平場の月のレビュー・感想・評価
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「太い」って何だろう?
単純な大人のラブストーリーだったら選択肢から外れるところだったが、予告編がそうじゃないと言っている気がして、観てきた。
平場(ひらば)。
日常ではあまり使わない言葉だけど、文脈からして、「普通の」「平凡な」「庶民的な」という意味だろう。主人公の2人とその周りは、まさに平場であって、現代日本に生きる等身大の、独り身の50代の男女がそこに居た。
お互い辛い体験を経て舞い戻った故郷の街で、数十年ぶりに出会い、距離を縮めていく過程と、中学3年の2人が距離を縮めていく過程が、並行して描かれる。青砥は須藤に告白して振られたと思いきや、それをきっかけに距離が縮まり、夜の川岸で須藤の本当の気持ちと覚悟を知る。青砥が須藤との過去を1つ1つ思い出すようにしてたどり着いたこのシーンは、本当に絶妙なタイミングで描かれていたと思う。
平場の2人と、平場の周りの人たちの平場の言葉や態度が、沁みる。
・男は女と直ぐに旅行に行きたがり、女は少し時間を置こうという。
(男は女と一緒にいたいし、女を喜ばせたい。女は心と体の準備が追いつかない。幸せが怖い)
・そばに居てくれる人がいるって普通のことじゃない。いっぱい傷つけられればいいんだ、という同僚のでんでん。
(そう、普通のことじゃない)
・何も言わずただやさしく見守るだけで全てを知っているような動かない塩見三省。
(待っているときに「待つわ」がかかるとか、有線の選曲がさりげにいいよね)
・「青砥に会わせる顔がない」と最後につぶやいた須藤。
(最後まであの日の約束を果たそうとしていた)
「太い」って言葉もあまり使わない。
どうして「強い」じゃなくて「太い」なのか?考えてみた。
私は「強い」には、「堅くて強い」と「しなやかで強い」の2種類あると思っていて、「堅くて強い」はボキッと折れてしまう脆さも持っている。「しなやかで強い」は、ときに人にも寄りかかったりもしつつ苦難を時間をかけて乗り越えていくイメージ。須藤はどちらでもない。
とにかく、動じない。折れもしない、寄りかかりもしない。だからといって決して強いわけじゃない。「弱さを見せたくない(見せる勇気がない)」「甘える自分を許すことができない」それが、強がりで照れ屋な須藤の太さかな、と思った。
堺雅人は何を演じても堺雅人って感じがするのだけど、今回の役は「平場感」が出ていて良かった。でも何と言っても複雑な性格の役柄をナチュラルに演じた井川遙の演技が一番。
あと、安藤玉恵は、平場のおばちゃんを演じたら現時点で右に出る者はいないと思う。
まとまりのない文章になってしまったけれど、40代以上の方には沁みまくる映画ではないでしょうか。私は、あーわかる、沁みるーと心の中でつぶやきながら観ました。
こういう映画が増えている気がするけど、日本が高齢化しつつある証拠かなあ。
井川さんいい!!
