己投影することになりました。
とにかく胸を打つ、近年、最高の作品でした。
ガスヴァンサント監督の追憶の森以来、胸を揺さぶる、そして、言葉に出来ない人の一生という現実が抱える悲しみを強く感じた点では、それ以上の作品でした。
一見どうでもいいカットも日常を照らす上では不可欠だと、見終わってから再評価できます。
文句なしの満点です。
映画館で観れて良かった。たまたま、この作品に出会えたことに、本当に運が良かったと思います。
とても久しぶりにパンフレットも買いました。それほど私の心を鷲掴みにした作品でした。
映画は見終わったけれど、自分の中ではまだ終わりきれていないので、原作も読んでみます。
月はながめるものである。触れようとしてもそれはできない。それでも・・・
ラストの表情がすごい
主人公とヒロイン、2人の関係性や距離感が本当に、若いカップルと遜色ないように感じた。妙にリアリティがあるなと思った。
主人公の周りの友人たちも、中学から50代のおっさんになるまで、ずっと良好な関係が続いていて、少し羨ましく思った。
ラストの堺雅人さんのあの表情、あれほどまでに気持ちが伝わってくる演技ができるのは、中々すごいなと思った。
結末を知った上で観ても良いと思う
親の死、子離れ、配偶者との離婚や死別…。歳を取るうちに家族という集団形成が薄れ、次第に「個」の自分が浮き出しはじめる五十代。振り返れば、もはや若さや野心も無く、残る財も功績も平均的な一般市民―――。主人公たち周辺の人々も同様であり、須藤(井川遥)の過去が唯一の特異でしょうが、仮に私がどこかのシーンで投げ込まれても数秒で馴染めそうなほど、庶民の日々を切り取った背景。故にこの「平場な物語」には、いくつもの「共感」が散りばめられています。
映画的にはトラブルや事件といった「非日常性」を加えてストーリーに抑揚をつけたいところですが、そういうこともなく、逆に須藤のラストの過程を見せない引き算の演出をするこの物語については、もはや結末を知った上で観に行く方が、井川遥さん、堺雅人さんの繊細な「揺れる演技」の所以をより味わえるのではと思いました。
中年のキスシーン、ベッドシーンは生臭くて苦手。たぶんあるだろうと少しためらっていましたが、お二人のシーンは自然に見ることができました。二人の中学時代の回想が所々で挟まれ、中学生青砥が須藤にした仕草と同じ入り方を大人でもしたことで「ピュアさ」を先に感じたからかもしれません。まあ、お二人の若さが残る容姿もあって…。という所はありますが(笑)。
エンドロールでの星野源さんの「いきどまり」もぴったりでした。
良い物語、ありがとうございます。
50年も生きてきたのにね
50代の人生。
50代の恋愛。
自分自身や周りの同世代が遭遇する様々な出来事、失敗、トラブル、そして喜び…
そんな「オーバー50あるある」な感じが2時間ずっと続くんだけど、結論、私の感想としては「なんだかきまりが悪い」。
50歳過ぎて、もちろんいろんなことがあって、それでもなんだかんだで乗り越えなきゃいけないし、それでいちいち大声上げてわめきちらしたりすることはない。
でも、生きてくって大変だ。
みんな分かってる。
それを、何でもないフリして生活してる。
50代すぎたって、いろんな出会いがある。
別れだってある。
特に「死」との向き合い方はこの年齢特有のものだろう。
この映画は、世の中を動かしている40代以下の人々を撮り続けてきたカメラの背後にいる、世の中の中心を外れ始めた人々、そんな、決して特別ではない存在としての50代にあらためてカメラを向けた作品。
当事者世代の私としても、その切なさや息苦しさには共感するし、涙する気持ちも分かる。
そんな当事者世代だからこそ…
予備知識を入れずに観た私の責任だと自覚した上で、
「私はこの映画は好みじゃない」
大人のラブ・ストーリー
共に歩むという意味
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