「素敵な大人の恋物語でしたが、関係の始まりにリアリティが……」平場の月 よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
素敵な大人の恋物語でしたが、関係の始まりにリアリティが……
登場人物とほぼ同世代で舞台となった朝霞近辺は仕事でたまに立ち寄る場所。印刷工場も仕事で少しご縁があるため、非常に親近感を持って拝見しました。
何者にもなれなかった50台。それが過去の甘美な記憶とともに、ロマンスに突き進むも、現実としてなかなかうまく行かない点は非常に共感が持てますし、そのカッコ悪い部分も含めて描いている本作は評価したいと思っています。
ただ、青砥にも須藤にもキャラクター造形として、リアリティにかけた部分があり、それがゆえに最後まで映画に入り込めなかったのも本音です。
青砥はコンプレックスがあるのかもしれませんが、世間的に見れば順調で、十二分に恵まれている存在。葉子は確かにいろいろな困難に直面しておりますが、一人の人間としてはかなり強く自立している存在に見えます。
端的に言えば、二人とも劇中で語られているような波乱万丈の過去を経験しているように見えず、そしてあれほど簡単に「くっつく」とも思えないのです。ノスタルジーにせよ、傷を舐め合う関係にせよ、もう少し関係を埋める過程を丁寧に描いてほしかった。
「映画なんだからそこまで求めなくても点点」と思いつつも、素敵な作品だけに気になりすぎるポイントでした。
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