ラジオの宣伝でこの映画の事は知っていましたが堺雅人と井川遥のラブストーリーは興味ないなぁと思っていたのですが朝霞が舞台と聞き観に行きました。結果見終わった後もこんなに残る映画はそうそう無いぐらい良かった。もう2週間前に見たのに月を見ても池袋に行ってもこの映画の事を思い出しています。月のネックレス、一つだからいいんだよって。井川さんがハーブ🌿を育てているシーンもありそうだなぁと思って良かった。あと薬師丸ひろ子さんのメインテーマが沁みました。ボリューム上げるシーンが心に残ります。
静かであたたかい
あ〜あのとき何を言いたかったんだろう
タイトルなし(ネタバレ)
井川遥さん期待して見たけどそういう映画ではなかった。化粧っ気の無い、どちらかというと底辺の女性を演じていて。全体的な感想はとても切ない。青砥は1年も放置するのか、と思うし、須藤は最後に会いたいとかあってもよかったと思うし、それが出来ないのが須藤らしいとも言えるけど、なんか不器用な二人がハッピーエンドになって欲しかった。
50代の男女の静かな恋愛を描いた切ない物語
50代になって、それぞれの理由があって独身で地元に戻ってきた中学時代の同級生の男女が、静かに恋に落ちていく物語。
中学時代の初恋の相手同士でありながら、当時は結ばれなかった二人。
互いに結婚や離婚、様々なことを経験してきた上で、50代になったからこその味わい深い恋愛。
あえてこんな書き方をするけど、どこにでも居そうな人達の、どこにでもあり得そうな話で、見過ごされてもおかしくないような市井の話。
だけど、どんな人の人生も、きっと丁寧に描けば映画になるようなストーリーがあるんだろうな、ってことを気付かされた。
とにかく泣いた。何度も泣いてハンカチで目を拭った。
ストーリーはもちろん、キャストの演技がどれも素晴らしかった。
主役の二人は当然のこととして、脇を固めている俳優陣も素晴らしかった。
特に個人的には、ほぼ引退しかけてる居酒屋のマスター役の、塩見三省。
肩を寄せ合って静かに盛り上がる2人を、邪魔にならない程度の良い距離感で見守り、ときおり静かな声でポツリと温かく話しかけるのが心地よくて心に触れた。
セリフは少ないのに、その少ないセリフに感情を乗せる演技はさすがの大ベテランだった。
ハコ(井川遥)が亡くなったことを知ってから、初めて訪れるその居酒屋で、思い出の曲が流れて感情が溢れて咽び泣く青砥(堺雅人)を見て、そっとボリュームを上げてかき消してくれる粋なマスター。そこでまた涙が溢れた。
ここからは、勝手に映画の中の主役二人の心情なんかを推測。
ハコの母親は、小学生の頃に外に男を作って蒸発した。それもあってか、ハコは1人でも生きていけるようにするんだと決意をしている。
悪い意味ではなく、まずは自分。その次に他人。
きっと人を愛するのが苦手、それを言葉にするのはもっと苦手。
愛しても、それを返してくれるとは限らないと分かってるから。
だけど、それをも乗り越えて、自分よりも人を愛することはあるけど、その相手はどこか現実離れをした相手になってしまう。
例えば、DV夫や紐男。
人を愛することが苦手だけど、のめり込むと一筋になってしまう。のかもしれない。
実の妹ですらも、心の中ではどこか信頼しきってしない。
きっと、心の底から本当に信じられるのは自分だけ。
他人が心に踏み込もうとすると、すぐに殻に籠る。自分を守るために、相手を遠ざけようとする。
きっと、その殻を破れるのは自分しかいない。殻を破ろうとしてくる人ではなく、自分が入れ込んでいる人に自分から殻を破ってしまうから、自分の気持ちばかりが歯止めが効かなくなり、良いように利用されてしまうこともあるんだと思う。
青砥はそんなハコにとって、中学時代の初恋の相手でもあり、50代で再開してからも大切な人だった。
だからこそ、つかなくてもいい嘘をついて距離を取った。
知らずに自分が死んで、青砥がどう思うかを考えられない。
考えられていたのかもしれないけど、それでも自分がどうしたいか、がやっぱり1番になっている。
目の前で悲しむ姿を見たくない。それを見て自分も悲しみたくない。だから、嘘をついた。
本当は結婚したかった。でもそんな時にガンの転移が見つかった。その状態でプロポーズを受けても、夫婦で居られるのは僅かな期間になってしまう。
それを知らなかった青砥は、プロポーズを断られた結果、納得はいかないが、渋々別れを受け入れることにする。
