「良い余韻が残る...しかしとても切ない」平場の月 K2さんの映画レビュー(感想・評価)
良い余韻が残る...しかしとても切ない
主人公(青砥)と、中学時代に想いを寄せ50代で再会した須藤が、互いに求め合いながらも微妙にすれ違う。絶妙なシナリオや計算し尽くされたプロットは用意されず、2人の不器用さ故に展開する、"まぁ、あるかもしれない" もどかしげなストーリー
劇的ではあるが、(最近の邦画にありがちな)用意周到な物語でも、強引に"泣かしに行くお話し"でもないのが、この映画の最大の美点
いい感じに感情移入して観ていると、「え〜、何で今その選択?」などとつい思ってしまう。しかし、常に"客観的に正しい選択をする訳ではない"のが現実の人生。そういう経験が豊富な世代ほど、ササる映画ではないかと
「平場」という言葉は自分の語彙にはなかった。「普通の」という意味だが、確かにこの映画では終始、"普通"の生活風景が描かれる
東京近郊の市街地で普通に働き、通勤は徒歩や自転車。帰りにスーパーで買い物、月に数回は飲み屋にも立ち寄るがそれ以上は経済的にちょっとキツイので家呑みも多い。みたいな
(離婚した後、)親の介護の都合から地元に戻り、職場に「おな中」がいたり、たまに同級生で集まって呑んだりする
50代にもなると、健診で引っかかって再検査を受け、ポリープやらガンやらが見つかったりすることも...
描かれるシーンは普通にある出来事だらけだが、30代以下は多少共感が難しく、40代はそろそろ実感?、50代にはあるある多し、60代以上には実体験と重なりすぎる所もありちょっとシンドイ?
しかし、井川遥さん演じる須藤は、必ずしも普通じゃない特殊なキャラクターで、これがこの物語の殆ど全てをカタチ作っている。ソトから見てどう映るかはさておき、本人は"納得"の人生。そういう"覚悟"で生きている人の人生を観る物語だと思うし、そこがまた、とてもセツナイ
(切実すぎて、泣けないけどね)
P.S.
冷静に考えると、別れた元妻が吉瀬美智子で、初恋相手&恋人が井川遥って、ちょっと"平場"ではない、かも...
P.S. (2)
同級生役の安藤玉恵さん、今回も"平場の人"を好演!!
玉ちゃん出演作に、やっぱりハズレなし
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