「そばにいるって当たり前じゃない」平場の月 ryosukeさんの映画レビュー(感想・評価)
そばにいるって当たり前じゃない
大事なことをもう一度ちゃんと確認してくれって祈りながら見ていた。
良くも悪くも人はなかなか変われないもので、もっとうまく生きれたはずなのにって思うばかりだけど、それが愛しくも人間なんだろうなとラストの結末を見ながら思った。
この映画の中でもっとも印象に残った言葉が、でんでんさんが言った「人がずっとそばにいてくれるって当たり前じゃないからな」という言葉。(意訳なので言葉尻は若干違うかも、、)
井川さんが初めて部屋で飲んだ時に、この話を誰かにしたかったと言っていたけど、誰かに話したいけど誰にでも言えることではない事を聞いてくれる人がそばにいる。
これだけでもう十分人生は豊かで幸せなんだとしみじみと思う。
この映画の良さを考えてみると、とてもバランスが良いと感じる。
病気もの、中年の恋愛モノ等どれか一つのテーマで感動的に書ききっても成立するが、仕事も恋愛も親の問題も子供も自分の身体の事も地元ならではの仲間も中学生の頃から続くヒエラルキー的要素も、人生には抱えきれない程の多くの側面と共に進んでいく。
そういった現実の中に恋が生まれていく感じがとてもリアルだ。
学生時代の、年を取ってその時代と離れれば離れるほどにかえって色濃くなっていくような思い出とともに、いま改めて向き合い、質素なアパートで二人が過ごす所がこの上なく現実的で、とてもむず痒い様にも照れくさい様にも感じる生々しさがある。
最後に、2014年に病気をされてお痩せになられた塩見三省さん。
年齢を調べるともっと若いと思っていたが、77歳ということに驚かされた。
後遺症もあってなのか、ほとんど座ったシーンで声も小さかったが、それがとても味わい深くて、何かを察してボリュームを上げるシーンはとても素晴らしかった。
これからも無理はされず、少しのシーンでもいいので見たい役者さんだなと思った。
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