青砥は、ハコの目の前に姿を現さないという約束は守るが、やっぱり気になるからLINEで定期的に連絡するけど、全部未読スルー。
ハコが亡くなってから1ヶ月後にようやく人伝で知ることになる。
「死ぬって分かってるなら尚更、最期くらいは心から信じて頼って欲しかった。
でも、ハコの気持ちも分からなくもない。」きっと青砥はそんな悔しさやもどかしさ、怒りなんかぎ混ざり合った複雑な感情だったと思う。
50代の恋。もうこれ以上の恋なんて人生には訪れないと思うけど、残りの人生を、この最後の恋を大切に胸の中に閉まって青砥は生きていくんだろうと思った。
配信が開始したら、家で一人で観ながら心置きなく号泣したい。
原作読んで観たくなってその日に観に行ったが
月に託す「ささやかな願い」。
おとなの恋は分かりにくくて面倒くさい。若い頃であれば、ストレートに気持ちを相手にぶつける所を、なかなか本心が明らかにならない。須藤は「青砥がちょうどいい」と本心を隠して嘯き、青砥は最初から須藤をお前呼ばわりして友達関係を強調しようとする。どの時点でお互いを好きになったのかと思っていると、どうやら再会した最初からというより、中学生時代からずっと好きであったかのようである。
堺雅人演じる青砥が「いい奴」過ぎる。須藤が青砥の事を妹にひそかに「初恋の君」と呼んでいたことで、須藤の本心が分かった気がした。悲惨だった少女時代に手を差し伸べてくれた青砥は彼女にとってずっと憧れの存在であったようだ。再会して最初はそっけない反応を示すが、青砥が以前と変わっていない事にほっとしたと思う。二人が「互助会」的な関係から、なくてはならない関係に進展していく過程がとても良く表現されていたように思う。照れや外聞を捨てて本心で向き合っていく所がとてもいい。中学生時代に、何もできないけど近くにいてくれた彼は、再会してからも大病を患った彼女に寄り添ってくれた。
それだけに、彼女の嘘から二人が別れてしまったのはとても残念である。負担をかけたくないとか、美しい思い出だけを持っていきたいという気持ちは分からなくはないが、青砥の心情を思うと悲しすぎる。見終わった後に、悲しさと美しさが強く印象づけられたということは、その点では作者の意図はうまくいったということかもしれない。
将来に大きな希望はないが、ささやかな夢なら持っていい、そんなリアルなおとなの恋物語でした。
50オーバーの恋愛はじわる
原作未読です。
ラジオCMで何度も聞いて、気になっていたので観に来ました。
私は既婚ですが、50過ぎて、このままときめくこともなく終わるのかな、と思ってます。
主人公の青砥もそうだったのでしょう。
須藤は恋愛なんてもうこりごりと思っていたのかもしれません。
そんなふたりが出会って距離を詰めていったのは、そんなつもりではなかったのか、
それとも「もしかしたら」と思っていたのか。
私が思うに多分、寂しいというよりも、日々が詰まらなかったから、ちょっと味変くらいなのかなと。
でも生活の中で、だんだんお互いの存在が大きくなっていったのでしょう。
後の展開は想像の通りです。
……なんですけど、鑑賞後2日間ずっとじわってます。
その理由年齢だけでなく、私も大腸がんを経験してるからかもしれません。
私も術前に、万が一直腸にもあった場合人工肛門になるかもしれません、と言われてました。
幸い横行結腸の切除だけで済みましたが、術後の病室は2人部屋で、同室の方は肛門の再生のための手術で入院されていた方で、1年くらいパウチで過ごされたとのことでした。本当に大変だったとのことでした。それが女性となると、精神的な負担は想像を絶します。
あと大変共感したのが、
須藤が「恥ずかしいよ」と言った後の青砥の「俺だって恥ずかしい」。
あ、これって言っていいんだ。
大変勉強になりました。
さて、とりとめもなく書いてしまいました。
最後に、男って恋愛や結婚に失敗すると、次は「やさしくておとなしい子がいいな」と思いつつ、なんだかんだいってサバサバ系気の強い女子に惹かれちゃうんですよね。
性懲りもなく。
健康でいられる幸せ
ストーマを装着してる人の苦労は新聞で知るだけで自分には関係ない他人事としていました。
しかし本作「平場の月」を鑑賞して他人事と考えるのは浅はかな事だと思いました。
少し出来すぎ感が否めないストーリーでしたが堺雅人と井川遥の息の合った演技は見応えがありました。
特に堺雅人が終盤で見せる演技はかなりリサーチをしたのではないでしょうか。
