「二度と戻れない月が満ちていた日々」平場の月 nasucaさんの映画レビュー(感想・評価)
二度と戻れない月が満ちていた日々
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昔、中年の恋愛ものや不倫ものがどうにも受け入れられなかった。原理が理解できなかったのである。しかし、自分の年齢が中年を過ぎて、なんとなく理解が及ぶようになってきた。本作もそうで、抗えない病気や性愛や嫉妬や諦めなど、随所で共感してしまう。おそらくもうこれ以上ない幸せな日常から、死へ淡々と過ごす日々。月の満ち欠けが人生の終焉を意図していそうで、映るたびにちょっとずっしりくる。そしてエンディングの星野源に泣かされる。
ストーリー展開は想定内だったけども、現在と昔日とのコントラストが痛々しく、結末が分かった上で見せつけられるピュアな情景がなんとも美しかった。よくある手法でもあるが、少し違うのは現在のパートも、くたびれた中年が寄り添う姿も、それもまた、美しいとも思った。愛おしい、かもしれない。切なくも不思議と多幸感が溢れる。堺雅人と井川遥だからこその空気かもしれない。
ところで映像の作りがここ最近では好みの絵になっていた。夜でもぱきっとした描写で、コントラストもはっきりしている。色調も良い。東京の空気がよく表現できていたと思う。
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