「いまさらながら初恋と付き合う」平場の月 ゾアさんさんの映画レビュー(感想・評価)
いまさらながら初恋と付き合う
個人的な話から入って申し訳ないですが、車での一人旅のお供に、買ったまま封を切っていなかったCDアルバムを持っていきました。1970年代に活躍したアイドル第1号と言われている南沙織の引退記念アルバムなのですが、これにドハマりしてしまい、旅の間ずっと繰り返し流していました。そして中古市場で出ているアルバムをほぼ買い集め、ずっと聞いています。
でも本人はわずか7年で引退し、今は70歳、いまさらハマったところで推し活できるわけもなく、新作も出るわけもなく、なんかけっこうな喪失感にとらわれました。この感覚は何だろう、以前にもあったなあ、と思い返してみると、初恋で失恋した時の喪失感とおんなじだ! と思い当たりました。
そんなわけで、普段は恋愛物なんて見ないんだけど、この作品がそんなテーマで作られたようなので見に行ったわけです。
淡々と描かれる中年の日常に初恋時のやり取りが印象的に交わって、堺雅人の絶妙な表情と井川遥の押さえた演技がよくマッチし、静かに心にしみる作品になっていました。いつもはクライマックスがどうの山場がどうの言っている私ですが、ラストに向かってもうこのまま何も起こらないでくれと願った作品はこれが初めてです。
ラストシーン、居酒屋の老亭主がかけている曲、私はかのアイドルの唄に変換して思い返したりしています。
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