思いがけない事に呆然とする表情、今まで堪えて来たのがある事をきっかけに堪え切れず号泣してしまう演技には見事でした。
ありがちなお涙ちょうだい的な陳腐な演出はなく心情に訴えかけてくる丁寧な演出でした。
監督の土井裕泰は「花束みたいな恋をした」でも感じましたが男女間の心の機微を演出するのが上手いです。
50代にはかなり突き刺さる作品です。
こんな映画もいいなー
井川遥さんがとにかく素晴らしい
中年の男女が中学校卒業以来、三十数年ぶりに再会し、互いに惹かれ合う物語。結末はとても哀しく、ある意味では定型的な悲恋だが、私には深く刺さった。鑑賞中よりも、見終わった後にじわじわと心に染みてくる。そんな時間差の余韻が心地よく、気づけばすでに三度も観てしまった。
登場人物は、主人公の二人を含め、皆ごく普通の市井の人々。まるでNHKの『ドキュメント72時間』に登場するような、どこにでもいそうな人たちばかりだ。でも、そこがいい。感情移入しやすく、彼らの人生に自然と寄り添いたくなる。平凡に見える日常の中にも、それぞれのドラマが確かに存在していて、その姿を見つめるカメラの眼差しがとても温かい。鑑賞後に原作小説も読んだが、映画の方がほんの少しだけ、登場人物たちに対するまなざしが優しく感じられた。
物語は悲恋だが、決して大げさではなく、淡々とした描写が続く。その抑えた演出が、かえって切なさを引き立てている。静かな語り口の中に、深い感情が確かに息づいている。
俳優陣は皆素晴らしかったが、特に井川遥さんの演技には心を奪われた。難しい役どころだと思うが、見ているこちらが思わず応援したくなるような、健気で芯のある女性を見事に演じきっていた。とりわけ、ラスト近くの自転車の二人乗りではしゃぐ姿と、その直後に訪れる行き違いからの別れの場面が、あまりにも切なく、今も胸に焼きついて離れない。
映画がうまい 誰だこの映画を作ったのは とっても素晴らしい
映画館で泣かなかったのに、運転中じわじわ泣けてきた、余韻がすごい映画です。
私は嫌いじゃないけど恋愛映画はあんまり見ない、選択肢にはあまり出てこないタイプなのですが
星5!!といえるレベルでイイ映画でした。
映画に限らず、漫画も何もかも恋愛系もバトルもなんにせよ
簡単に泣かせるには死がいちばん手っ取り早いと思っているので、その死をどう扱って話を持っていくかって言うのが重要だと思うのですが
それがうまかったなーと。 展開はありきたりで予想がつくんだけど、俳優の演技と監督の場面場面の魅せ方がむちゃくちゃ上手だったって感じです。
個人的に映画がうまい!!(?)と思った感想なのですが、起承転結がすごく綺麗。嫌なシーン、不要なシーンが個人的にはひとつもないと思うくらい綺麗でした。
窓の外を見て、何を考えてたの。と須藤が言ったら、「夢みたいなことを考えてた」という須藤。
そこで二人が須藤の家の中に入るシーンがある。きっと「これが夢みたいなこと」であるんだろうなと察したところ。
私(視聴者)が知らないだけで、映画にあったあの中学生の場面以外にもきっとこの二人はすっごい中学生の時に色々話したんだろうな~と
最後の自転車のシーンや、どんな大人になりたいか等話してるところで思いました。
それを見たかったと思うと同時に、それは無粋だとも思った。でもなんだかそれがすごく素敵なことだなぁと。
二人のベッドルームのときに、人工肛門の音。須藤は泣きそうになりながら、「ごめんね止められないの」となるが、青砥は「そんなのいいんだ」と抱きしめるシーン。あまりにも「愛」でした。
最後の畳み掛け。最初に場面が戻り、12月20日ってそういうことか!になったあとの訃報。
青砥「(須藤が死んだと聴いた直後のびっくりした顔)」私「まあ展開的にそうよな」
→須藤妹「青砥さんにも連絡しようかと思ったんですけど、姉が誰にも言うなって言ったから、悩んでしまって」青砥「(信じられない顔で部屋を見渡す)」私「まあそうよな」
→青砥「(居酒屋で薬師丸ひろ子のメイン・テーマを聞きながら泣くシーン)」私「まあそうなるな」
→エンドロール:私「あれ、なんか泣けてきた」の、時間差。
全く青砥と同じだった。じわじわとした悲しみを侵食するように植え付けてくるというのはすごいと思った。
すべてのタイミングが良いも悪いも凄くよかったストーリーなのだなと。
きっと須藤がDV旦那に熱をあげているとき、年下の男に貢いでるときに青砥と再会しても、おそらく青砥も結婚していたし、お互いこういう関係にはならなかった…んじゃないか…?
