「窓辺に佇む井川遥は反則である」平場の月 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
窓辺に佇む井川遥は反則である
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「何を考えてたの?」と堺雅人が問うて「夢みたいなことだよ」と冒頭で返す、その脆く儚げな予感が漂うだけでフラフラっとしてしまった。
『花束みたいな恋をした』『片思い世界』の土井監督なので正直「こんなの映画じゃないな」と思って見てはいる。同じシナリオ使ってもっと引き出し、もっといい編集で攻めることもできることは容易にわかる仕上がり。なので基本は惜しい、と思って見ている。自転車二人乗りも、とある別作品に比べればしょぼい。シネマルックの仕上がりからしたら記号を超えていない。『花束〜』の京王線沿線感の薄さ(勿体無い)と今度は西武線沿線かな? その土地感覚もやはり上手くはない。この辺はインディペンデント映画の若き旗手たちはとても上手いのに勿体無い。
でも、である。これだけゆる〜くテレビを見るように見てしまう同級生の地元再会&恋愛復活劇はそうはない。確かにこれは土井演出でないと出ないものもあるかな、と思い直しているうちにラストがくる。しかし見ていれば途中からどうなるかはほぼ予想はつく。おまけに個人的に知人がその井川さんと同じ年齢で同じように亡くなったので完全に現実がダブってしまいもうその先は見えるのである。そんなこともたくさん経験してるであろう同年代の観客にはグッときていた気もする。で、ラストである。
本当はラストシーンひとつ前で終わってエンドロールが流れたら「アノーラ」並に喰らってたと思う。メインテーマね。あそこであれは反則に近い。今思い出しても泣ける。堪えられるわけがない。しかも塩見のおっちゃん、、何度も何度もあのさもない居酒屋を思い出している
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