だから私は最後に須藤は亡くなってしまったけれど、多分全てがこのタイミングでなければいけなかったのだろうと思いますね。
癌が全身に転移してそのまま亡くなった話でも、あのプロポーズした日に
癌の転移が見つかったんだっていうのは、青砥も須藤も悪いわけじゃないけど
もし転移を聞いたあとだったとしても、多分青砥プロポーズしてたんじゃないかなぁと。
病気を受け入れてくれる、昔好きだった、汚い自分全てを今だって受け入れてくれる男が
夢のようで、好きで、怖ろしくもあり、とてつもなく愛おしく
須藤にとって思い出の再生と続きだったのだろうと切なくなりました。
以下、簡単なあらすじ解説(ガッツリネタバレ)
・主人公、青砥(あおと)が朝起きて、ニュースを見ているシーン。今日から12月、という言葉にカレンダーをめくる青砥。12月20日に丸をしてある。
・青砥、おそらく働いてるところは製本工場?そこの兄ちゃんやおじさん、おばさんたちとも仲が良い青砥。
・仕事から帰ってくると、家に青砥の息子らしい若い兄ちゃんが。マンションの保証人のサインを貰いにどうやら来る。
・どうやら青砥は母さんはゼクシィを買って再婚を考えているらしい。青砥は離婚しているっぽい。
・12月20日に丸をしてある。息子がそれに気がついて、なにこれ?ってなる。
・場面が変わって胃カメラでデキモノみたいなのが見つかる青砥。そのデキモノを調べるのに、大体は大丈夫だろうけど、万一ってこともあるから。と検査することに。
・その検診センターの売店で働く須藤という女。青砥がご飯を買おうとして、もしかして須藤?と再会。ふたりは中学の同級生。なんならその隣にまた女の同級生。青砥が「なにこれ、同窓会?」と笑う。
・シフト交代だったらしく、須藤は裏へ戻っていくのを見た青砥は、待合室で須藤を待つ。そのまま一緒に公園へ。どうやら須藤は中学の時に引っ越しして、色々あって地元に戻ってきたらしい。
・二人でお互い近況話し合ったりしよう、とお互い定期的に会うことに。
・ほぼ毎週のようにとある焼き鳥屋で会う。その焼き鳥屋で流れてた曲を口ずさみ、「これ、なんて曲だっけ?」ゆっくり歌い出す須藤。「確か〇〇が文化祭で歌ってたやつだよな?」と二人でハミング。焼き鳥屋の店主が「薬師丸ひろ子」とだけいい、二人でそうだ!となって、店主がそれからよくふたりを気にかけてくれる。
・が、とある日予約をしていなかったため入れず、どこも断られ、須藤がうちで飲もうと言うが青砥は「男女だからそれはダメだろ」と言う。しかし須藤は「ぶっちゃけお金が無い。毎週飲みに行くのはしんどいから、家で飲みたい、というのを聞き、青砥は折れて須藤の家に向かう。
・過去話。須藤は引っ越したあと、どうやら結婚して、その男が金持ちだがろくでもない、けど須藤はその男が大好きで、ベタ惚れで、でも若くして亡くなった。
・そのあと須藤は銀行で働いていたが、そこに来る美容師の年下の男に貢ぎ始めてしまう。最終的には銀行の稼ぎだけでは物足りず、バイトもしても足りず、貯蓄に手を付け、亡くなった旦那の家を売り、ほぼ全部その美容師の男にお金をあげたらしい。
・そしてちょっとのお金で地元に戻ってきたとのこと。
・青砥も青砥で5年前に離婚したこと、離婚後アル中になってしまったこと、でも「離婚でアル中ってださくないか?」って笑えるくらいには復活してることと、それに対して「ださい!」っていう須藤。
・そして実は須藤も大腸にポリープがあることを告白。検査結果は青砥と同日で、その日の夜にどうだったか話そう。となる。青砥が須藤に「俺はなにもなかった、お前はどうだったんだ?今日遅かったな」と言うと
『妹に会っていた。手術になったら、親族のサインが必要だから』と。
・須藤、手術へ。抗がん剤治療も進みつつ、青砥といい感じになり、付き合うことに。入院中、三日月のネックレスをプレゼントして、喜ぶ須藤。
・しかし退院して人工肛門を取り付けて、なんとも言えない顔の須藤。青砥とスーパーに出かけるが、「臭くない?私トイレに…」と頻繁に匂いを気にする須藤。「別に臭くないけど…」ってなる青砥。
・誕生日、12月20日はどこへ行きたい?温泉旅行とかもいい、個室についてる露天風呂だったらこれ(人工肛門)も気にならないだろ?という青砥に、「退院したてで、今は少しずつ日常を取り戻してて、旅行とか大きなことは考えれない。から、来年に行こう、来年の12月20日に、温泉旅行」という須藤。
・須藤入院中に青砥は須藤妹にあっていて、そこで付き合ってるとか色々で祝福してくれる須藤妹。
・そんな感じで日にちが経ち、もう少しで須藤の誕生日12月20日。「どこでご飯食べに行く?銀座?」という青砥。「そんな銀座なんて。池袋とかでいいよ」という須藤。「じゃあ買い物とか、俺にだってなんか(金を払わせるような祝い事を)させてくれよ。アクセサリーとかはどうだ?」「ネックレスで十分嬉しい、1つでいい、これがいい」「じゃあ、指輪とか…」でプロポーズをする青砥。一緒にいたいんだ、これから先、という青砥に須藤は「それだけは言っちゃいかん。それだけはダメ。もう出てけ、顔も見たくない」という須藤。
・青砥は色々俺のことが本当にどうでもいいのか?とか色々聴いて、そのたびに須藤は「どうでもいい、もう会いたくない。」と顔を合わせない。
・「お前は約束を破るか?」と言われて「(ここ重要なのに忘れた!無言だったか、破らないって言ったか…)」に、青砥が「1年後の温泉旅行、行こう。どこがいいかな、お前の体調が良ければ新幹線に乗って熱海でもいい」と言って、「熱海は、行ったことがない」の言葉を最後に、青砥が家を出ていくシーンに。
・そこから最初に戻って「12月20日に丸をしてある青砥のカレンダーをアップの構図」最初に繋がる。
・ぶー、というスマホの着信がなる。急いでメッセージを開くと、ただの広告。継に映し出されたのは、その須藤と最後に別れてからもずっと送り続けたであろう須藤と青砥のメッセージ。もちろん須藤からの返事はなく、ずーっと青砥がひとりで須藤にメッセージを送っていた。
・メールが来て、あと予約のお日にちまで1週間です、という熱海の宿から。仕事中、今日は飲みに行くぞ~とみんなでこそこそわいわい、昼休み中も熱海のことを調べていたところ、職場のひとから「そういえば須藤さん亡くなったらしいよ」と。
・青砥急いで須藤の家に向かって(多分早退)たまたま窓を開けてる須藤妹と出くわす。「二ヶ月前に亡くなった」「葬式は親族だけにしろと言われてた」「青砥さんにも連絡しようかと思ったんですけど、姉が誰にも言うなって言ったから、悩んでしまって」「青砥さん呼んでこようかって言ったら、合わせる顔がないと言っていた」「『青砥、あれからちゃんと胃カメラと大腸検診行ってるかなあ』が最期の言葉だった」という妹。その間、青砥はまるで信じられないという顔で部屋を見渡す。
・そのあとに須藤と通ってた焼き鳥屋に行き、店主に「久々だな」と言われ、なんとその焼き鳥屋で職場の兄ちゃんの昇進祝い。ちょっと青砥は席を立ち、いつもの須藤と一緒にいた席に座り、薬師丸ひろ子の「メイン・テーマ」が流れ、それを聞いた青砥が泣きはじめ、どんどんと店主が薬師丸ひろ子の音楽のボリュームを上げていき、周りの音がどんどん霞み、場面は青砥の泣き声と音楽だけになり、エンドロール。
また、随所随所で二人が中学の時に想い合うようなシーンが差し込まれる。
須藤は家庭環境が良くなく、直接的ないじめはなかったが「須藤母が他に男作って出ていった」「最近団地を須藤母が徘徊している、男は年下だったから捨てられたんだ」と噂と立てられひそひそされ、須藤は孤立したりなどのシーンも色々挿入された。あと青砥が須藤に告白して、「青砥がダメなんじゃなくて、みんなに対してそういう気持ちにはなれない」「私は一人で行きていくんだ」と中学の須藤は言っていたり。
また、青砥の母が認知症で、途中亡くなってお葬式で元嫁が来たり、須藤も参列していたり。
他にも同級生たちが出てきたりします。みんないい人たちです。
年下の美容師くんが須藤に会いに来てたりといろいろありましたが、だいたい大まかなストーリーはこんな感じ。
泣くとかいうより、心に穴が空いたというより
もっとズッ……とした鉛のようなものを心につけた気分でした。
吾唯足知、私は、ね。
原作には何も触れず、観に行きました。
平日の昼間にも関わらず、結構入りが良いなぁというのが、第一印象でした。とくに熟年カップルが多いなと思いました。皆さん、何を目的に?と自分を差し置いて思いました。
私は堺雅人さんを観たくて行きました。感情の起伏が並でない役柄の印象が強い俳優さん(指摘感想)が演じる日常は、やはり、日常に埋もれがちなドラマを、浮き立たせていたように感じられました。
普通の顔して、みんな結構、ワクワクしたり、しんどい思いもしながら、生きてるんだぜ〜!ってなメッセージをいただいた気がします。
そんな生き方をしたら、いつか、塩見三省さん演じる、酒場のオヤジさんみたいになれるのかしら?などとも、考えました。
改めて、今の幸せを確認に来た行動だったのかな?とも感じました。
近所の朝霞市の風景は、見覚えのあるものでしたので、住民ではありませんが、なんか嬉しい気がしました。
田舎の同級生と居酒屋で
日曜日にイオンシネマで
堺雅人がNHK朝番組に出ていて観たいなと
監督が劇団の先輩だとか話していたような
彼は九州の進学高校の出身で
大学で演劇にはまり役者になったのだと
田舎の進学校出身 大学で映画に目覚めたオラ
勝手に共通点
半沢直樹とかVIVANTは観ていないが
真田丸は毎週欠かさず観ていた
あとはゴールデンスランバー
オラの中での邦画ベスト10に入るのだ
本作では会社の昼休みのシーンの乗りツッコミ
彼のこれが観たかった 間がよくかなり高度
あと ひとりやもめのルーティン描写
PERFECT DAYSっぽくてこれも大好きだ
田舎の同級生と居酒屋で飲んで
親の介護とか転職 こどもの進路 離婚
身の上話を聞いているようで妙に心地よい
あと誰かと誰かがくっついたとか ゴシップ…
葉子のあだ名がハコとかいいなぁ
歳を重ねるのも悪くないとしみじみと思う
朝倉かすみの原作本も読みたいと思った
平場の月って上弦の月とかそういうたぐいかと
特別でない くらいの意味らしい なるほど
脇役陣スゴく贅沢 成田凌はまり役
大森南朋の使い方はもったいないような…
でんでんは超リアル工場オヤジ
スマホエピソードはさすが
黒田大輔 松岡依都美とか激シブ
安藤玉恵 塩見三省も
これだけの実力者たちをまとめられる監督の力量
あ 吉瀬美智子もいた
劇中でポイントになる曲
オラの最近のプレイリストに入っているので嬉し
南佳孝バージョンもあって
アンサーソングみたいになっているのだ
あ オラのリストにはセーラ一服と機関銃も…
終了後はまたまた公園で缶ビール×2と自作弁当
さすがに外飲みは今年もう最後
本作の主人公も弁当を自分でつくっていたな
オラはおかずは冷凍とか出来合いばかりだ
相変わらずいい休日
全462件中、21~40件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。







